◎フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年 日本 88分)
英題 The War of the Gargantuas
staff 監督/本多猪四郎 特技監督/円谷英二 脚本/馬淵薫(木村武)、本多猪四郎
撮影/小泉一 美術/北猛夫 怪獣デザイン/成田亨 音楽/伊福部昭
劇中歌/作曲:伊福部昭、歌:キップ・ハミルトン『The Words Get Stuck in My Throat』
cast 佐原健二 水野久美 ラス・タンブリン 田崎潤 田島義文 中村伸郎 森今日子(森啓子)
◎特撮とボク、その20
現代版『海彦山彦』なんだけど、
なんか違和感があるのは『フランケンシュタイン対地底怪獣』の続編ではなくて、
あくまでも姉妹編っていう設定からだろう。
これはでも観客からすると、やっぱりとまどう。
姉妹編というなら、役者は総入れ替えするだったかもしれないね。
なによりの違和感は、
フランケンシュタインがもはやフランケンシュタインではなくて、
いってみればフランケンシュタインから派生した怪物になってることだ。
それと、サンダとガイラがどのような過程でできてしまったのか、
細胞が一致している以上、
サンダがかつて研究所から脱走したフランケンシュタインならば、
ガイラはその分身つまりクローンであると考えられるんだけど、
過去に行方不明になっていた右手が発見された際にどうかなかったのか、
ともかく、ガイラの出自がよくわからない。
いちばん肝心なところがあいまいなまま物語が進んじゃうのはかなりつらい。
途中で、サンダが琵琶湖の湖底で足を怪我し、
その肉片が海に流れてガイラになったとかいう推論がなされるけど、
これはかなりつらいでしょ。
だって、ふたりがメーサーや61式戦車とかで攻撃された際には、
おびただしい肉片が散らばっているはずで、
それがみんな細胞分裂して次々に分身が生まれてくる可能性もあるわけだから、
やっぱりガイラの誕生については研究所が何らかの形で絡んでる方がよくないかしら?
ま、そんな物語上の疑問はさておき、
なかなかどうして、おもしろかった。
ガイラがすごいんだ。
女の人、食べちゃうんだから。
このリアルさ、まいったな~。
リアルさといえば、成田亨の造形もいい。
前作とあえていうけど、前作はフランケンシュタインそのものだったけど、
こちらは見事にフランケンシュタインの怪獣になってる。
ただ、なんでこうした造形の巧みさが継承されなかったんだろ?
やっぱり映画の斜陽の波はもうすぐそこまで来てたってことなのかしらね。