コウモリの飛行生態を調査研究している同志社大学の飛龍准教授らのグループを知ったのは、十年ぐらい前だろうか。夕方、家近くの普賢寺川学園橋の上で、大きなアンテナを設置していた学生さんに話しかけた。コウモリの飛行を観測し、その生態を分析しているという。コンピュータに保存された、コウモリの鳴き声や飛行軌跡を見せてくれた。そして、この場所が、世界有数なコウモリの観測地ということも教えてもらった。以来、何度か観測している姿を見かけ、会話をした。飛行する獲物との距離を超音波で把握、捕らえる真逆の論理は到底人間では不可能。今回は、複数の獲物を捕らえる時の飛行ルートがコンピュータシュミレーション分析による最適なコースと一致したという。人間よりも頭脳で劣る生物がずっと生きながらえてきた能力である。自分たちの生きるにふさわしい姿や生態を作り出したコウモリたちに圧倒される。他の生物よりも優秀な頭脳を持ち、科学や文化の進展を遂げながらも、今でも争い殺しあう人類には平和は訪れないのではなかろうか?