日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

言葉尻をとらえるよりも、問題の本質に目を向けよう

2019-09-24 18:02:23 | アラカルト

ニューヨークで開かれた「国連気候行動サミット」は、いろいろな意味で注目される会議となった。
中でも一番注目されたのは、グレタ・トゥーンベリさん(高校生・16歳)のスピーチだろう。
Huffpost:グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ「あなたたちの裏切りに気づきはじめています」

彼女の顔を真っ赤にして訴えるスピーチは、とても力強く参加していた大人たちに強烈なパンチをくらわした、という印象を受けた。
たった一人の女子高校生が始めた「地球温暖化に対するデモ(というか、スト)」は、瞬く間に同世代の共感を得、世界各地へと広まっていった。
それだけ若い世代にとって「環境問題」というのは、私たち大人が想像するよりも身近な問題として、とらえているのかもしれない。
彼らの頭の中には「経済がどうだとか、産業が云々」というような思考が無いからこそ、強烈で率直なメッセージが発信できるのだろう。

そして日本では、この会議に出席した小泉進次郎氏の言葉が、話題になっている。
ニューズウィーク:「環境ポピュリスト」小泉進次郎は、楽しくもセクシーでもない温暖化対策の現実を語れ

会議後の共同記者会見で、小泉進次郎氏が「気候変動のようにスケールの大きな問題に取り組むためには、楽しくかつクールで、しかもセクシーでなければならない」と述べたことから「セクシー」と言う言葉が独り歩きをしてしまった感がある。
この記事が指摘している通り、環境問題というのは決して「楽しく、クールでセクシー」に語り、解決できる問題ではない。
まして今の日本は、「福島第一原子力発電所事故」による後処理が、遅々として進まず、放射性物質を高濃度に含んだ汚染水の処理に苦慮している。
東京オリンピック誘致の際、安倍首相が「我々のコントロール下にある」と話していたが、「管理下にある」だけで「対環境問題」としての解決は全くされていないまま時が過ぎていった、というのが現状だろう。

そして、この「原発事故」により休止していた火力発電所の再稼働などにより、「温暖化対策に積極的ではない日本」というイメージもついてしまっている。
「原発事故」直後から、全国各地で見られるようになったメガソーラー発電にしても、決して良いトコロばかりではない、ということもわかってきた。
その一例が、山を切り崩して設置した場所などで起きた、自然災害の問題だ。
バブル経済以前に工業用地として開発され、バブル崩壊後塩漬け状態になっていたような広大で平たい場所であれば、設置場所としては問題が無かったと思うのだが、「太陽光発電バブル」のようなブームに乗って、全国各地で無理な「ソーラーパネル設置」が行われた為に起きた、自然破壊だ。

それでは!ということで期待された「大型風力発電」もまた、日本の気候風土には合わなかったようで、動かなくなった風力発電機を地方の海岸沿いで見かけることがある。
それだけではなく、周辺住民の健康被害という問題もクローズアップされたことは、記憶に新しいのではないだろうか?

おそらく、人が「生活の利便性」を求めれば求めるほど、自然を痛めつける生活になるのではないだろうか?
とすれば「どこで折り合いをつけるのか?」ということを、真剣に考える必要があると思う。

国連でスピーチをしたグレタさんの強い口調や小泉進次郎氏の「セクシー」と言う言葉がけしからん!などと、いうことよりも、問題の本質を考えることが「地球温暖化対策」の第一歩のような気がする。

ちなみに小泉進次郎氏の「セクシー」と言う言葉は、英和辞書に掲載されている意味ではなくスラングに近い意味のような気がするので、野党の皆さんもその点を十分理解して、国会論戦をして欲しいと思っている。