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ピンチをチャンスに変えるユーモア

2019-09-18 11:53:19 | マーケティング

Yahoo!に「ココアシガレット」の話題が掲載されていた。
元となったのは、日経クロストレンドの記事だ。
日経クロストレンド:「ココアシガレット」が人気再燃 老舗駄菓子会社のしたたか経営

子どもの頃「ココアシガレット」を、煙草のようにくわえた経験がある方は多いだろう。
何より、駄菓子屋さんに行くと色とりどりの駄菓子の中でも、パッケージが本物のタバコのような形状で、目を引いた。
モデルとなったタバコは、発売当時人気があった(?)ピースだろうか?

この記事で初めて知ったのだが、この「ココアシガレット」が若い世代で人気になっているという。
人気の理由が、若い世代で人気のシンガーソングライター・あいみょんが自身のInstagramに「ココアシガレット」をくわえた写真を載せた、ということのようだ。
実は今朝聞いていたFM番組でも、この「ココアシガレット」を製造・販売をしているオリオンについての話題があり、違う視点での人気の復活があった、という話があったのだ。

ご存じのように「ココアシガレット」の形状が、タバコに似ているということから、昨今の「禁煙社会化」により、売上は低迷していたという。
別に「ココアシガレット」とタバコは別ものなのだが、やはりその形状やパッケージから「教育上よろしくない」という、社会的雰囲気もあったのだろう、と想像する。
ところが、オリオンはこの「形状とパッケージが似ている」という、ネガティブ要素をユーモアという発想の転換で乗り切った、という。

それは「タバコが吸いたくても吸えない方に、ココアシガレット」というアプローチだ。
「2011年からオリオンはあなたの禁煙を応援します」という、メッセージのコピーもつける、という念の入れようだ。
確かに商品そのものは駄菓子なので、喫煙のような心地よさ(非喫煙者なので、喫煙者の心理が分からずこのような表現になってしまい、申し訳ない)は得られない。
しかし「タバコを吸った」という疑似経験は得られるだろう、ということのようだ。
事実、このようなキャッチコピーにより「(子供の)駄菓子」が「大人の駄菓子」へと市場を拡大させることに成功させた、というのがFM番組での話だった。
「柳の下の二匹目のドジョウ」というわけではないだろうが、電子式タバコに似せた「マイコス」というメンソール駄菓子を発売している。
ネーミングとパッケージの巧妙さもあり、海外からの観光客から大人気になっているという。

とはいうものの、この「マイコス」だけではなく、駄菓子の定番「コーラ味のラムネ」なども、コピー商品ではないか?と、訴えられている。
「コーラ味のラムネ」の時には、「コーラ味だが、飲み物のコーラではなく菓子である」という主張により、勝訴をしているという(10年くらいかかったようだが)。
「マイコス」に関しては、当初の「my QOS」から「my COS」の表記に変更している。

「ココアシガレット」にしても「コーラ味のラムネ」、「マイコス」などは社会的問題であったり訴訟相手が世界に名だたる大企業であったにもかかわらず、ユーモアと発想の転換によってピンチをチャンスに変えてきている。
今の日本の企業に足りないモノがあるとすれば、オリオンのようなユーモアと発想の転換なのではないだろうか?と、考えさせられるのだ。