日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「思い込み」というバイアス

2019-09-13 18:45:40 | アラカルト

台風15号による、千葉県内の停電が続いている。
当初の発表は、11日だったと思うのだが、これが日に日に伸びてこの3連休での復旧も難しいのでは?という、状況になっているようだ。
もちろん、現場で復旧作業に当たっている人たちは、この炎天下の中熱中症などと戦いながら、懸命な復旧作業に当たっているだろう。

今朝FM番組を聞いてたら、千葉県内で被災された方々のインタビューがあった。
インタビューを聞いていて驚いたことがあった。
それは「東京湾があるから、台風の被害はひどくならない」ということが、以前から言われていた、という内容だった。
その話を聞きながら、台風と東京湾との関係がまず理解できなかったことと、阪神淡路大震災が起きた時に「関西では大地震が起きない」という都市伝説のような話が以前からあり、作家・谷崎潤一郎などは、地震が嫌だから関西に引っ越した、という嘘のような本当のような話を思い出したのだった。
谷崎潤一郎が、「関西は地震が無いから」という理由で本当に引っ越したのかは分からないが、地震恐怖症であったことは間違いないようだ。
そのような都市伝説のような話が、まことしやかに信じられていたため「阪神淡路大震災」が起きた時、震源地に近い方たちは「まさか、(関西で)地震が起きるとは思わなかった」という言葉を、口々にした記憶がある。

人には「正常バイアス」と呼ばれる、根拠の無い「安全認識」のようなモノがある、と言われている。
災害時などでも「自分は、大丈夫だ」と、心のどこかで「(根拠の無い)安心感や自信がある」という、指摘だ。
そして今日のFM番組での被災された方の「東京湾があるから大丈夫」ということも、同じ「正常バイアス」の一つなのだと思う。

インタビューを受けていたのは、あくまでも被災された個人の方々なので、とても大変な状況での再建ということになるのだな~と思いながら聞いていたのだが、もしかしたら、東京電力にもこの「正常バイアス」による「危機管理意識」がされていたのでは?という、気がしてきたのだ。

その大きな理由は、「復旧目途」が二転三転しながら結局目途が立っていない、という点だ。
今回の台風15号による被害は甚大であったため、「被災地全体の状況」を把握するのに、時間がかかっているということは理解しているのだが、現地で復旧作業をされている方々と東京電力本社で復旧の指示を出している側との間では、情報の共通認識がされていないのでは?という、気がしているのだ。
それを阻害している一つが「(本社側の)正常バイアス」のようにも感じるのだ。

このような災害が発生し「生活インフラ」が切断されてしまった場合、「復旧の目途」となる日数などと復旧までの対応策などが、分かれば受け手となる生活者は、それなりの対応をすることができるだけではなく、安心が得られる。
一番不安になるのは「いつになったら復旧するのか分からない」ということだ。
しかも二転三転する復旧予定では、その不安はますます膨れ上がってしまう。
不安が不信へと発展していく、ということも十分考えられる。
不安が不信へと変わった時、生活者の不満は一気に東京電力へと向かうだろうし、それは「福島第一原発事故」に次ぐものになるのではないだろうか?

企業だからこそ「正常バイアス」に騙されない、危機管理意識を持たなくてはならない、ということも今回の台風15号は教えてくれているような気がする。