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大魔神怒る

2014年08月11日 22時14分13秒 | 邦画1961~1970年

 ◎大魔神怒る(1966年 日本 79分)

 英題 The Return of Majin

 staff 企画/奥田久司 監督/三隅研次 特撮監督/黒田義之

    脚本/吉田哲郎 撮影/森田富士郎 美術/内藤昭 音楽/伊福部昭

 cast 本郷功次郎 藤村志保 内田朝雄 平泉征 丸井太郎 上野山功一 大魔神/橋本力

 

 ◎特撮とボク、その23

 時は戦国、八雲国。

 山中の御子柴、湖西の名越、湖東の千草、湖の中には神ノ島。

 前作は滝の上だったのが、今回、魔神像が鎮座しているのは神ノ島だ。

 下剋上によって主家を滅ぼされた遺臣たちが主家最高をめざして戦う前作に対し、

 今回は隣国の侵略と占領によって滅ぼされた本家と分家がちからを合わせて奪還するという設定に加え、

 前作は兄妹の潜伏10年という血のつながりによって男女を分けたが、

 今回は本家と分家の嫡子と姫の婚姻前夜といういかにも緊張した情況にしているし、

 さらには、

 土くれとなって姿を消す魔神に対して、水となって流れ去る魔神という設定もあり、

 いやまったく流石は三隅研次。

 それといいのが本郷功次郎だ。

 この人のふしぎな色気が、大魔神という幻想時代劇に花を添えてる。

 ところで、

 幼い頃の記憶というのはまったくあてにならないもので、

 ていうか、がきんちょのおもいこみというのはまったく好い加減なもので、

 ぼくはこの第2作は『大魔神海を渡る』だと半世紀近くもおもいこんできた。

 いつからそうおもったのかといえば、封切りを観て帰ったその日にそうおもいこんだらしい。

 以来、ぼくは他人と話をするとき常に『大魔神海を渡る』といいつづけてきた。

 けど、ぼくのいうとおりに相手もそういってたんだから、人間ってやつはほんと適当だ。

 なんでそんな勘違いな題名だとおもいこんでいたかといえば、

 大魔神がモーゼよろしく波を割り、湖底を歩いて渡ってくるからだ。

 この特撮はけっこう見事なもので、

 大魔神のシリーズはどれも当時としては破格の予算と丁寧な合成と渾身のミニチュアで、

 ぼくとしては日本の特撮においては白眉のひとつだとおもってるんだけど、

 その凄い特撮の印象があまりにも強かったために『海を渡る』って題名だと信じてきた。

 ところが、そうじゃなくて、実は併映作品のせいだった。

 封切り時の併映が『座頭市海を渡る』だったんだよね~。

 いやもう、勘違いとおもいこみほど恐ろしいものはない。

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