
作家山本一力の作品の舞台となっている東京下町の風景情景を描いている、あわせて作者の思い出や感想も書かれている。彼の作品の背景をしるのに参考となるエッセーといえる。
彼の作品にただよう清潔は
「新聞専売所住み込み時代のこと。
社会人になりたてのころのこと。
ひとを思うおのれのこころに、身体を震わせていた若き日のこと。
それらの現場の多くには、もはやかっての表情は残っていない。
しかし、それがどうした。
東京オリンピックへの追憶は、いまもいささかも色あせてはいない。いや、
一年ごとに思い出の輪郭は、さらに鮮明になっている。」
という表現には力強いものを感じる、ここに彼の作品に漂う強さが伺われる。