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サッカーと政治とビジネス

2005-05-09 14:17:31 | スポーツ
今日のスポーツ新聞が、一斉に日朝戦、韓国で開催を 与野党議員121人が訴えという内容の記事を、WEBサイトで報じている。
2006年W杯ドイツ大会出場をかけてのアジア地区最終予選で、北朝鮮に対するFIFAの裁定が厳しすぎるということから、このような動きとなったわけだが本当に「朝鮮半島の同胞」のためなのだろうか?と思ってしまう一面がある。

おそらく、予選の試合後選手達が「スポンサーボード」と呼ばれる前で、インタビューを受けている場面を見たことのある人は多いと思う。
そのスポンサーボードには「HYUNDA」の文字が、シッカリと映っているはずだ。
韓国サッカー協会会長であり、FIFAの副理事を務める鄭夢準氏(チョン・モンジュ)の家族が経営している「現代(=HYUNDAI)」が、FIFAだけではなくAFC(=アジアサッカー連盟)のスポンサー企業なのである。
その影響力は絶大で、実際、現在のノム・ヒョン大統領の選挙戦の時には相当の資金援助があったといわれている。
その見返りではないが、現代グループの旅行会社のみが北朝鮮へのツアーを開催している。
それだけではなく、北朝鮮への企業進出の意欲が高いのも現代グループである。
次期大統領としてチョン氏を上げる人も少なくない。
日本のように、元サッカー選手がサッカー協会の会長をしているのとは、訳が違うのである。
だからこそ、サッカーに対しての愛情よりも政治やビジネスの道具としているように、感じてしまう。

別に韓国の人たちが願っているであろう、「南北統一」を悪く言うつもりはない。
ただ、北朝鮮のサッカー連盟が上訴していないのに、韓国の与野党議員がFIFAに請願するということに、どこか後ろ暗い感じがするのである。
実際、今回の北朝鮮に対するFIFAの裁定は、厳しい内容のものであっただろうか?
FIFAが重視したのは、予選を運営する能力だったのではないだろうか?
短期間の内に同じような騒動を繰り返してしまったことで、大会の運営能力に疑問が持たれ、第3国での開催となったハズである。
ところが、第3国での開催となったとき「北朝鮮のホーム試合にも関わらず、日本のホーム状態になりかねない」ので、公平性を期すために「無観客試合」となったのではないか?

もう一つ、韓国の与野党議員さんたちが上げている「第3国での試合なら、韓国で」という意見も、自国の状況が分かっていないような気がする。
というのも、先日行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の第4試合「水原(スォン)対磐田」の試合が、水原のスタジアムで行われた。
このとき、水原サポーターは「戦犯国のみなさん、ようこそ」という横断幕を掲げ、試合後磐田サポーターに対して、石やペットボトルなどを投げつけ、警察もそれを止めることをしなかったのである。
もちろん、このような水原サポーターに対して、磐田サイドはAFCを通じて抗議などを行ったようだが、これでは、昨年のアジアカップの二の舞である。
クラブチームの試合だからこそ、怪我人などもあまり出さずに済んだようだが、もし代表チームとなった時には、その熱狂度から考えれば北朝鮮で行われたイラン戦後程度では済まないのではないだろうか?
もちろん、背景にある「反日」ということも忘れてはいけないことなのだが、まだまだスポーツの世界に政治を持ち込んでくる人たちは、多いのである。
そのことを、韓国の政治家のみなさんは分かっているのだろうか?

スポーツ、特にサッカーというスポーツはその競技人口と競技地域の多さから「世界最大のスポーツ」といわれている。
だからこそ、そこには数々の利権ビジネスが発生し、政治的な力を有する人が出てくるのである。
一番分かりやすい例は「ACミラン」のオーナーで、イタリアのテレビ局他メディア企業を経営している、イタリアのベルルスコーニ首相だろう。
サッカーというスポーツを通して見えてくる世界は、日本のプロ野球よりも「魑魅魍魎とした世界」かも知れない。