断捨離で本を処分中。捨てる前にもう一度読み返してみた。 この本は昭和23年、私が生まれた年に発行されたもの。
[ルース・ベネディクトの『菊と刀――日本文化の型』]
アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが1946年に出版。 彼女は一度も日本の土地を訪れることない。参考文献と日系移民への インタビューによって、日本文化と日本民族の気質をを書き上げた。 というから驚き。内容は宗教観から子供のしつけ方まで実に多岐に わたっている。
西欧文化は自律的な『罪の文化』であるとし日本文化は他律的な 『恥の文化』であると定義した。西欧人は神と一対一で向かい合って 『内面的な罪悪感』によって自律的(自発的)に善悪を判断するが、 日本人は『外面的な世間体(恥を恐れるプライド)』によって、他律的 に善悪を判断する。日本人は、その行為を悪いと思うか否かではなく、 周囲の者が『自分のことをどう評価しているか?自分のことを軽蔑したり 批判していないか?』である。と、なるほど言われてみればそうであった。 今はだいぶ違ってきた。
「菊」とは、「美を愛好し、菊づくりに丹精をこめる文化」。「刀」とは、 「刀を崇拝し、好戦的である」という、この『日本人の矛盾した二面性』を 象徴的に表現するために「菊と刀」というシンボルを題名にしたという。 『日本人は類例のないほど礼儀正しいが、同時に、この上なく不遜で 尊大である』という風に日本人の二面性を鋭く突いている。
戦争中、兵隊は徹底して「天皇崇拝」を叩きこまれ、「天皇陛下のため 命を投げ打つこともいとわず」だったが、捕虜になると手の平を返す ようにアメリカ軍に協力した。「天皇のために一億総玉砕」のはずが、 「終戦の詔」であっさりと全面降伏し、「自由、平等、平和」を声高に唱え、 占領軍に媚を売る。この豹変ぶり、日本人の節操に無さは、私も 不思議に思える。