◎シャイン(Shine 1996年 アメリカ)
原題 Shine
監督 スコット・ヒックス
◎欧米の役者は凄い
ぼくはほんとに芸術的センスがなくて、音楽も当然ながらよくわからない。だから、デイヴィッド・ヘルフゴットっていう、精神的な病気をかかえたピアニストが実在しているってことも知らなかった。この映画ができたとき、家族たちは事実に反しているって猛抗議したそうだけど、たしかに、実際の家族としてみれば、いろいろと言い分はあるかもしれない。だから、心の病気をかかえている人の半生を映画化する場合は、より慎重にならなくちゃいけないんだろう。むつかしいところだけど、でも、この映画がもたらしたものは小さくないんじゃないかしら?
まあ、そのあたりの複雑な事情はともかく、主役を演じたジェフリー・ラッシュは、たいしたものだ。手元のアップはデイヴィッド・ヘルフゴット本人らしいけど、引きの絵はそうはいかないんで、昔習っていたピアノの練習をふたたび始めて役をこなしたらしい。それは、10代を演じたノア・テイラーも、幼年期を演じたアレックス・ラファロヴィッツもおなじだ。たいしたものだ。こういうところが、欧米の役者は凄い。
ただ、たしかにデイヴィッド・ヘルフゴットの半生記ではあるけど、それとともに、かれの恋愛体験記でもあるわけで、そちらの中心になっているのは、ワイン・バーで働いているソニア・トッドの目線だ。こうしたあたりも脚本はちゃんと練られてる。単に時系列だけを追い掛けた、年表みたいな映画じゃないところが、またいい。