◇ガメラ対大魔獣ジャイガー(1970年 日本 87分)
英題 Gamera vs. Jiger
staff 監督/湯浅憲明 脚本/高橋二三
撮影/喜多崎晃 美術/山口煕 助監督/小林正夫
ジャイガー・デザイン/矢野友久 音楽/菊池俊輔
cast 八代順子 平泉征 大村崑 夏木章 蛍雪太郎 田中三津子 炎三四郎(速水亮)
◇特撮とボク、その30
大阪万博には、2回行った。
ぼくよりもやや上の世代にとって人生の最大イベントは東京オリンピックで、
さらに上の人達にとって最大のものは新幹線の開業だろう。
でも、ぼくたちにとってエキスポ70ほど大掛かりなイベントはなかった。
で、その大阪万博が危機に瀕する映画が、これだ。
実をいえば、ガメラのシリーズは、もはや目も当てられなくなってて、
バイラスもギロンも観ていて悲しいかぎりだった。
たった半日の、
それも限定された空間(宇宙や他の星もあったりするけど)だけで物語が展開し、
当時のませがきのぼくからしても、ちょっと辛かったりした。
ところが、このジャイガーの話はしっかりできてた。
ウェスター島とかいうイースター島まがいの島にいる古代怪獣で、
もういかにもムー帝国の魔獣みたいな感じで、
アトランティス大陸に生息していたガメラとか、いわば宿命の仇になるのかもしれない。
ま、そんなことはともかく、
悪魔の笛とかいわれるトーテムポールなのか巨石なのかわからないけど、
それで封じ込められていたっていう設定も、なかなかそそられるものがあった。
おりからの超古代史ブームがジャイガーを生んだみたいで、
そういうものに興味を持ち始めていたぼくは、大映の恰好の標的だったんだろう。
けど、そういう設定だけじゃなく、
人間にもこういう顔の人いるじゃんみたいなジャイガーは、
なんとなく身近な感じがしたし、
尾の先端にある針がなんとまあ卵を産み付ける卵管だったりして、
そのためにガメラの体内にジャイガーの赤ん坊が誕生してるなんていう展開は、
ガメラのシリーズの中ではこれ一本だけで、それはもうかなり鮮烈だった。
ガメラがレントゲンを撮られたのも最初で最後で、
なんとなく生物学的なそそられ方もしたりして、いやまあ、それなりにわくわくした。
まあ、そんなこともあったりしたもんだから、
ジャイガーがぶち壊しそうになるソ連館に、ぼくは当然、行ったのであります。