
心理療法の理想は、
クライアントが自分で考え、自分で判断し、自分が決断して、
何らかの行動を起こしたり、
自分の在り方、生き方に自信や誇りを持てるようになることです。
つまり、クライアントが誰かや何かに依存することなく
自分の足で立ち、歩めるようになることです。
さらに言うと、クライアントが施療のゴールを迎えた時に、
あの施療者はあまり助けにならなかったけれども、
自分の力でそれを成し遂げたと思えていたなら
それは最高の施療であると私は考えています。
とは言うものの、
人は、何かに頼って、支えられて生きていることも間違いなく、
完全に自分の力だけで大丈夫だと思っている人がいたとしても、
厳密に言うと、
多くの医療施設に支えられたり、ライフラインが整備されていたり、
警察、食料品店、衣料店等、友人や仲間、
また、何も深い人間関係の人の存在だけなく、
家の外で歩いている人の存在を感じられることでも安心感を得ているものです。
また、長い人生、生きていれば色々とあるのも当然で、
それまでの自分に無かった何かを増やしたり、
それまでの自分が掴んでいた何かを減らしたりして、
その問題を乗り越えたとしても、
その先で、また別の何かの問題と言うか、
新たな壁の前に立つことがあっても不思議ではありませんし、
セレブの人が、お抱えの弁護士、お抱えのボディガード、
お抱えの料理人、お抱えの医師、お抱えのメンタル・トレーナー
を雇っていたとしても、それを自立していない証拠と言うのも
どうかと思います。
ですから、
「何かあったとしてもあのメンタル・トレーナーがいるから大丈夫かな。」
というような施療のゴールでも、
その施療は良い施療だったと言えるかもしれません。
また、
毎日決まった時間、決まった量の薬を
飲んでいるから大丈夫では
薬で痛み止めをしているようなものですから
解決とは言えませんが、
ポケットに薬をしのばせていることで、
「いざとなったらこの薬があるから。」との気持ちを持て、
その気持ちが持てることで
問題を引き起こすトリガ―を引かなくさせる。
そして、それ以後の色々な経験や人との出会いの中で
知らず知らず成長し、
やがてメンタル・トレーナーのことも
ポケットに忍ばせた薬のことも
忘れていく。
それで悪い訳が無いと思うのです。
催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計