◇吸血鬼ゴケミドロ(1968年 日本 84分)
英題 GOKE、Body-Snatcher GOKE、Body Snatcher from Hell
staff 監督/佐藤肇 脚本/高久進、小林久三
撮影/平瀬静雄 美術/芳野尹孝 特撮監督/小嶋伸介
製作主任/内藤誠 渡辺寿男 音楽/菊池俊輔
cast 吉田輝雄 佐藤友美 北村英三 高橋昌也 高英男 楠侑子 西本裕行 山本紀彦
◇特撮とボク、その34
もともとは漫画家のうしおそうじの企画だったらしいんだけど、
まあそれが紆余曲折あったみたいで、この作品が出来上がったらしい。
そのあたりのことはここで書いても仕方がない。
ただ、ゴケミドロっていう名前は、
うしおそうじが好きでよく通っていた京都の苔寺と深泥池を足したものみたいだ。
この映画でなにより強烈なのが、
タランティーノも大好きな真っ赤な空で、ここを飛ぶ飛行機にカラスが3度もぶつかってくる。
これは、凄い出だしだった。
物語の展開は昔ながらののっぺらぼう話で、
密室で襲われ続けた者がやっとのおもいで外に出ると、
すでに世界すべてがお化けになってたってやつだ。
でも、特撮はたしかにちゃっちいところがあるものの、
飛行機のロケセットはちゃんと作ってるし、ラストのたたみかけは悪くない。
空飛ぶ円盤が雲霞のように地球に迫ってくるラストなんざ、ちょいと圧巻だ。
それと、一見地味に見えるキャストが凝ってる。
なんていうか、文化的知識人たちが楽しんで演じてたみたいな匂いがして、
ぼくはこういうのは嫌いじゃない。
ただ、ふしぎなことがあって、
ぼくはこの作品は小学校のときに封切りを観に行ったんだけど、
どうにもおぼえてる内容と違うし、役者たちも違うんだよね。
ぼくの憶えているのは森の中がもっと出てきて、
崖みたいなところで登場人物たちがいがみ合ってるところへ、
ゴケミドロに寄生された男が襲い掛かってくるような感じだったんだよな~。
あの『ゴケミドロ』はなんの映画だったんだろう?
ところで、内藤誠さんが制作主任をやってるんだけど、
内藤さん、ギララでも制作主任してなかったっけ?
この作品は松竹京都太秦撮影所で撮られたそうだけど、
ギララを東京で撮るやすぐさま京都でこの組に参加したってことなのかしら?
これは、たしかめないといかんね。
それと、吉田輝雄のことだけど、
この作品が撮られた頃はすでに松竹から東映に移籍してるはずだ。
それがこの作品だけ松竹に帰ったのは、
東映から佐藤肇が呼ばれて演出したのと関係があるんだろか?
これについては、事の次第を誰か知ってるんだろうか…。