日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

既存のイメージを壊す

2012-07-11 11:54:51 | アラカルト
大阪市の橋下さんが「府立中之島図書館」の廃止を言い始めたのは、先月のコトだった。
その後どうなったのかは、知らないのだがこのとき「図書館の持つ社会的役割」というコトを考えるきっかけとなった様な気がする。

実家から名古屋へと戻る高速バスが、大阪市内に入りしばらくすると高層ビル街が突然タイムスリップをしたような、クラシックな建物がいくつか目に飛び込んでくる。
そのクラシックな建物の一つが、府立中之島図書館だと思う。
それらの建物を見る度に、「大阪の人がうらやましい」と感じていた。
戦時中の空襲を逃れ、明治~昭和初期に建物が悠然とした姿で残り、今でも使われているからだ。
決して「クラシックな建造物」だけで終わっていない、と言うのは都市としての魅力だと思っている。

橋下さんもそれは認めているようだが、「図書館」としての機能となると「不要」というコトらしい。
本当にそうなのだろうか?
これまで、新聞などに寄せられた利用者の声というのは「ビジネス街にたくさんの蔵書が有る図書館は、必要」という内容が多いようだが、「図書館」というこれまでイメージしてきた、「枠」の様なモノを壊す位の提案が府民・市民から出てこなくては、今の橋下さんを説得するには厳しい様な気がする。

では、「図書館」というこれまでのイメージの枠を代える、と言うコトはどういうことなのか?
これは図書館に限らず、美術館などにも言えるコトだが「知の集積広場」と考えると、少し違った視点が生まれるのでは?
もっと違うコトバで言うと「公立図書館は、本の無料貸し出しと無料自習室の提供が、本業なのか?」というトコロから考え直す位のコトだ。
せっかくすばらしい蔵書があるのであれば、その蔵書を使ったイベントをしたり、美術館の企画展示と連動させた企画があってもおもしろいと思う。
他にも補助金が減額されると話題になった「文楽」と、関連書籍を提示しながら、上演するコトでより「文楽」への理解が深まるかも知れない。
まして重厚で趣のある「府立中之島図書館」なら、もっとその魅力が伝わるのでは?

それだけでは無く、図書館が積極的に出版活動をしても良いのでは?
実際、地方の公立図書館では「地元をテーマとした」出版などを手がけているトコロもある。
見方を変えれば、図書館は地域の伝統や文化を「コトバや文字・絵で継承して行く場所」でもある、と考えられる。
電子書籍化と地域の文化の継承・保護という視点で、もっと情報を発信する、と言うコトができるのも「図書館の役割」だろうし、そこに人が集まるコトで「広場」となるのでは?

今まで「それが当たり前」と思っていた、イメージを壊すコトでより豊かな提案が、できるのでは?
それはビジネスについても、言えるコトだが・・・。