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「炎上CM」は、見たくない‐サントリー「頂」のCM‐

2017-07-10 18:20:01 | CMウォッチ

先週だったと思うのだが、サントリーの新しいビール「頂」のWEBのCMが、「表現が不愉快」などの理由で取りやめになった。

そのCMについて、制作をした電通側の社員(?)から「炎上を狙うこともある」という話が、BUZZ FEEDに掲載されている。
BUZZ FEED:サントリーのビールCM炎上の舞台裏 電通社員「炎上を狙うことがある」

テレビCMとWEBのCMの違いは、WEBの場合アクセスしてくれる人がいないと視聴が、「0」というコトになる。
そのための「話題づくり」が必要だった、というのが「炎上を狙う」というコトだったようだが、「炎上」によって様々なイメージが生活者に植えつけられる、という発想はなかったのだろうか?と、疑問に感じたのだ。

WEBのCMだけではなく、個人が発信するSNSなどでも「話題になりたい」という人達はいる。
過剰だと感じるほど、SNSで「リア充」をアピールする人達なども、心理的には「話題になりたい。注目されたい」という気持ちがあるからだろう。
そう考えると、今回の電通社員の「炎上を狙う」という発想は、必要以上に「リア充」をアピールする人達と同じなのでは?という、気がしてくる。

ただ、その発想はあまりにも短絡的で、商品や企業を「どう伝えるのか?」という部分での発想が無さすぎる、という気がしてならない。
テレビCMは、ダラダラと流れているわけではない。
時間帯によって、流されるCMは変わってくる。
ビールを含むお酒のCMが、夕方以降に多いというのは、テレビを視聴している生活者のことを考えてのことだ。
「購買層となる生活者の時間帯に合わせる」というだけではなく、」見てほしくない層(お酒の場合は、子どもというコトになる)が視聴しにくい時間帯を考慮する」という、意味もあるはずなのだ。
まして今のように、テレビを視聴するスタイルが様々になってくると、テレビであってもCMそのものを見てもらいにくい、という状況になりつつあるはずだ。
「WEBだから」という理由で、「炎上やむなし」とはならないのが、今のテレビ視聴スタイルの状況なのではないだろうか?

youtubeなどで、昔懐かしいCMを見ることがある。
今のCMに比べると、粗削りな表現も多いし、今では放送禁止?!となるような表現のCMもある。
しかし、作り手側の商品や企業に対する思い、生活者に届けたい・・・という、気持ちが伝わってくるものも多いような気がする。
テレビCMそのものは、多くの生活者にとって「邪魔モノ」扱いをされてきた。
だからこそ、作りて側は「見てもらうための努力」をしてきたはずだ。
受け手となる生活者が、思わず「ハッとする」ようなCMであれば、WEBであろうとテレビであろうと、生活者を引き付け、商品や企業のイメージアップへと繋がっていくことには、変わりないと思う。