「めいあん?」 「ん?名案?」
「目に はいらん?」 「みょうあん?」
「ん?妙案?、見よや?」
数人の中学生が、おしゃべりしながら私の前を通り過ぎると、
そのうちの一人が私に気づき、偈箱に書かれた「明暗」の
文字を見て、「めいあん?、みょうあん?」とかつぶやいた。
中学生の男子が「みょうあん」と読んだのには感心した。
普化の偈の「明頭来(みょうとうらい)」からきているから
「みょうあん」が正しいのだろうが、そんなことを知っている
はずもないと思う。
「どうして『みょうあん』って読めたの?」と 質問したら、
顔を赤らめて行ってしまった。男の子はシャイだ。
ところで、以前、「明暗」を 「あけくれ」と読んだ子がいた。
中学生ぐらいの男子。「明暗も読めないのか」とがっくりきた私でしたが、
今日ネットで「京都の明暗寺」を検索していた驚いた。
京都明暗寺の最後の看首「自笑昨非」は、明治になって普化宗が
廃止されると、「明暗昨非」と名乗っていた。戸籍に姓名を登録するにあたり、
姓を「明暗」にしたのだ。
そしてその読み方が、なんと 「あけくれ」だったそうな。
あの中学生は「明暗=あけくれ」という姓の人を知っていたの
だろうか。まさか。