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大魔神逆襲

2014年08月12日 11時13分02秒 | 邦画1961~1970年

 ◇大魔神逆襲(1966年 日本 87分)

 英題 Majin Strikes Again

 staff 企画/奥田久司 監督/森一生 特撮監督/黒田義之

    脚本/吉田哲郎 撮影/今井ひろし、森田富士郎

    美術/西岡善信、加藤茂 音楽/伊福部昭

 cast 二宮秀樹 山下洵一郎 安部徹 名和宏 北林谷栄 早川雄三 大魔神/橋本力

 

 ◇特撮とボク、その24

 時は戦国、瓜生の里。

 魔神は、いつも異なった消え方をするんだけど、

 このときは雪の結晶になって散っていく。

 が、しかし、映像を見るかぎり、ちょっと雪の結晶には見えなくて、

 プリズムが強すぎるのか、炎と化したようにも見える。

 このあたりがちょっとだけ特撮の甘さを感じるものの、

 ほかの特撮は当時をおもえばたいしたもんだ。

 けど、森一生なのに、なんでこんな甘っちょろい話になってんだろともおもった。

 地獄谷で強制労働に従事させられてる父や兄を探して旅立つ少年3人の冒険譚なんだけど、

 魔神の山を必死に踏み越えてきた兄の死がきっかけで旅立つのはまだいいとして、

 北林谷栄が唐突に登場して、後で重要な役回りで出てくるかとおもえばぷっつり途絶えるし、

 地獄谷にいたるまでの冒険が飽きちゃうくらいにだらだらと長く、

 魔神像はちょこっと道しるべみたいに出てくるだけだ。

 大鷹はなるほど最後の悪領主への急降下攻撃のためにあったんだなとはおもうものの、

 全体的にだるい。

 やっぱり、魔神のシリーズに子供を主役に持ってくるのが失策だったんじゃないかと。

 ただ、

 鶴吉役の二宮秀樹だが、やけに達者で日本的な子だな~とおもってる内に、

 この子、どこかで見たな~となんとなくおもってたら、

「おお!ガムだ!」

 懐かしい旧友に出くわしたような気分になった。

 この映画の封切り当時、ぼくは楽しみにしていたテレビ特撮番組があった。

 手塚治虫原作の『マグマ大使』で、マグマの息子ガムを演じてた。

 いや~感激したわ。

 まあ、それはともかく、

 特撮映画がつまらなくなっていった原因のひとつは、作り手の勘違いだ。

 子供が観るから子供を主役にという発想が、よくなかった。

 結局、大人からは見向きもされなくなり、

 大切なファン層だった高校生から若手社会人からも相手にされなくなるからだ。

 もちろん、映画の斜陽というどうしようもない時代を迎えてはいるんだけど、

 前2作と比べると、どうしてもこの3作目は見劣りがする。

 すべては子供の視点に立ってしまったからだ。

 てなことを断言すると文句をいわれそうだけど、そうおもえた。

 ただ、

 魔神ってのはいったいなんだったんだろう。

 埴輪の武人像がおおもとだってことはわかる。

 阿羅羯磨っていう正式な名前があるってことも知ってる。

 けど、その阿羅羯磨という神がなにものであるかってことは説明されていない。

 そんな説明なんていらないよっていわれるかもしれないけど、

 ぼくにとってはかなり大切なことで、

 魔神がどのようにして生まれ、その後どうなっていくのかってことに興味がある。

 ただ、そういう定義めいたことが長いシリーズになったら解明されたかといえば、

 おそらくそうじゃないんだろね。

 ちなみに、魔神が剣をぬきはなつのはこの作品だけで、

 悪領主を最後に突き刺すところなんだけど、

 飾りだとおもってた剣は、実際に使用されるっていう設定だったんだね。

 石像じゃなかったんだね。

 あ、そうそう。

 その昔、この魔神像は京都太秦の大映撮影所のセットの片隅に置かれてた。

 1980年代のことだ。

 大映通から入っていった撮影所は、その頃、とっても静かで、

 ふらりと入っていって魔神像を眺めてたとき、

 なんだか時が止まってしまってるような印象を受けた。

 今、魔神像は大阪にあって、レプリカは東京の調布に置かれてる。

 もう一度、動いてくれないかな~とおもうんだけど、

 調布のお祭りあたりで動いてくれないかな。

 民が願えば動き出すんだろか?

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