◇ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(1966年 日本 86分)
英題 Ebirah~Horror of the Deep~
米題 Godzilla vs. the Sea Monster
staff 監督/福田純 脚本/関沢新一
撮影/山田一夫 美術/北猛夫
特技監督/円谷英二 助監督/中野昭慶
特殊撮影/富岡素敬 真野田陽一 特撮美術/井上泰幸
光学撮影/徳政義行 川北紘一 音楽/佐藤勝
cast 宝田明 渡辺徹 水野久美 田崎潤 平田昭彦 天本英世 本間文子
◇特撮とボク、その21
米国への怨念映画みたいな印象だ。
米国ザリガニのお化けに原爆で報復するという、
隠れ主題の物凄さといったらない、
というのは穿ち過ぎかしら?
音楽といい監督といい東宝怪獣路線では新機軸で、
なんでこういう展開になってるのか、
当時の事情はちょっとめんどくさい。
でもまあ、裏話を知ったところでどうなるものでもないし、
ぼくたちは現実にフィルムとして残されてるこの作品を観て、
ゴジラの異様な朗らかさにさまざまな反応をすることくらいしかできない。
ちなみに、
この映画が封切られたとき、ぼくは小学生の仲間たちと劇場に出かけた。
東宝チャンピオンまつりではなくて、封切りを観た。
とはいえ、東宝チャンピオンまつりだろうが封切りだろうが、
そんなことは田舎の小学生にはどうでもいいことで、
東宝チャンピオンまつりは、毎年、愉しみで仕方なかったんだけど、
さすがにこの作品の再上映のときは、ゴジラへの興味はちょっと薄れてた。
ぼくの田舎には東宝の封切館が1館だけあって、
まわりの町からも子供たちがやってきて、それなりに盛況だった。
中学生になった頃から徐々に閑古鳥が鳴き始めて、
ぼくが映画に目覚めた頃には、もうほとんど借り切り状態だった。
でも、この作品の封切りのときはそうじゃなかった。
満員御礼だった。
もちろん、園田光慶の作画による「ぼくら」の別冊付録も読んだ。
ぼくたちは学校の運動場の境になってるドブに古タイヤを沈め、
「エビラ、とった!」
とかいって、アメリカザリガニを捕まえては運動場の砂地に這わせたもんだ。
とはいえ、エビラとゴジラの草野球は、さすがにまいった。
いくらなんでもそれはないだろうと。
小学生だったぼくにも、それくらいの感想は持った。
けど、それについてはさておき、
モスラに祈りを捧げるところと、ゴジラの心臓音が聞こえてくるところは、
当時のぼくにはちょうどいい感じのどきどき感だった。
ただ、小美人がピーナッツからペア・バンビへ替わってたことについては、
まったく意識してなかったっていうか、あまり興味はなかった。
ただ、
高校生になってからにわかに東宝SFファンになってしまったぼくには、
実をいうと、この作品については、まあ、いろいろとある。
けど、そんなことは書かずにおこう。