現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

「珠玉の音に挑んだ男たち」竹内明彦氏

2014-06-04 19:34:54 | 虚無僧日記
「竹内明彦」君の葬儀会場に、なんと「ウィーンフィル」から
弔辞が届けられていました。そして、NHK特集でしょうか、
「珠玉の音に挑んだ男たち」という番組のDVDが流れていました。
それによると、

竹内君が、ヤマハに入社してまだ3年、彼25歳。1970年代のこと。
ウィーンフィルから、トロンボーンなどの古い管楽器の修復の話が
飛び込んできたといいます。当時のヤマハでは、まだ管楽器を
製造する技術もノウハウも持っていなかった。

ヨーロッパの管楽器メーカーに教えを乞いにいっても、「日本人に
教えたら、カンタンに真似して、安く売るからとんでもない」と
門前払い。

まず、管楽器の材料の「真鍮」の板から作らねばならない。
真鍮は「銅Cu と亜鉛Zn 」の合金。その配分からして判らない。
200種類もの試作品を作って、納めたが「音が違う」と。

そこで、古楽器の成分を顕微鏡で調べた結果、鉛などの不純物が
含まれていることが判った。不純物は とり除いた方が良いと
思って、無視していたが、これこそ、音色を決める重要な鍵と
気づく。


この話は、実に興味深い。塩化ビニール(エスロン)や
プラスチックで作った尺八は、均質的で、良く鳴るが、どれも
同じ音でつまらない。やはり、「竹の自然な素材、中も真円でない
ことで、それぞれに個性ある音色が出る」ということと共通する。

さて、彼らの なみなみならぬ努力があって、今日、ヤマハは
ピアノだけでなく、管楽器も世界に冠たる製造技術を誇っている。


ところで、ヤマハの発祥の地は、浜松の虚無僧寺「普大寺」でござる。
明治4年に普化宗が廃止となって、廃寺となっていたところを
借り受けて、山葉虎楠が、手風琴の製造を始めた。一説には、
「普大寺」の本堂は 小学校の分校として利用され、音楽で
使われていたアメリカ製のオルガンが故障したことで、市内の
機械器具修理職人「山葉虎楠」に修理の依頼をした。それで、
山葉虎楠が、寺の庫裡でオルガンの修理をしたのがきっかけとか。

「パイパース」のインタビュー記事が一冊に

2014-06-04 19:14:08 | 虚無僧日記
管楽器の専門誌『PIPERS』で 2008年から2012年にかけて
連載されたインタビュー記事が、一冊の単行本になりました。

『13人の奏者が明かす「和」の管楽器・打楽器の世界』
杉原書店 2,300円+消費税= 2,484 円

尺八では私(一路)と、大阪芸大の「志村哲」氏。
ヤマハで管楽器の設計開発に携わりつつ、三味線、能管、笛、
鼓の奏者でもある「竹内明彦」氏が 企画し、インタビュアーと
なっています。

「和楽器」奏者は、それぞれが深い井戸の中に浸っていて、
他の楽器のことは全く知らない、関心も無かった私ですが、
大変参考になりました。

それぞれ、かなり専門的に深堀りされていて、興味ある人には
ものすごく高度な情報です。

(表紙の説明文)
「邦楽」はとっつきにくく、分かりにくい?
その重い扉を初めて大きく開け放つ異色の書。管楽器専門誌
「パイパーズ」に延べ32回連載された気鋭の奏者13人への
インタビュー集。分かりやすい会話体で奥深い世界を解き明かす。


注文は「パイパース」杉原書店へ直接

または「邦楽ジャーナル」でも取り扱っています。


目次
≪和の管楽器シリーズ≫
中村仁美 篳篥とその魅力
石川高 笙とその魅力
笹本武志 龍笛とその魅力
一噌幸弘 能管とその魅力
鳳聲晴由 篠笛とその魅力
牧原一路 尺八とその魅力
志村哲 尺八とその魅力
竹内明彦 和の管楽器インタビューを終えて

≪和の打楽器・たいこシリーズ≫
福原鶴十郎 邦楽囃子
幸信吾 能楽小鼓
田中佐英 黒御簾のたいこたち
宮丸直子 「天・地の楽」を訪ねて
鷹司尚武 神域に「たいこ」の音を求めて
西谷まゆみ、茶鶏 和太鼓集団「志多ら」
竹内明彦 和の打楽器インタビューを終えて

それぞれの演奏者の視点から語られる楽器と音楽の話は、
事典や研究本にも書かれていない貴重な内容。
洋楽、邦楽の双方に造詣の深い竹内氏だからこそ、
なしえた企画で、読み応えがあります。
是非ご一読ください。

伊勢神宮は本来「歌舞音曲」禁止

2014-06-04 19:06:28 | 虚無僧日記
『13人の奏者が明かす「和」の管楽器・打楽器の世界』
杉原書店 2,300円+消費税= 2,484 円から


「和の管楽器、13人の奏者」となっていますが、なんと
(伊勢)神宮の大宮司「鷹司(たかつかさ)尚武」氏も
載っています。

実は、インタビュアーの竹内明彦氏は、私とは慶応の中等部・
高校の同級。彼は慶応の工学部に進み、そこで「鷹司」氏と
同期の縁。部活では、共に、慶応のオーケストラ「ワグネル」の
メンバーだったそうです。

伊勢神宮のトップ「大宮司」が、ヴァイオリンを弾き、
慶応の工学部卒とは、これまた意外。先日、66歳で
亡くなった「竹内」君の葬儀に「鷹司」氏も参列され、
弔辞を述べられました。

その時、司会の方が読み上げられた肩書きは「神宮大宮司」。
そうです「伊勢神宮」は一般にそう呼んでいるだけで、
正式には「神宮」なのです。

「(伊勢)神宮」には、一般の神社にはある、狛犬、鈴、
そして賽銭箱がない。さらには歌舞音曲、つまり雅楽も
神楽も無かったのだそうです。

現在、伊勢神宮にお参りした時、手前の神楽殿で
1~100万円を納めれば、その額に応じた神楽?
舞楽を演じていただけます。

(神楽?舞楽?雅楽?その違いも判らない私です)
ところがどっこい、これは昭和以降のこと。

そもそも伊勢神宮は、天皇が「国家安泰」を祈るところ。
一般人の参拝祈願(私幣)は禁断だったとは、私も
知りませんでした。(平安時代の話です)

だから神宮正殿前には、今も賽銭箱は無い。ご祈祷も
お払いも していただけない。「玉串料」という用語も
神宮にはない。「天皇(玉)が奉ずるもの」であって、
庶民が使っては いけない用語だそうです。

これでは神宮の維持ができないので、収入源として
「寄付」を募り、神楽殿でお払い、ご祈祷、舞楽の
鑑賞を受け付けているとの由。

そんな伊勢神宮の奥深い話が『パイパーズ』にも
掲載されています。


「鷹司尚武」氏は、美濃岩村の城主、大給松平家の末裔の
「松平」姓で、母が五摂家の一「鷹司信輔」の次女。
それで、尚武氏は 子供の無かった「鷹司平通・和子」夫妻の
養子となり、鷹司家を継いだとの由。そして、伊勢神宮の
大宮司は神官ではなく、摂家の鷹司家が務めることになっ
ているそうです。

「尚武」氏は、学習院高等科から慶應の工学部に進学、
1970年に卒業。同大学院を経て、日本電気株式会社(NEC)に入社。
最後は「NEC通信システム」の社長に就任。2007年6月に退任して、
戦後9人目となる(伊勢)神宮大宮司に就任。という異色の経歴。
昨年は遷宮で度々マスコミにも登場されました。

鷹司氏のお話。
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雅楽は宮中で演じるもので、神宮には無かった。
明治になって、収入源として「神楽殿での神楽の演奏」を
太政官に申請した。しかし、楽器の演奏は、宮内庁の
雅楽師に習わねばならないが、なかなか容易には教えて
くれない。ようやく許しを得て、習いに行っても、
カンタンには上達しない。神宮の専任楽師が自力で
演奏したのは昭和7年。それまで60年の歳月が
かかった。現在、神宮の専任楽師は32人。しかし
遷宮の時の雅楽は、宮内庁雅楽部の人が来て演奏する。

だが この曲は 秘曲で、大宮司といえども聴くことは
できない。

そんな閉鎖的な世界の「雅楽」だが、日本の歴史の中で
「雅楽」を演奏する人口は、現代が最多とのこと。


たしかに、名古屋では「熱田神宮」や「国府宮神社」でも
神職が演奏するし、アマチュアの団体もいくつかあります。
また「天理教」では天理大学で雅楽を教え養成し、
各支部で雅楽の演奏をしています。

といっても、一般人が「雅楽」と思って聞いているのは
「唐楽」と「高麗楽」で、「国振り(日本)」の「御神楽
(みかぐら)」は、宮内庁の賢所(かしこどころ)以外
では聴くことはできないのだそうです。


いやぁ、昔からずっとそうだったかのように思って
いたことが、実は違った、なんてこと、有りすぎ。



尺八は吹くものに非ず

2014-06-04 19:06:06 | 虚無僧日記
『13人の奏者が明かす「和」の管楽器・打楽器の世界』

管楽器の専門誌『PIPERS』で 2008年から2012年にかけて
連載されたインタビュー記事を一冊にまとめたもの。

その中で、目に止まったのは、「笹本武志」のページ。
氏は雅楽の龍笛奏者だが、尺八も吹く。そして正倉院の
古楽器の復元にも努めている。その中で、雅楽でかつて
使われていながら消滅した「雅楽尺八」と「排簫」について。
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「排簫(はいしょう)」は、中南米のパンフルートのような楽器。
長さの違う細い竹管を横に 18本 並べたもの。吹き方は尺八と
同じだが、尺八のように吹いても全く鳴らない。
ビューと息を吹きこんでも全く鳴らない。楽器を鳴らそうと
するとダメ。楽器を鳴らさないように吹く。

どういうことかというと、身体を共鳴体にする。気管から肺に
かけて響かせなければ鳴らない。

「雅楽尺八」もそうで、「音量が小さいので使われなくなった」と
言われるが、決してそうではない。現代の尺八とはちょっと
違った吹き方を会得すると、「遠鳴り」して、篳篥より大きな
音が出る。

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いや、驚きました。私のインタビュー記事と全く同じことを
言ってます。私の記事は、「尺八は吹いたら鳴らない。
吹いちゃダメ。吸う楽器?。そう音を口の中から肺まで
吸い込むようにして響かせる」と。

楽器(竹)を鳴らそうとしても、竹が振動するわけではない。
管の中の空気が振動して音になるのだから、管内を空気が
風のように流れるようではダメ。尺八はフーッと吹くと
息の音(風音)が出て、音が濁り、聞き苦しい。

ということが、私も5、6年ではなく、56年かかって
会得したことです。







クラシックは日本に、邦楽はヨーロッパに

2014-06-04 19:05:42 | 虚無僧日記
『和の管楽器・打楽器の世界』から


今日、西洋のクラシック、オーケストラが盛んな国は、
世界の2割しかないそうです。8割の国では、自国の
音楽を中心にしているとのこと。たしかに、アフリカ、
中近東、インド、東南アジア、中国、南アメリカの国々
では、日常の音楽は、その国の民族音楽でしょう。

学校教育でも、西洋のクラシック音楽を中心に教えて
いるのは、欧米以外では 日本だけのようです。

その成果でしょう。クラシックのコンクールで 日本人が
入賞したというニュースは多いし、オペラでもクラシック
バレーでも日本人の活躍が注目されていますな。

ということは、ヨーロッパではクラシックの人口が激減
して、質が低下しているということですかね?

こんな話もありました。

ウイーンフィルハーモニーのJ氏から浜松市の楽器博物館に
「100年も前のトロンボーンの手書き楽譜を寄贈したい」と
いう申し出があった。館長が「こんな貴重な資料を、どうして
ウィーンの音楽アカデミーに寄贈しないのですか?」と尋ねたら、
「そんなことをしたら二週間で灰にされてしまうでしょう。
私は、日本が古いものを大切に継承する国だということを
知っています」と。

なるほど、西欧でも中国でも古いものは有りがたがらない
ようです。破壊と革新を尊ぶようです。だから、中国の
2000年も前の音楽が、日本には雅楽(唐楽、高麗楽)
として伝えられ、中国では滅びた尺八も、日本で脈々と
生き続けてきたわけですな。

ところが、明治維新と太平洋戦争の敗北を経て、日本人の
気質が欧米化され、古いモノを尊重しなくなった。

その結果、「西洋のクラシック音楽は、日本に残り、逆に、
邦楽は欧米に残る。いやはやビックリ。






「顔も見たくないほど 嫌われるなんて・・・」

2014-06-04 18:25:26 | 虚無僧日記
「顔もみたくない程 あなたに嫌われるなんて とても信じられない」
弘田三枝子『人形の家』(作詞:なかにし礼)でしたっけ。

突然夫に「出ていけッ! 顔も見たくない」と、追い出されたB子さん。
なにごとにも細かく、小うるさい彼。「なんで、突然、出て行けと
云われたのか わからない」という、のほほ~んとした彼女。

あれから10年、彼の方から再三「復縁」の誘い。老後、介護状態に
なった時のためかと 深意を疑う。


「復縁の作法」というサイトがあった。

「復縁」は新しく相手を見つけるより難しい。それは、
マイナスからのスタートなので、まずマイナスを埋めること。

お互い、相手に対する不満、別れた理由を徹底的に話しあい、
欠点を悔い改める努力をするか、改められない欠点を容認して
もらうことを誓いあうことが大切と。


なるほど。そして、こちらは、復縁までのステップ。

STEP1 アドレスも消され、生理的に無理な位嫌われている。

STEP2 同じ場に居合わせることはあるが、目すらあわせてもらえない。
    電話・メールは着信拒否。

STEP3 顔を合わせてもいいが、二人では話すのは無理。

STEP4 電話は出てくれるし、メールの返信もある。

STEP5 たまになら一緒に出掛けたりご飯に誘えば出向いてくれる。

STEP6 また、会ってもいいと言われた。

STEP7 会えば楽しい。やはり一緒にいると落ち着くといってくれる。

STEP8 「やっぱりいいなぁと思った」と言われる。

STEP9 「よりを戻すのもありかも」と話題にでるようになる。

STEP10 「よりを戻してみよう」という話が本格的になりつつある。


う~ん、いろいろ相談を受ける私ですが、自分の場合は 道は遠い。

あの人と 別れた わけは・・・・・?

2014-06-04 17:58:25 | 虚無僧日記
「あの人と 別れたわけは なんでもないの・・・・・・」
中条清の『理由』でしたっけ。

「別れた訳を語る」サイトがありました。

大抵は、相手の浮気。不甲斐ない性格。収入の低さ。
親の問題ですかね。

それ以外では・・・・?

(A子さんの証言)

10歳年上の彼は、最初こそ同世代にない大人っぽさが
イイナと思って付き合ったんですが、どうも精神年齢が
幼いことに段々気が付いてきたのです。
「ボクは暴力は振るわない」と自慢。(あたりまえじゃん)。
それなのに、モノに当たる。すぐキレて物を投げる。
「壁穴あき事件」をきっかけに一気に冷めてポイしました。

ドキッ! 私のことか?。