△宇宙大怪獣ギララ(1967年 日本 88分)
英題 The X from Outer Space
staff 監督/二本松嘉瑞 脚本/二本松嘉瑞、元持栄美、石田守良
特撮監督/池田博 監修/光瀬龍 撮影/平瀬静雄 美術/重田重盛
ギララ・デザイン/重田重盛 製作主任/内藤誠 音楽/いづみ・たく
主題歌/ボニージャックス『ギララのロック』作詞:永六輔、作曲:いずみたく
倍賞千恵子『月と星のバラード』作詞:永六輔、作曲:いずみたく
cast 岡田英次 穂積隆信 藤岡弘 浜田寅彦 和崎俊也 原田糸子 柳沢真一 北竜二
△特撮とボク、その36
いまもってふしぎでならないんだけど、
小学生のとき、ぼくの持っているギララ関連グッズは相当なものだった。
プラモデルはもちろんのこと、メンコ、ブロマイド、そしてソフトビニール人形まで、
ほかのがきんちょがギララのグッズなんてなんにも持ってないのに、
ぼくだけはなぜかあらかた揃ってた。
実にふしぎな話だ。
というのも、ギララの映画はたしかに観に行ったものの、
観てすぐにすっかりと内容を忘れ、
ただギララが町を破壊していることしかおぼえてなかったからだ。
にもかかわらず、ギララのプラモデルが欲しくて買ってもらい、組み立てた。
ギララだけじゃなくて、
映画の中ではAABガンマー号と呼ばれてる宇宙船アストロボートのプラモデルまで持ってた。
どうしてなんだろうっておもうんだけど、
たぶん、ギララとガンマ一号のデザインがなんとなく気に入ってたんだろね。
で、あらためて観たんだけど、
なんつうか、いかにも松竹らしい明朗快活な青春ホームドラマだった。
SF的な世界観はあるし、怪獣も登場するんだけど、それだけのことで、
地球本部も月基地も宇宙船内もどこもかしこもホームなんだ。
登場する連中はみんな穏やかで、シャワーとか浴びちゃいながら健康的なお色気を出し、
誰が好きだの嫌いだの、ご飯をいっぱい食べるだの食べないの、
いったいおまえたちは地球が危機的な状況にあるのをわかってるのかっていいたくなるくらい、
ほんわかしたSF怪獣青春ドラマを展開している。
ギララが破壊する町もなんだかテーマパークの立体模型みたいだし、
岡田英次理事長と穂積隆信教頭による学園ドラマみたいな雰囲気が濃厚だし、
いつになったら藤岡弘は持ち前の熱血ぶりを披露してくれるんだろうっていう期待もむなしく、
ほっぺたの丸い、おたふく風邪みたいなギララが泡になってカンテラの中に閉じ込められちゃう。
主題歌にしてもそうだ。
なんとまあ、明るく楽しい、爽やかな歌なんだろう。
ボニージャックスで始まり、倍賞千恵子で幕を引くその凄さたるや、
大映のガメラマーチに匹敵するくらい鳥肌が立った。
実はぼくは大船調の青春ドラマは好きだった。
森田健作の青春物がことに好きで、海の近くの撮影所に憧れたりもした。
でも、それは青春ホームドラマなんだよね。
ほんとに、ぼくはふしぎでならない。
どうしてこの映画のグッズがぼくの部屋にいっぱいあったんだろうって。