◎トロッコ(Rail Truck 2009年 日本)
よく作ったなあってのが、いつわらざる印象だ。
台湾の花蓮県に行きたいっておもわせるんだから、ほんとによくできてる。
あらすじはさておき、
なんといっても梅芳がうまい。
ほかの役者さんもそうだけど、
いかにも、むかし、日本人に習った日本語を喋ってる感じがよく出てて、
この台詞を書いた人はたいしたもんだっておもえた。
カメラも音楽もともにしみじみしてて、全体の統一感がよく取れてる。
花蓮県の港まで軌道が通じているっていうのを、
もうすこし出してほしかったのと、
写真を小道具にしているわりには、それについての挿話がなかったのと、
子供ふたりが初めてのところに来ているんだから、
「帰り道はわかるのか」と質問して、
子供を連れてきた張本人が追いかけていかないのはないだろっていうことと、
尾野真千子が「台湾で子供を育てたい」といえるまでになる挿話がなかったのと、
どうして祖父母が別々に暮らしていたのかっていう台湾の一家の説明が、
いまひとつ不十分におもえたことなど、
絵つくりやその場その場の演出が好いだけに、
ところどころの疑問符が残ってしまうのが惜しい。
でも、よかったわ。
ええ映画やったわ。