時折、新聞に海外のファッションニュースが掲載されることがある。
特に、パリコレクションが開催される「ファッションウィーク」の後には、来シーズンの各メゾン(デザイナー)が発表した中でも、特徴的だったファッションが掲載されることが多い。
今日の朝日新聞を見て、随分色づかいをはじめ変わったな~と感じたのが、コムデギャルソンだ。
朝日新聞:コムデギャルソンの新作が誘う服自分の関係への問い
コムデギャルソンと言えば、デザイナーは川久保玲さんが中心となり、若手デザイナーもいらっしゃったと思うのだが、記事の中では川久保さんの名前しかないということは、記事で紹介されたデザイナーは川久保さんということになるのかもしれない。
その川久保さんの特徴の一つが、墨のような黒の服だ(その後、赤などの色づかいへと変わっては行ったが、単色使いが中心だったような記憶がある)。
川久保さん、Y'sの山本耀司さんなど1970年代後半から1980年代、パリのプレタポルテで活躍した日本人デザイナーの多くは、華やかなヨーロッパのデザイナーが創り出すファッションとは、一線を画すような「非構築的」で「モノクロ」のような色づかいで話題となった。
同時代に活躍していたKENZOのようなフォークロア調や、三宅一生さんの折り紙を基したようなプリーツによる、独特なフォルムなど、それまでのパリコレで見るコトが無かったようなデザインや色調、布使いに世界が驚いた時代でもあったように思う。
そのデザイナーの中で、今でも意欲的にコレクションを発表しているのが、川久保さんということになると思う。
上述したように、川久保さんのデザインの特徴というのが、単調ともとれる色づかい、切りっぱなしのような布の始末、それまでも立体裁断パターン(今の洋服は、この裁断パターンを基に作られている)とは違う、パターン。
まるで、和裁の感覚でパターンを作りなおしたような服作りをされてきている、と感じている。
既にデザイナーとしてのキャリアは40年以上になる川久保さんの今回の秋冬のコレクションを見て、一番驚いたのが、色づかいの変化だ。
ピンク色のドレスや金色に輝くフィラメント素材のドレスは、これまでの「川久保さんらしさ」から大きくかけ離れた印象を持ったのだ。
川久保さんの特徴である、墨のような黒を中心とした色づかいが影を潜め、開放的な色づかいがされているからだ。
年齢的には、喜寿を超えられた年齢になられていると思うのだが、その挑戦的な姿勢には、こちらが勇気をもらえるくらいの力強さが感じられる。
川久保さんだけではないが、ファッションデザイナーと呼ばれる人たちの多くは、その時々の時代の空気を受け止める感覚がとても鋭い。
川久保さんももちろんその一人だと思うのだが、そう考えると人々が求めているモノが変わり始めているのでは?と感じるのだ。
それは「個人を尊重するカラフルな時代」ということのような気がする。