現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

悲しいことも

2018-05-27 05:48:29 | 虚無僧日記

これは10年くらい前に書いた記事の再掲です。

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夜11時を回ると、ホームレス達が寝床を求めて
這い出してくる。
半年前1,2度見かけた中年男性にまた会った。
階段に座り込んで、じっと私の尺八に耳を傾けて
くれていた人だ。以前は割りときちんとしたスーツ
姿だったので、ビジネスマンと思っていたが、
今はその服もヨレヨレ。ホームレスになっていた
のだ。

帰る家も無しか。家族は?
NHKのドラマ「上海タイフーン」を思い出す。
突然リストラされ、家族には言えず、「やりたい
ことがあるから会社を辞める、離婚してくれと」と、
離婚届を送って、上海に留まる男(古谷一行)と
娘の再会のシーンだった。「これって私のことだ」
と思いながら見た。

これから世の中ますます厳しくなる。虚無僧が
夜な夜な吹く尺八の音は、暗い世相の到来を予言
しているのか。


怖いことも

2018-05-27 05:45:54 | 虚無僧日記

夜10時を過ぎると、駅前の空気も急に怪しくなる。
数人の目つきの鋭い男たちに取り囲まれた。

思いっきり尺八を吹く。ムラ息、風息、甲乙、大甲
(ダイカン=3オクターブ上)縦横自在、自分でも驚く
ほど上手に、一心不乱に吹きまくった。
連中は、じっと腕組をし、訝しげにこちらを見つめて、
しばらく聞いていたが、私の尺八吹奏に付け入る隙が
無かったか、目くばせをして行ってしまった。

袈裟も数珠も付けていないので「僧にあらず」とみたか。


楽しいことも

2018-05-27 05:44:56 | 虚無僧日記

名古屋駅で、修学旅行の一団にめぐり会った。
女の子がしきりに手を振る。手を振って応ずると
大はしゃぎ。

「お坊さんですか?」「虚無僧でござる」
(尺八を指して)「これなんですか?」
「悪い人がいると、これで頭叩くんですか?」
(尺八を一吹して)「悪い心を吹き飛ばすのでござる」

人なつっこく話しかけてくる。三重県松坂の
中学校とのこと。スレてない 純真なかわいい
子たちだった。
修学旅行で東京に行くという。東京で何を見つけ
てくるのだろう。怖い目に遭わなきゃいいが。
それも社会勉強か。


いいことも

2018-05-27 05:44:04 | 虚無僧日記

最近さっぱり反応が無いが、いいことも。

3日間で9人だが、内、若いお嬢さんが4人。
今までは100人に1人くらいだった。もっとも、
夜10時過ぎても、道行く人の9割は若い女性ばかり。

男は数えるほど。分母が多ければ、心ある女性も
もいるということか。

昨晩は、若い女性の二人組。
「“明暗”だって」
「あの箱に、カネいれるんじゃない?」
「えぇー!お金?」
と大声出しながら 20mほども行き過ぎてから
戻ってきて、金きらの財布から1円玉を。

「きれいな心に感謝です」というと。
「“きれい”だって、おだてられるとうれしく
なっちゃう」と小銭をじゃらじゃら入れてくれた。

「“徳”は何倍にもなって返ってきますよ」
「ありがとう!」

今朝も、交差点で信号待ちをしていると、自転車に
乗った若い女性が近づいてきて、偈箱にチャリン。
ふいを突かれて、あっけにとられる。若い女性は
“縁無きもの”との思い込みを叩き割ってくれた。


うれしいことも

2018-05-27 05:42:15 | 虚無僧日記

名古屋駅のコンコースをぶらぶら歩いていたら、
「すみません、100円あげるから、写真撮らせて
くれませんか」と背後から袖をひかれた。
振り向くと、若いきれいなお姉さん。
「どうぞ、どうぞ」とホクホク顔の私。天蓋で顔は
見えないか。彼女には若い男性が二人付いていて、
その一人がケータイのカメラを向ける。

すると彼女は私と腕を組んで「ハイ、ポーズ」。

「私のお父さんね、不動産業やってんだけどさ。
会社つぶれたら、こういうの(虚無僧)やりたいって
言ってんだ。写真送ってあげようと思って」と。
「私も会社がつぶれたので、この道に・・・」
「ほんとう?!」
なんだか私の娘のように思えてきた。

男性も私の右に寄ってきて、3人で肩寄せ合って
ハイポーズ。
「300円入れちゃおうかな」と彼女が大きな財布の
中をごそごそ。
「駅構内なので尺八は吹けませんので」と断りながら、
ピヒャーとひと吹き。すると男性も、
「俺、500円」。
さらにウヒャー。

周りの人が驚いて一斉にこちらを振り向く。