朝日新聞に「名古屋らしいな~」という、記事があった。
朝日新聞:婦人服売り場「母娘フロア」に改装 名古屋三越栄店
「婦人服売り場をリニューアルして、母親と娘が一緒に買い物を楽しめるフロアーへ改装する」という、内容の記事なのだが、名古屋以外の地域に住んでいらっしゃる方の中には「母親と娘が一緒に買い物?小学生じゃあるまいし・・・」と、思われたかもしれない。
名古屋では随分前から「母親と娘の関係」を、「一卵性母娘」と言われることが多い。
この場合、母親は40代~60代、娘は20代~40代という年齢だ。
決して30代~40代の母親と10代の娘、という関係ではない。
「母と娘」の関係は、大人になってからも「子どもの頃」のような関係が、続いているケースが多い。
はたから見ると、しばらく前に言われた「母親が娘を支配する・毒親と娘」のような関係にも思えるかもしれないが、当人たちにとっては、とても居心地の良い関係なのだ。
何故なら、母親が娘にファッションアドバイスをするように、娘もまた母親にファッションアドバイスをする、というある種の「友達親子」のような関係もあるからだ。
もう一つ、非名古屋出身者から見る「母・娘関係」の特徴的なことは、結婚後も娘と実家の関係がとても強い、という点がある。
「嫁姑の関係で悩む」のが一般的だとすれば、「婿VS姑・舅関係で悩む」男性が名古屋に限って言えば多いのでは?と、感じている。
結婚後もお嫁さんが自分の実家へ頻繁に行く、ということが当たり前で、ほぼ毎日昼間は実家で過ごす、というお嫁さんもいらっしゃる。
今は働く女性も多いので、昼間実家で過ごす娘さんも少なくなってきているとは思うのだが、仕事の帰りに実家に寄り母親が作ってくれたお惣菜を、手土産に持たせてもらうことも、特別なことではない。
「過保護」と言われればそれまでだが、それが名古屋の「母・娘関係のスタンダード」でもあるのだ。
ただ最近このような「一卵性母娘」という関係は、名古屋に限ったコトではないのでは?という、気もしている。
それは、上述した通り「一卵性母娘」の対象となっている年齢層だ。
母親世代のファッションや美容の志向が、「年齢を感じさせない」という意識が強いからだ。
「いつまでも若々しく」という願望は、いつの時代でもあるもので、女性に限ったことでもない。
その中でも「一卵性母娘」の母親世代は、特に強く「娘と共通の服が着られる」などが、一つの自慢でもあるからだ。
しかも「変に若作りをしたオバサン」には見られたくない為、娘からのアドバイスも積極的に聞き入れる、という柔軟な思考(というのか?)も持っている。
そして、そのような女性は潜在的に増えつつあるような気がするのだ。
名古屋の場合、もともと地元志向が強いため、娘が成人をしてからも「子供の頃のような母・娘関係」が継続しやすい、ということもあると思うが、その傾向は、他の都市部でも起きているのでは?という、気がしている。