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大巨獣ガッパ

2014年08月27日 16時21分15秒 | 邦画1961~1970年

 ◇大巨獣ガッパ(1967年 日本 84分)

 英題 Gappa,the Triphibian Monster

 staff 監督/野口晴康 脚本/山崎巌、中西隆三 特技監督・原案/渡辺明

    撮影/上田宗男 美術/小池一美 音楽/大森盛太郎

    主題歌/美樹克彦『大巨獣ガッパ』作詞:一条ひかり、作曲:米山正夫

        ダニー飯田とパラダイス・キング『がんばれ仔ガッパ』作詞:中原良、作曲:大森盛太郎

 cast 川地民夫 山本陽子 和田浩治 藤竜也 小高雄二 桂小かん 町田政則 大谷木洋子

 

 ◇特撮とボク、その38

 ぶっ飛ぶことがある。

 主題歌だ。

 日活青春路線もあわやとおもえるような絶叫青春歌謡で、

 一度でも聞いてしまうと「ガッパ~あ!」っていう歌声が耳に残っちゃうんだ。

 でも、実をいえば、この主題歌だけは勘弁してちょとはおもうものの、

 映画そのものはそれほど溜め息つくほどでもない。

 1967年という年は日本の特撮映画が絶頂期を迎えた年だけれども、

 同時に、日本特撮にとっては悲劇の年でもあるとぼくはおもってる。

 東宝、大映、松竹、日活の各社がこぞって特撮怪獣映画を作り、

 どれもこれも子供だましような作品が仕上がり、

 それを観る羽目になってしまったぼくたちを大いに落胆させた。

 そうした中で、この作品はまだしも良質な作品だった。

 もちろん、特撮そのものは決して上手なものとはいえず、

 かなりがっくりとくるところが無きにしも非ずだけれど、

 物語がおもったよりもしっかりしてるものだから、さほど気にならない。

 ただこの話、よく知られているように、イギリス映画の焼き直しだ。

 1959年に制作されて61年に封切られた『怪獣ゴルゴ』がそれで、

 でも、そんな焼き直しの『大巨獣ガッパ』が、

 今度はハリウッドでさらに焼き直されたんじゃないかと、

 ぼくなんかはおもったりしてる。

『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』がそれなんだけど、

 ただまあ、

 スピルバークがガッパを観ているかどうかってことは実はどうでもいい。

 だって、本家本元の『怪獣ゴルゴ』を観ればそれで済む話なんだから。

 けど、本家が男だらけの色気のない作品であるのに対して、

 さすが日活作品というべきか、こちらの作品は実に健康的な色気がある。

 山本陽子だ。

 もう、どんな格好してても、かわいい。

 いや、気品があって、可憐で、哀愁に満ちたまなざしをする。

 ただ、すでにこのとき、デビューして3年目で、女優としては充分な位置にいる。

 だから初々しさはちょっと感じられないんだけど、

 それだけカメラ慣れしてるってこともあるんだろう、

 実に、美しくその姿態を見せてくれる。

 こういうところは、さすがに日活なのかなっておもうわ。

 いや、そんな脱線話はともかく、

 結局のところ、怪獣といっても子を求める親の気持ちは共通よ!てな話なんだけど、

 ガッパはデザインからして巨大化した烏天狗のようにも見えるし、

 まあ、名前のとおり、

 河童に酷似した異生物かもしれないんだけど、

 南洋の島の伝説の巨獣というより、

 東北とかにある人跡未踏の地に棲まう巨獣の方がしっくりくるような造形ではある。

 でも、ま、1作でやめてよかったのかもしれないけどね。

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