聞きたくなくても聞こえる話

出発点の某駅で十数名の乗車があり、特に何事もなく定刻通りに発車した。しばらくして、中扉の前あたりに座って世間話をしていたお婆さん二人の会話が、急に私の耳へ飛び込んできたのである。それは…

「今日のバスの運転士さん、運転が下っ手くそでさぁ～！　私よりも下手なのよぉ～！」であった。すると２～３人がクスクスと笑う声が聞こえて…　一瞬にして私は妙な緊張感に包まれてしまった。

すると、相手のお婆さんが少し慌てたように「ちょっと、運転士さんが気を悪くするから…　このバスじゃないんでしょ？」と言い、それに対して「あぁ、そうそう。このバスの前に乗ったバスの運転士さん…」と答えてから、さらに会話は続いた。

それを聞いた私は「なんだ、そうだったのか」とホッとすると同時に緊張もほぐれ…　なかった。やはり「下手な運転はできない！」と思ったからである。間違ってもエンストだけはしないようにと…　そういえば、得意のエンストを久しくやっていないなぁ～（やらんでいいって！）