グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ここにもいる!

2011年01月11日 | 今日の大島
今日は泉津のほうへ行く用事があり、そこでふと、いつも目にしながらじっくり見た事のない場所へ立ち寄りました。
それは「上のカァ」です。

カァ、というのは水を汲む場所の事を言うそうで、観光でいらしたお客様の目にもふれやすいのが、元町、観光協会のはす向かいあたりにある「ハマンカァ」かな。

こちら、泉津は「上」と「下」というカァがあり、下は不浄の家の者が使う、上は普通の人が使う、というように普段から使う人をわけていたのだそうです。
上のカァのすぐ下の民宿の亭主さんに話をお聞きしました。
いつもはこんな風に簡単に入れるわけではなくて、草が茂っているのですって。
お正月には、やはりそういった役割の方がちゃんと儀式をしに来るのだそうです。

昔から大事な、神様のいる場所だったのですね。
だから普段はあんまり立ち寄ってみようとそそられなかったわけですね。
今日は入りやすくなって奥の水の雰囲気が分かったから私も反応したのでしょう。


ここは山から湧き出た水を池の中に貯めるような形に出来るよう、壁が削られ、水の落ちる場所は
30センチほどえぐられた池を作っていたようです。
でも、まわりの土がどんどん浸食していくので、今日見た時には数センチのくぼ地、ぐらいでした。
そこからあふれ出た水は、道路に行ってすぐに排水溝に吸収されてしまい、海へと帰っていくようです。
充分取水出来るほどいつも流れているそうです。
なんだかもったいない感じでしたっ。
さすが泉の町ですね!

ここでもやはりあの生物はいるのだそうです^^
そう、つい先日、レッドデータの調査のお話で登場したサワガニさんです!
今度改めて調査していただきたいなぁ、と思いました^^

ところで、今日はと~~~~っても寒くなりました。
夜になって外の気温を見たらマイナスになっていました!!

そんな状況で、カァから出てくる水は凍らないのでしょうか?
山ではツララになるのにね・・?!
と素朴な疑問を抱き、ご主人に聞いてみました。
そしたら、意外な答えが帰ってきました。
なんと、「泉津は大島の中でも暖かいほうなので凍りませんよ」との事!
島の最北部~東に位置するエリアなので、陽が暮れるのも早いし、絶対寒い地域なんだと思っていました。

そうなんだ!!
新しい発見でありました^^
さすが、水の貴重な時代は一番栄えたというのも納得ですね!


さぁさ、この寒い数日で、実は山に雪が積もっているのです!
これは見にいくしかないでしょう!
という事で、山を見てきました^^

じゃん♪
あぁ~嬉しい(ToT)
今年もまたこのシーンに会えました!!
やはり、無条件に素敵な風景ですね。

今日はね、曇っている事と、雪のおかげでもしかしたらB火口がよくわかるかな?と
思って撮影してみました。

画面中央部、ぽっかりこちらを向いて空いている感じがわかりますか?
これがB3と呼ばれるあたりです。
すぐ下にはB4がありますが、ちょっと分かりづらいかな・・?

あまりに寒いもので、直接山の雪に触れに行くことは断念しましたが、
足元にも雪の名残が残って待っていてくれました^^


今年はまだまだ雪を見るチャンスがありそうです^^
皆さまも大島で雪見風呂なんていう贅沢をしに来てみませんか?!
(温泉ホテルさんの露天風呂から、雪化粧をした三原山が見られるのです!!)
その為にはブログでお天気もチェックしていてください♪

(友)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藍染

2011年01月10日 | 歴史・文化
“そうめん絞り”の藍染めに挑戦しています。
4年目を迎えた藤井工房のそうめん絞り復活プロジェクトは生藍染めに挑戦すべく、去年は畑に藍の葉を植え現在このようになっています。




新しい畳の様な匂がします。お茶にして飲んだらおいしそう  か?
今年の藍植え付けに向けて種も採って置きました





小さな種です。  この種で、藍を育ててくださる方募集(ボランティア)


しかし今回は



この薬品を使います。インド藍K・ハイドロコンクです


インド藍Kは形状がスコリヤのようで裏砂漠に行ったら集めてこられそうですが、これを溶かして藍液を作ります。(インド藍から抽質したものか、化学合成されたものか分かりません)


>

表面の泡を漉くって藍建て完了。



表面は青色なのですが生地を入れると緑色がかっています。生地を浸すこと5分

液から出すとやはり緑色っぽいですが、空気に触れると酸化されて青くなります。
重ならないように大島の大気に触れさせます



長~いけれど“ふんどし”ではありません。5本分の生地です

30分以上おいて1工程終了。これを5回繰り返します。どんどん藍が濃くなってきます

次に、温水で洗浄。酢酸液にて中和し又洗浄、乾燥
今日中には乾かないので次の作業は来週に!


藍染の作業の前に“そうめん絞り”のそうめん由縁の作業があります。
点を打ってある生地を丁寧に串縫い



縦・横をそろえて縫わなくてはいけないのですが、これは根気がいる作業でなかなかはかどらないのです。(眼はしょぼしょぼ、肩ガチガチでも頑張りま~す)       (しま)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2011年ツアー報告NO3

2011年01月09日 | ツアー
昨日、今日と2日間連続でツアーに行ってきました。

ツアーをリクエストしてくださったのは、長野県でフリースクールを運営している岩谷孝子さん達。
自給自足の生活をしながら不登校の子どもたちを受け入れ、
常時20人以上の大家族で暮らしているとのこと。

今回はその大家族の最年少、1歳半のお子様を連れての参加でした。

昨日は風の弱いうちに…と三原山火口を目指しました。

安永の時代に流れたスベスベのパホイホイ溶岩の上で、まずはランチタイムの場所探し。


こんな広大な景色を眺めながら、お弁当を食べるなんて、最高ですよね~。

…しかし残念なことに、太陽が雲で隠れて寒くなってしまったので、
ランチタイムは早々に切り上げることに(^_^;)

1歳半のお子さんを背負いながら、岩谷さんは元気に山を登っていきます。
2011年は始まってまだ10日しか経っていないのに、このパターンは既に2回目です。
やっぱり今年は何か特別な年になりそうな予感がします。(笑)

伊豆半島の後ろに薄っすらと浮かぶ南アルプスを見ながら、皆さんからは
「私達、あそこで暮らしているんです。」との声が!

この一言で、遠い南アルプスがとても身近に感じられました(^O^)

めでたく火孔展望所に到着。余裕の笑顔です。


帰りは中学校1年生の息子さんが背負い役。
「肩が痛いよ。」と言いながら、最後まで頑張って背負い続けました。

何だか最近あまり見ない光景ですよね。
感心~。(^O^)

この日はなぜかカラスが1匹、尖った溶岩の上でバランスを取りながら、ずっと留まっていました。

青空が気持ちよかったのでしょうか?(^。^)

帰り途、夕日がとても綺麗そうだったので、海にも立ち寄りました。

丸いオレンジ色の太陽が海に接して、ユラユラ揺れながら海に溶け込んでいくのを
皆で観賞しました。

雄大な火孔と海に沈む夕日が数時間で両方楽しめるなんて、大島ならではですよね!(^^)!

そして今日。
予想通り高速船も飛行機も欠航となるほどの強風…なので森を中心に回ってみました。

私が樹海を案内した中で、最年少のお客様です!(^^)!

1歳半の子どもの目には、この溶岩の森はどのように写った事でしょう?

こちらは巨木の茂る神社の森です。

スダジイが縦横無尽に根を張って大きな体を支えている様子は、
いつ見ても「すごいな~」とつぶやいてしまいます。

そして今日、全員を感心させたのがこの光景です。

一体どうなっていると思いますか?これ。
木は左から、スダジイ、ヒサカキ、イヌマキなのですが…。

イヌマキの木とヒサカキの木が並んでいたところに、スダジイが根を伸ばしていったのでしょうか?
それともヒサカキがスダジイの根の隙間から成長して、横から押されても根性で
伸びていったのでしょうか?

一体過去にどんな戦いがあって、この3種類の木が、今こんな姿になっているのか想像すると
何だかワクワクします。
動かない木が実は戦いを繰り広げながら生きる動きのある生物であると、感じられる瞬間です。

しばらくの間、皆でこの木の前に座って目の前の3本の木の過去の物語に思いをはせながら
時を過ごしました。

さて今回の2日間のツアーは、いつもと同じように沢山のワクワクするような瞬間に出会いましたが
何よりも岩谷さんとの会話と、一緒に参加された皆さんの暖かい雰囲気が楽しかったです。

田畑を耕しながら不登校の子どもたちを受け入れ、大勢の他人との共同生活をする過程では
たぶん一言では言い表せない大変なことがあるはずなのですが、
それでも活動を続ける彼女のバイタリティーと笑顔に、ずいぶん元気をいただきました。

岩谷さんの活動に興味を持たれた方は、下記ページをぜひご覧ください~。
http://www.freekids.jp/about/aisatsu.html

(カナ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タシギ

2011年01月08日 | 
↑の画像の中にいます。
どこにいるかわかりますか?
答えは最後に。

昨日、牧場でタシギを見つけました。
久し振りの出会いです。


ぬかるみでクチバシを泥に差し入れエサを探していました。



まあるくて離れた目が愛嬌ありますね。
それととっても複雑な羽の模様が素晴らしいです。


今の時期にいるということは伊豆大島で越冬していると考えていいのでしょう。
図鑑などを見ると旅鳥または冬鳥と書いてあります。




水を飲みに来たキジバトにちょっとビックリ!
でもこのあとお互いまったく気にせずにそれぞれ行動していました。




濡れたクチバシがキラリ!



お尻もキュートです。
後からそーーーっと近づいてぎゅっとつかみたいです(笑)



首は意外と長いんです!


一度何かに驚いて飛び去りましたが、しばらくするとまた戻ってきてエサを探していました。
今日もいましたよ~。
護岸された近くの沢と行き来しているようです。



さて、答えです。

ここにいました。
簡単だったでしょ?





今日のオマケ画像。

トーシキ沖を往く『飛鳥Ⅱ』


お供はコアホウドリです。




今日出会った鳥たち(声のみを含む)
ウミウ、シノリガモ、コアホウドリ、オオセグロカモメ、ウミネコ、クロサギ、イソシギ、タシギ、ミサゴ、トビ、ノスリ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウ、コジュケイ、キジバト、キセキレイ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、セッカ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、クロジ、カワラヒワ、マヒワ、シメ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス

        がんま
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初もうで

2011年01月07日 | 歴史・文化
 大島も寒くなりました。
北国の方が聞いたら、笑われるかもしれませんが・・・
大島も、それなりに、寒くなって来ました。

 今朝8時~9時頃に、里でも雪がチラつきましたよ! 

 島の全域かどうかは分かりません。
少なくとも、島の南西部では降りました!

 寒いはずです、昨日は小寒。寒の入りでしたから。

 見出しの画像↑は、波浮比売命(はぶひめのみこと)神社の、海からの入り口にある鳥居です。



 こちら↑の社殿は、海を背にしています。参拝者は太平洋の方向を拝むことになります。大島では、山を背にした社殿が多いので、特徴的ですね。

 波布比売命は、三島大明神の后(きさき)のひとりだとか。
女性の神様なので、海を象徴しているのでしょうか? 

 平安時代の中期に書かれた『延喜式』(929年)に、
大島の、この波布比売命神社、
野増地区にある阿治古神社(大宮神社)、
泉津地区にある波治神社(波治加麻神社)の
三社が記載されているそうです。

 1100年程も前のことですから、詳しい所在地などは書かれていないようです。

 この地に当時からあったものなのでしょうか???

 波浮の港になっている場所は、9世紀の初めのマグマ水蒸気爆発で出来た火口が池になり、後に津波で海とつながりました。神津島の天上山噴火(838年)の直前だと考えられています。

 波布比売命神が正史に登場するのは、『文徳実録』仁寿2年(852年)の条で、「従五位上の神階を叙する」と書かれているそうです。

 爆裂火口の誕生が838年頃として、すぐ14年後のことです。
 


 社殿の裏手の方に、小さな祠(ほこら)がいくつかあります。

 波浮港は1800年開港ですから、210年程前に港を造るため房総や三浦半島などから大勢の石工さん達が来島したそうです。

その中には、祠を作る技術を持った人もいたのでしょうね。



 今夜は、スタジオジブリのアニメ『千と千尋の神隠し』のテレビ放送がありますね。

このアニメの冒頭で、たくさんの石の祠がでてきます。

 こんな祠をたくさん見かけたら、その先のトンネルには近づかないことです(笑)



 扉に丸い窓をつけて、凝ってますね。

 祠の語源は「ほくら」で、「ほ」は植物の穂、「くら」は倉庫、神に供える穀物倉庫の意味だそうです。

 祠を建てて、港の工事の無事を祈ったのでしょうか?
それとも後の時代に、豊漁祈願や大漁に感謝してのお礼参りに造られたのでしょうか?



 こちら↑は、東京都のマーク入り!(まさか)

 1906年(明治39年)に明治政府の神社合祀の政策で、1つの町村に1つの神社を原則にしました。それ以外の小さな神社や祠は取り潰されたり、大きな神社に寄せ集められたそうです。この寄せ宮で、多数の石祠があるのかもしれません。



 苔むした古い祠を見ていると、不思議となごみませんか。

 (なるせ)


今夜の♪は、やはり・・・

『千と千尋の神隠し』のテーマ曲で行きましょう。

「いつも何度でも」

  作詞:覚和歌子、作曲:木村弓
  歌・演奏:木村弓
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2011年、2回目のツアー報告

2011年01月06日 | ツアー
2011年2回目のツアー報告です。

1月4日、山頂口からスコリア斜面を表砂漠側に降りるツアーに行ってきました。
ご参加いただいたのは、ご両親とアメリカから里帰り中の娘さんの3名のご家族です。

この日は風も弱く、青空も出て快適な1日でしたが、夜中に雨が降ったためか、
あちらこちらからモクモクと、湯気が上がっていました。


1950年~51年の噴火で誕生した大島の最高峰三原新山も、山体から白い湯気を排出中。

いつもは山の頂上付近からだけ湯気が出ている事が多いのですが、
山全体からこんな風に白いモクモクが出ていると、とても迫力があります。
「ああ、ここは生きている火山なのだな~」という事を、実感する瞬間です!

この日はホルニトからスコリア斜面を下りるコースをとりました。
 
下山開始はこんな景色でした。

夜中の雨でまだ葉が湿っていたのか、ススキも海もキラキラ光っていました。
海の色より少し濃いブルーの島々が、まるで空に浮かんでいるように見えます。

爽快~!

さて、下山途中にいつも足を止めて見入ってしまうのは、このハチジョウイタドリです。

地上に出ている部分は低いのに、この根っこ太さをご覧ください!
これなら風で多少スコリアが飛ばされても、安定して体を支えられそうですよね。

さすが噴火後の溶岩流上に一番乗りするパイオニア植物です。
たくましい~!

目の前に広がる大パノラマを楽しみながら下山した、笑顔の皆さんです。


ところで帰り道、お客様から「これ、なんですか?」と質問されたのが、この写真に写っている物です。
砂の道にラインを引いたように、長いひも状の物が数本伸びていました。

皆さんはこの、細い紐が束になったようなシロモノは、何だと思われますか~?

誰かの悪戯?
それとも風で枝が吹き寄せられたとか?

近づいて良く見てみたら…

何だ~ヘクソカズラではないですか~(^_^;)
長い紐を編んだように見える束に、少しだけ実が残っていました。

でも、何でこんなに皆で一斉に、広い砂地を横断して向かいの藪を目指しているのでしょうか??
やっぱりヘクソカズラの気持ちがわかりません(^_^;)

すこし歩いたら、今度は人の背丈ほどの木に這い上って、たわわに実をつけたヘクソカズラを発見。

そうそう、こうやって身近な場所で、よじ登れる手ごろな物を見つければ良いのに…
どうして向かいの藪まで、新天地を求めて冒険する必要があるのでしょう??(まだ疑問)

ひとしきり、ヘクソカズラのもとで時を過ごした後、歩き始めたら客様が今度は
「あ、馬が下りてくる!」とおっしゃいました!

「え?馬??」

なんと外輪山の斜面を、太陽の光を背に受けて2頭の馬が下りてきました。

登場の仕方がかなり格好良くて、まるで映画の1シーンみたいでした(^O^)

山頂で馬を飼っている方の“初乗り”の日なのだそうです。

最後は馬と人間入り混じっての1シーンとなりました(^O^)

…ということで今回も「?」や「!」や(^O^)がたくさん散りばめられた、楽しい時間となりました。
ツアーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

このままだと2011年もたくさん楽しいことがありそうな予感が…。

一瞬一瞬の美しい大島の風景を、少しでも皆様にお届けできるように、
今年も一杯歩きたいと思います(^O^)

(カナ)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レッドデータ調査報告 最終回

2011年01月05日 | 哺乳類、爬虫類、他
皆さん、3が日も終わりいかがお過しでしょうか?
素敵なお正月を過ごされましたでしょうか?
2011年初の水曜日。
海スタッフは新年初のブログです。。

と書きつつも、今回は全然海とは関係ない話・・・
昨年にVOl.2まで書いた「レッドデータ調査報告」をまだ最後まで書き上げていませんでした。
前回の記事は11/3日と17日です・・・
少し間が空いてしまいましたが最終回を報告したいと思います。

再度書きますが、2010年10月18日~21日にかけて
東京都のレッドデータブックの再登録に伴う調査が行われました。
私がご協力させて頂いたのは「汽水・淡水性のカニ類」の調査です

午前中に筆島・砂の浜をまわった我々は、午後からフノウの滝へ行く事にしました。
フノウの滝とは島の東側の山奥にある滝で
大量の水が岩肌から流れ出ています。
現在は島民の飲み水用に使われている為、下まで流れ出してはいません。
しかし、それでも溢れ出る大量の水は、水を受けるコンクリートからこぼれ出し、海へと急斜面を流れて行きます。

陸ガイドスタッフの鴻池にガイドを頼み、一緒に行ってもらいました。
キャンプ場「海のふるさと村」から途中までは車で行ったのですが後は徒歩です。
鬱蒼と茂る森の中に初めは舗装された道が続きます。
しばらくするとそれも無くなり、完全な山道です。
左右を大きな木に囲まれて歩くのは本当に気持ちの良いものです。
途中で植物の説明を聞いたり、陸生貝を観察したりと歩く事約1時間

やっと目的の場所に付きました。
近づいて行くと「ジャバジャバ」と水のこぼれる音が聞こえて来る程です。
草を掻き分け目的の生物を探します。
暫し探すと、見つかりました~~今回の目的サワガニです。


サワガニは日本固有種で、通常河川に生息しています。
モクズガニやベンケイガニと違い海に降りる事は無く、一生淡水で暮しています。
サワガニ(沢蟹)と言われる様に綺麗な水にのみ生息出来るカニで
水質階級の指標動物にもなっています。フノウの滝の水はやっぱり綺麗な良い水なんですね~

大島にも生息しているカクベンケイガニやアカテガニ等は海に幼生を放出しないといけませんが
サワガニは雌が抱えている卵の中で、幼生が変態します。
つまり生まれた時から、普通のカニの姿をしているのです。
その為、長距離の移動は出来ませんので、地域集団毎に遺伝子レベルでの分化が認めらています。
例えば、近縁のヤクシマサワガニ等は屋久島の固有種になっています。
約10種類位が日本に生息していますが、その大半が絶滅危惧種に指定されています。

黒潮を利用した分布拡大が出来ないサワガニが何故大島にいるのでしょう?
考えられるのは人の手によって持ち込まれた事です。
何故・何時持ち込まれたか分りませんが、そう考えるのが自然でしょう。
食用に持ち込んだのか、他の植物に稚ガニがくっついて来たのかは不明です。
どちらにしても見事に繁殖をし立派に世代交代を行っているようです。

もしかしたら何かの漂流物にくっついて運ばれて来たのかもしれません。
初めは卵を持った雌1匹だったのが、ドンドン数が増え今の様になったのだとしたら
なんてロマンのある話でしょう?自然の逞しさを感じます。

今回の調査では、標本を数匹持ち帰っています。
先にも書きましたが遺伝子レベルで調べれば、どこの個体群と同じになるのか分るはずです。
こちらの調査もして頂く事になっています。
もしそれが、黒潮が本土に近づく場所の個体群と同じ遺伝子ならば、「流れてきた説」もまんざらでは無いでしょう

もしかしたら後数百年もしたら遺伝子レベルで違いが生まれ「オオシマサワガニ」なんかが生まれるかもしれませんね~

以上で3回に亘る調査報告も終了です。
大島という小さな島にこれだけ貴重な生き物が棲んでいます。
汽水・淡水性のカニという狭いカテゴリーですら、これ程の数が見つかるのです。
中には、大島以外では普通に沢山いるという種類もいます。
しかし、だからと言って大島の物が貴重では無いと言う事にはなりません。
生物には環境が大事です。砂浜や磯、そして今回の様な滝。
この環境が無くなれば、一緒にそこに棲む生き物も消えて行きます。
これを守っていけるのは、人間しかいません。島に住んでいると、目の前にある海や山が何時までもある「当たり前の物」の様に感じてきます。
それは、決して「当たり前の物」では無く「守って行く物」なのです。
守って行くからこそ「当たり前」に目の前にあるのです。
一人一人がこれを意識して行く事で、小さな生き物の命が守られて行きます。

自然環境を守りながらの開発。これからの大島に必要ですね。

有馬
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鳥のお食事

2011年01月04日 | 今日の大島
 本当に穏やかなお正月でした。

海が・・・

ナギ~~~~♪ ひゃっほぅ~!^^!
(凪の海を見ると浮かれる私)

シブキが低い太陽の光を浴びて踊っています♪

キャ~。(喜んでます^^)
水平線斜めで残念っ、すみません・・

そんないつもの散歩道ですが、ふと、こんな落し物

おや、これは~・・(あたりを見渡して)
あ、これですね!

松とソテツの組み合わせ。独特の大島らしい風景!

このソテツの実を、たぶんカラスくんがオレンジ色の、皮の部分だけ食べているようです。

こ~んなに実が付いていますから、今はご馳走たくさんなのですね♪

食べられていない実をよく見てみると・・・

こんなにふわふわな感じ。

ソテツの実にも何やら毒があるらしいのですが・・
皮の部分には毒がないんでしょうかね。
それを知っていて、皮だけ食べているのでしょうか?
それにしても、ふわふわな皮ってイメージとしては実を守る為なのでしょうけど。
皮のほうをお目当てにされちゃっているようですが・・^^;
どんなに美味しい皮なのでしょうね?!
でも毒ですから、味見はやめておきましょうねっ。


この中身は大島では椿の実と同じく、漆(?)を塗ってキーホルダーにもなります。
こういう伝統工芸は、いつまでも続いていくと良いのですが、何にしても最近は
引き継いでいく人間が不足しているようですから心配ですね。

先日の山登りの時、山頂口にある小さなお土産屋さんの並びのうち半分以上が
取り壊されているのを発見し、ビックリしました。
やっていないお土産屋さんが並ぶのも見た目によくない、という事なのでしょう。
でも、なんだか昔はここがたくさんのお土産屋さんで埋まっていたのだろうと思うと
寂しい気持ちになりました。

大島がジオパークに認定された事で、こうして町をあげての運動をしていますから
きっと山頂口付近もこれから少しずつ、活気を増していくのでしょうね。
そんな山頂口を見られる日がくるのを楽しみにしています。

(友)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

筆島火山

2011年01月03日 | 火山・ジオパーク
大島は成層火山なのでいたるところに水平の地層が見られています。
しかし、

場所によってはこんなに縦長の地層を見る事が出来ます。(水もしみ出て流れています)

ここは筆島の崖

筆島は大島三原より古い時代に有った筆島火山の名残です。筆島火山の半分は海に削られ、半分は大島三原火山にのみ込まれてしまいました。今ある筆島は火孔に残ったマグマの残骸なのです。

下に降りてみましょう


初めは黒い玄武岩質です。よく見ると写真の中央に下から細かい岩石で新しいマグマが入っています。
新しいマグマは蛸の足のように沢山見られます。


少し歩くともう岩質が変わってきました。真ん中にあるのは筆島火山に分け入った新しいマグマ。


上の方は山体崩落の跡でしょうか。


水がしみ出ています。近くには簡易水道の水源として利用されているところがあります。


穴があります。前はもっと大きかったような気がしましたが…自然の姿はよく変わりますから





3色層
ベージュ=カキハラ・トウシキにも同じような色の岩石があります(豆石が出来たのはこんな色の砂)
赤=玄武岩質が酸化すると赤くなります
岩石=古い筆島火山を分け入った新しいマグマ


先に見えるのが黒崎です


見える所だけですが砂の中10メートル50メートル中の断面はどうなっているのか想像するとちょっとおもしろい! でも誰か解説してくれないかな…    (しま)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頑張る家族・元旦ツアー

2011年01月02日 | ツアー
今日は昨日の元旦ツアーについての報告です。

ツアーに参加してくださったのは、1歳、3歳のお子様連れのご夫婦で、大晦日に続いての連日ツアーでした。(リクエスト、有難うございました!)

昨日は、強風の大晦日とは対象的な、そよ風と青空の山日和…。
「これは頑張って火孔を見に行くしかないでしょう!」…ということで、コースは三原山に決定しました。

1986年溶岩流先端で、写真を撮ろうとすると後ろを向いてしまうシャイなK君です。


いつも楽しみにしている遊歩道沿いのツララは登山客に大人気で、手の届く場所の物はほとんど折られてしまっていましたが、かろうじて端に残っていたものをGETしました。

ツララ観察中の子ども達。
「何時間、氷が解けずに持つのか?」ということが話題になり、袋に入れて持ち歩き、観察することになりました。

元旦といえば初詣。三原神社にも立ち寄りました。


「お賽銭箱の中には、何が入っているのかな~?」


さて初詣後は舗装道を歩いて火孔を見ようか火口を一周しようかを皆で話し合い
結局火口一周にチャレンジする事になりました。

未舗道路に入ったとたん転び、半べそをかきながらも頑張って歩く3歳のK君と、
1歳の赤ちゃんを抱えたまま元気に歩くお母さん、優しくフォローするお父さんです。

ユリのタネの散布を手伝ったり、様々な色の石を見つけたりしながら坂道を登ります。

「頑張れ」と言われると頑張れないけれど、「お母さんを助けて」みたいに頼まれると
ついつい頑張ってしまう、男気のあるK君でした。

火孔をバックに一休み。
1m後ろに巨大な火孔がパッカリ口をあけている場所で、スコリアで遊ぶ1歳の赤ちゃん。

ツアー中に、この場所でこのシチュエーションというのは、初めての経験です。(笑)
頑張る家族と一緒のお鉢周り(大島では火口一周をこう呼びます)、
…1年の始まりのツアーとしては、最高なのではないでしょうか!

ここで、大切に持ち歩いたツララの存在を思い出して確認したら、まだ氷の塊として残っていました。
「この氷をモクモク湯気の上がる熱い火孔に投げ込んでみよう!」と、またまた新企画が持ち上がり
(…って言いだしっぺは私?笑)、チャレンジしました!

「火山が『冷たいじゃないか!』って怒るかもね~。」なんて話しながら、火孔に向って氷の塊を「エイヤッ!」と投げ込みました。

…しかし、なぜかその時だけ風が吹き、軽い氷は吹き戻されて火孔には届きませんでした。
ざ、残念~。

天気が良い日のお鉢周りは最高の気分です。
歩くとどんどん景色が変わり、「地球は丸いんだな~」ということが実感できます。

この日は銀色に輝く海の上に、伊豆諸島の島々が浮かんでいるのがクッキリと見えました。

三宅島まで見えていました!

3歳のK君は結局、道中2回転び、涙を浮かべながらも頑張って歩きとおしました。
特に後半は疲れてしまって「足が痛いよ~。」と泣きそうでしたが、
最後まで自分の足で歩ききりました!

K君、偉い~!!

1歳の子どもを抱えながら、T君をやさしく励まし続けるご両親と、半べそかきながらも歩きとおしたK君。
昨日のツアーで私自身も、これからの1年間を頑張るパワーをもらえたような気がしました。

いつの日か、成長したK君とまた火口一周を歩きたいです。
(でもその頃には次の噴火で地形が変わっているだろな~)

(カナ)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする