午前11時頃、某駅を出発して最初のバス停に接近… 降車ボタンは押されておらず、バス停にも人影はなく… ただ一人、若い男性がバス停の数メートル手前を歩いていた。こちらを振り返ることもなく、走り出すこともなく、もちろん、手を挙げるなんてこともなく… 私はバス停の発車時刻を過ぎているのを確認して「ただの通行人か… 通過だな」と思った。
それでも一応、男性にゆっくりと接近&追い抜きながら、その動きをチェック… すると、なぜか体の前で両手を動かしていた。私は「もしや… 財布からお金を出しているのか?」と思って、バスを減速させた。が、男性はバスに追い抜かれても慌てるような素振りを見せなかった。
私は「やっぱりただの通行人かなぁ… ま、目の前の信号も赤だし… とりあえず止まってみるか」と思い、バス停で止まって前扉を開けた。それでも男性は普通に歩き続けていたので、信号が青に変わったのに気付いた私はすぐに扉を閉め… と思ったら、男性は無言で“当たり前のように”乗り込んできたのである。それに合わせて、私も無言で運賃の確認をした。
約30分後… 営業所へ戻ると“ある上司からの呼び出しメモ”が貼ってあったので、私は「あぁ、早速“運転士がありがとうも言わんかった”という苦情でも入ったかな?」と思いながら、その上司のところへ行った。
すると、「一週間くらい前の話になっちゃうんだけど、こういう話が上(委託元)から来とるんだわ… 覚えとる?」と言われ、一枚の用紙を見せられた。そこには、ある人から委託元へ入った苦情の内容が書かれているようだった。
それは“朝8時半頃に、あるバス停の数メートル手前を歩いていたら、バスが止まらずに行ってしまった。会社に遅刻したらどーのこーの…”みたいな言い分だったと思う。上司は「バスの通過時刻を調べたけど問題なかった」とも言った。
私は「その人のことは覚えていませんが、似たような状況はよくあります。ついさっきも同じようなことがあって…」と、冒頭の話をした。さらに「先程の場合でも、もしもバスが遅れていたら止まらなかったかもしれないし… その時の状況によって、止まることもあれば行ってしまうこともあります(もちろん“何のアピールもなく歩いている人”に対しての話である)」と付け加えた。
上司は「バス停付近では、そんな感じで気にしてくれているんだ。でも、出来れば止まって扉を開けて… まぁ、今回は単なる確認ということで… 苦情ではないから」と言い、めでたく無罪放免となった。もっとも、今さら苦情の一つや二つ… 言い掛かりの10や20入ったところで、低評価運転士には関係ないのだが…
月刊ブログの先月号で“私に「ひどすぎる!」と罵声を浴びせた女”の話を書いたけれど… どうやら同じ人種のようだ。自分がバス停の時刻に遅れて来ておきながら、バスの接近に注意を払わず、何のアピールもせずに「バスに置いて行かれた!」と文句を言うとは… 近年、何でも人のせいにする奴が急増中…
しかも、上の方が“出来ない人を助けること”と“自己チューを甘やかすこと”をゴッチャにしているのか… 理不尽なことを言う奴らに対して「配慮せよ」という流れになるのが、また可笑しいというか… 変というか… 狂ってるというか… ん? そういうオマエほど狂ってないってか!? ハハハ… そりゃ失礼ぶっこきましたぁ~
某始発地点で3人のお婆さんが乗り、1人は中扉のすぐ後ろの席に、1人は通路を挟んだ反対側の席に、もう1人はその前(中扉の正面、車椅子用スペース)の席に座った。順にAさん、Bさん、Cさんとする。(数学の問題みないだなぁ…)
つまり、AさんとBさんはノンステップバスの低い床から階段(2段だけど…)を上がった席に、Cさんは低い床の席に座ったのである。3人の中で“買い物カート”を引いていたBさんだけが、足腰に不安のありそうな歩き方だった。
そのBさんが買い物カートの置き場所を決めようとゴソゴソやっていたら、何か(多分、フリーパスの入ったカードケース)がポロリとCさんの足元に落ちてきた。すぐに気付いたCさんは「落ちましたよ」と言いながら、そのカードケースを… なぜか拾わなかったのである。
カードケースを指差すCさんの人差し指が、カードケースに触れそうなくらいの位置にありながらも、ただ「落ちましたよ」を繰り返すだけだった(潔癖症なのか!?)。Bさんは弱った足腰を駆使してゆっくりと階段を下りてカードケースを拾い、再び階段を上って無事に着席した。ふぅ… Bさんが落ちなくて何よりであった…
最近、毎月のように「こちらは悪くないのにやられてしまった」という“もらい事故”が何件かあったらしい。もっとも、保険屋さん同士の話し合いとなれば、どちらも「できれば払いたくない」「払わなければいけないとしても、なるべく少なく済ませたい」だろうから、過失ゼロにならない場合もあるかもしれないけれど…
そういう私も、ちょっと危なかったことがあった。先日の夕方、これまでに何度も同じ時間に通ってきた交差点の右折レーン… 私の前には5台ものマイカーがいたのだが、こんなことは初めてだった。いつもは2~3台もいれば多い方だったのに… 私は「こりゃ1回の右折矢印では行けないかもしれない。さらにバスが遅れちゃうなぁ…」と思っていた。
そして、長い赤信号をジ~ッと待っていたところ… 突然、すぐ左側で「キキィーーー!」「ドカン!」「ガシャーーーン!」という音がしたのである。そこは私が並んでいた右折レーンを除いて二車線の道路で… どうやら、左車線に並んでいた乗用車が、後方から原付が来ていたのに気付かず(あるいは強引に?)右車線へ出てしまった… そんな感じだと思う。
そして、乗用車と接触した原付は、その反動で“右折レーンに並んでいた3台目のマイカー”に追突&大破してしまったのだ。原付の人はすぐに自力で立ち上がり、大破して倒れている愛車を起こそうとしたのだが、さすがに体が痛くて思うように動けない様子で… 歩道にいた通行人たちが、その人と原付を歩道へ運んでいった。
また、私のバスの後ろには“教習所の送迎バス”がいたらしく、そのドライバーさんが降りてきて原付の破片を中央分離帯の方へ足で蹴り飛ばし、「行け!」と合図をしてくれたので、私は車外スピーカーで「ありがとうございます」と言いながら手を挙げて… 運行を続けることができた。
原付が追突したのが3台目のマイカー… そう、これまで私のバスが並んでいた“定位置”である。たまたま右折車両が多かったからバスは巻き込まれずに済んだものの、もしも“いつも通り”だったら… 今回はセーフだったけれど、実際にアウトが続いているということは… お祓いでもしてもらった方がいいのかもしれない。誰がって? それは… 私の口からは言えませんよ。ハハハ…
営業所以外の場所で食事を取ることになっているコースを担当する場合、そこにある休憩室で食べることになるのだが… そこには、掃除をしたりお茶を出したりお喋りをしてくれるキャバ… 否、パートのおばさんがいる。
仮眠ができるくらい広い冷暖房完備の部屋で、ゆっくりとくつろげる食事タイム… しかも、優しいおばさんがお茶まで(時にはお菓子も)出してくれる。これは、私がいた前の前の営業所(完全弊社)では有り得ないことである。
完全弊社の始発地点や転回場にも、休憩室のある場所があるけれど… 「暗いよぉ~狭いよぉ~怖いよぉ~」であった(ちょっと言い過ぎ!)。また、駅の休憩室はあくまでも“借り物”だったので、最終バスの担当になった場合は、当然のことながら休憩室の掃除(トイレも含む)をやっていた。
また、ある転回場には… 休憩室どころかトイレもなかったので、そこではトイレに行かなくても済むように、別の始発地点(駅など)で早めに出すべきものを出していた(後に簡易トイレが設置された)。そして、すぐ近くのスーパーで食料を買って来て、夏暑く冬寒い“電源を切った真っ暗なバスの中”で夕食を取っていたものである。
それでは余りにも… だったので、その後は5分くらい歩いたところにある某カレー屋さんへ行くようになった。冷暖房完備だし、トイレもあるし、お姉さんもいたからね。お喋りは出来なかったけど… そうだ! 6億円を当てたら、おばさんのいない休憩室にお姉さんを雇って…(勝手にやるなよ!)
でも、そのお姉さんは私のようなオッサンの相手なんかせずに、若くてイケメンの運転士さんとばかり喋っているんだろうなぁ… えぇ~い、そうなったら、その運転士さんから料金を徴収すればいいのだ! ハハハ…(そんなところで副業するなよ!)
先日、工事現場のガードマンの誘導ミスにより、脇道から出てきた乗用車がバスと衝突するという事故があったのだが… 私がたまにマイカーで利用する立体駐車場の出口に立っているガードマンもかなり怪しい。
例の“赤く光る棒”を胸の前で横にして「待て!」とやっていて… 一台の車が右から左へ走り抜けると「行け、行け!」と赤い棒を振り始めたので、「では!」と車道へ出てみると… 「おいおい! 車、来てるじゃん! こんなタイミングで出たら、普通はクラクション鳴らされるぞ!」てなことが多々あるのだ。
ガードマンと言えば、入社何年目だったか… 当時は“後部カメラ”なんて夢のような装備だった時代で、ガードマンに某駅構内の誘導をやってもらうことがあった。そんなある日、食事休憩を終えた私がバスを乗り場へ移動させるため、まずは待機場所から一旦バックさせている時だった…
私は左右のミラーを見ながらゆっくりとバック… 後方には駐車しているマイカーがあったのだが、ガードマンはずっと「バックオーライ」の合図を続けていた。が、さすがに不安になった私は一旦バスを止めたのだが… それとほぼ同時にクラクションの音が鳴り響いた。
私は「まさか…」と思いながら、バスを降りて行って見たのだが… 後方に駐車していたマイカーの男性(推定20代前半)によると、私のバスの後部がマイカーのナンバープレートに当たったということだった。が、どこにも傷らしい傷は見当たらず… すると、ナンバープレートの裏側を指差して「ここだよ。ここに傷があるだろう?」と言ったのである。ナンバープレートがバスに“押されただけ”なので、表は無傷でも裏に傷が付いたということだった…(なんじゃそりゃ???)
当然のことながらバスに衝撃はなく、私には何とも言えなかったので、誘導してくれていたガードマンに当たったかどうか聞いたところ、「よく分からないけど… ちょっと当たったような…」という歯切れの悪い返答だった。私は「おいおい… 何のための誘導なんだよ!」と思うと同時に「もういいや、面倒くさい…」と思ってしまった。
その後、事務所から出てきた上司に事情を説明すると「どんな状況であれ、責任は運転士にあるから…」と言われてしまった。そして、マイカーの男性が「まぁ、いいわ。1万円で勘弁してやるわ」みたいなことを言い、上司も「どうするんだ? 警察呼ぶか? 1万円払って済ませる方が楽だぞ」みたいなことを言ったので、私は財布から1万円を出して男性に支払った…
後日、そのガードマンの会社から私に1万円が返金されたので、私に金銭的被害も何もなかったのだが… 何ともスッキリしない事故(詐欺事件!?)であった。