瀬戸内寂聴が「死刑廃止論」の先鋒に立って、批難を浴びている。 「被害者の心情を逆なでした」と。僧侶になるには、得度授戒で、 五戒を守ることを誓約する。五戒の第一は「殺生の禁」。死刑も人が 人を殺すのだからダメというのが仏教徒の立場。
一人娘を殺された磯貝利恵さんの母親は、断固死刑を求めて 署名運動を行った。その心情は察するに余りある。殺害した犯人は 「死刑になるのが怖くて」自首してきた。
光市母子殺人事件の犯人も、「長くて8年で出られるから」
と反省の念がない。「最後に笑うのは“悪”なのが今の世」
とも手紙に書いている。
光市の被害者の夫 本村洋氏は、論理的に「被告に死」を求め、 世間に一石を投じた。
「近代法は、被害者の遺族に代わって法の下で裁くことと
し、復讐を禁じたが、本村氏が投じた“復讐論”は、近代
法制度の欺瞞と限界を暴露した」という。
裁判では、被告の権利は守られるが、被害者の心情や
権利は全く無視されてきた。本村氏は「被害者の権利
を守る会」の先頭に立って、この裁判制度と戦ってきた。
しかし、「死刑廃止」は世界の主流。大半の国が死刑を 廃止しているとのこと。
アメリカを除くキリスト教国では、「人を裁くのは神のみ」 という宗教心からのようだ。ならば、仏教も同じなのだが、はて。