現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

首振らんと吹けないの?

2017-03-03 09:44:00 | 虚無僧日記

公園で遊んでいた子供たちが、虚無僧の私を見て、
集まってきた。しゃがみこんで下から顔を覗こう
とする子。ついに、手で天蓋を上げようとする
子まで現われた。江戸時代ならお手打ちだ。

尺八を吹くと、つい首を振るものだから、天蓋が
ゆらゆら揺れるのが面白いらしい。一人の女の
子が、ぐっと尺八の管尻を掴んで
「振らないと吹けないの?」と。
私自身、ビブラートが多すぎるのを気にしていたこと
もあって、管尻を押さえられながら、揺らずに吹いた。
「なんだ、振らなくても吹けるじゃん」
子供に指導された一日だった。

「首振り三年」とは、“メリ”や“ナヤシ”等尺八独特
の手法を習得するのに三年かかるという意味だが、
最近私は、「揺らずに、ストレートに吹けるように
なるのに三年かかる」と解説するようになった。


職務質問?

2017-03-03 09:42:23 | 虚無僧日記

名古屋駅の交番の前で虚無僧をしていたら、
年配の警察官が交番から出てきて、私の方に
近づいてきた。しばらく、尺八に耳を傾けた後、
「上手ですね、尺八」とやんわり声を掛けてきた。
余計なことは言うまいと無言でいると、
「あなたはお坊さんですか?」と 職務質問?

「虚無僧です」と答えて「明暗教会の会員証」を見せ、
「京都東福寺内の明暗寺から、『会員証』を
いただいています」
「東福寺?、有名な寺ですよね」
「判ったような判らんような顔をされたが、
会員証で納得されたのか、戻っていった。

虚無僧は、本来、肩書も資格も無いのだから、
明暗教会の会員証など要らないのだが、法治国家
である。「会員証」があれば、「これが目にはいらぬか」で                                         すんなり収まる。


田舎のお巡りさん

2017-03-03 09:35:22 | 虚無僧日記

何年の前のこと、ある田舎のお寺で尺八の演奏と
講演を行った時のこと。2,30人くらいの観客に
混じって、制服の警察官が座って 聞いている。
ピストルを下げているから、ガードマンでは
ない。勤務中ではないのか? 講演が終わると、
周囲の人たちと談笑して、白いバイクで帰って
いった。平和な村なのだ。

数十年昔の“村の駐在所のお巡りさん”と村人の                                                                                                                           麗しい関係が、まだその町では続いているのだ。

(まさか、虚無僧を不審者とみて探りにきたのでは?                                          そういえば、町中いたるところに「不審者を見かけたら                                       交番に通報を」という看板があった。留守宅が多いので                                       空き巣被害も多いらしい)。



JRと名鉄の名古屋駅

2017-03-03 09:22:15 | 虚無僧日記

名古屋駅の通行量は一日170万人とか。20年前の5倍に
増えた。JRの構内は、ビラ配り、勧誘、托鉢行為
は禁止されているので、立ち止まっていると、すぐ
警備員が近づいてくる。でも、駅構内を歩いているだけで私の
私の姿をみて、喜捨してくださる方もいる。昨日も1人。
私の方が戸惑うが、奇特な方もおられるものだ。

一方、名鉄前は規制が緩く、寄付を求める団体やら、
ティッシュ配り、キャッチセールスの若者で賑やかだ。
「アンケートお願いしまーす」の若者たちは、ある宗教
団体への勧誘らしい。もう6年以上も毎日欠かさず続け
ている人達がいる。毎晩9時までだ。収入になるのだろ
うか、生活はどうしているのか。その熱意には感心する。


恋慕ながし

2017-03-03 09:19:36 | 虚無僧日記

虚無僧で立っていると、最近喜捨してくださるのは
20代、30代の若い男性が多い。
それもビジネススーツを着た普通の人よりは、
ちょっとはみ出し気味の人が多いか。

まっ黄色のつなぎを着た金髪のあんちゃん。
金きら飾りのついた革ジャンの兄さん。
そういう人が近寄ってこられると、以前は一瞬
身体がこわばったが、今はもう平気。歓迎。

昨晩も、派手なグループが通りかかり、その中の
一人が近づいてきて、財布を取り出して、布施を
されようとする。仲間が「やめとけ」と、袖を引
っ張るが、彼はそれを振りきって、「こういうのには
きちんとしておかないと・・・、俺水子いるしなぁ」
とつぶやく。「供養させていただきます」と『恋慕』
の曲を心こめて吹かせていただいた。

一見怖そうなお兄さんたちにも「仏心」が目覚める。
これが虚無僧の存在意義だ。


3才の子でもわかる

2017-03-03 09:17:17 | 虚無僧日記

「諸悪莫作 衆善奉行」の文字を最近よく見かける
ようになった。「一休の書」でも知られる。

白楽天の故事だ。白楽天が道林禅師に「仏法の大意」
を訊ねると、禅師は「諸悪莫作 衆善奉行」と答えた。
「悪いことをしない、良い事のみ行い、心をいつも
清浄すること」と。すると白楽天は「なんだ、そんな
事なら3才の子供でもわかる」と云うと、禅師は
「そうさ、3才の子供でもわかるが、80になっても
行うことは難しい」と説いた。

なるほど「人を殺してはいけない」なんて3才の子供
でもわかるが、戦争は無くならない。「悪いことを
してはいけない」と子供の頃から教えられていても、
「ばれなきゃいい」と不正が横行している。

「人は騙せても、天知る、地知る、神様仏様が見て
いる」という“良心”に恥じることが少なくなったから
か、倫理や道徳、宗教が改めて見直されてきている。

虚無僧も「それ一吹は一切の悪を断ぜんが為、二吹は
一切の善を修せんが為」の「行化」なのである。