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マンハッタン計画とグランド・ゼロ-広島原爆記念日を前に-

2005-08-04 20:06:15 | 徒然
先月末あたりから、全国紙に「原爆」に関連する記事が目立つようになってきた。
「原爆」という世界最初の被災国として、伝えなくてはいけない「第二次世界大戦と原爆」なのだが、どうやらアメリカ合衆国などの戦勝国では、決してそのような受け止められ方をしていないようだ。

アメリカでは「第二次世界大戦を終わらせた、功労」という認識が、強いといわれている。
それを裏付けるように、スミソニアンの飛行と宇宙の展示会場では、広島型原爆を投下した「エノラゲイ」が、誇らしく展示がしてある。
数年前だったかと思うが、広島の市民団体が「原爆展」をアメリカ全土で巡回展示をしようとしたら、アメリカ社会、特に退役軍人会などから猛反発にあい、あえなく断念したというような経過があったと記憶している。
「退役軍人会」というのは、アメリカ国内でも相当政治的圧力を持っている、非政治団体である。

「原爆」そのものは、ヒットラー率いる「ナチス軍」が核兵器の開発を進めている、という情報を元に、アメリカが秘密裏に計画し作ったモノである。
その計画名が「マンハッタン計画」。
中心となったのは、ユダヤ人物理学者オッペンハイマー博士。
私のブログでも何度か登場しているR.ファインマン博士も、新進気鋭の若手物理学者として、プリンストン大学から参加している。
彼の自伝などでは、あまり「マンハッタン計画」そのものに触れるような内容は、多くない。
「このような実験をした」というような記述がされているに、とどまっている。
ただ、ノーベル物理学賞を受賞後日本を訪れたファインマンは、改めて「マンハッタン計画」がもたらしたことや科学者としての苦悩のようなことを、書き記している。
それは、計画を指揮したオッペンハイマーなども同じだったようだ。
オッペンハイマー自身は、原爆投下前からその「悲劇」を予測していたという。
そして、「原爆投下を勧めた」アインシュタインなども。

あの日から60年。
唯一の被爆国・日本は、あの戦争がどれだけ無意味なものであったのか?
そして、「国のエゴがもたらす、世界全体への不利益」というものを、訴え続けることができたのだろう?
「遺骨も、遺品も無く、その影だけが建物に焼き付けられて亡くなった人たちが、その瞬間にいた場所」・・・まさにそこが「グランド・ゼロ=爆心地」なのだ。

「影となった人たちの存在の意味」を、伝える8月がやってきた。