◎重力ピエロ(2009年 日本)
意外な拾い物が落ちてきたっていう印象だわ。
ぼくは世間の流れに疎くて、
どんな小説が流行ってるのかまるで知らないし、興味もない。
それは役者にしても歌手にしてもおんなじことで、
そういう意味からすれば、まったく社会から取り残されてる。
だからといって生きていけないわけじゃなく、
ほら、こうしてなんとか棲息してる。
で、この映画なんだけど、
人間って、いろんなふうに生息していっちゃうんだな~って気がした。
ま、それは最後にふりかえってみたときの感想なんだけど、
途中まではきわめて興味深いサスペンスを見てるような感覚だった。
自分がかつての連続暴行魔によって犯された母親から生まれたという事実、
父親の出所はつまり自分たち家族の崩壊を予兆させるのではという不安、
父親に対する殺意故のかつての暴行現場への放火と、
遺伝子の配列を暗号化したことでの自分なりの告白、
そうした弟の過激な行動に気づき、弟を救おうとする兄の兄弟愛、
そうした兄弟をじっと見つめながら癌を受け入れる父の家族愛、
家族以外の他人からは理解されないと苦悩する弟へ向けられる、
全身を整形してでも愛されたいと渇望する後輩の恋慕、
そんなことどもが一緒くたになって推理劇になってるわけで、
原作がおもしろいのか脚本がうまくまとめているのか、
ぼくにはよくわからんのだけど、
でも、出来のいい邦画だったな~って感じだ。