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気合と根性で始まった「新型コロナ」対策。次は「命の選別」か?

2021-08-03 19:51:11 | 徒然

昨夜、政府から「重症者以外は、自宅療養が基本」という、発表があった。
時事通信:重傷者以外は自宅療養が基本 感染急増地域で適用ー政府

このニュースを聞いた時、「命の選別が始まるのでは?」という、気がしたのだ。
これまでも、野党議員さんが治療を受けることなく亡くなった頃、与党の派閥の領袖と言われる人物は症状が出ていなくても「既往症があるので」という理由で、入院をしていた。
この出来事も「命の選別」という気がするのだが、今度はそれがより拡大した状況になる。

そもそも生活者がイメージしている「感染時の症状レベル」と医療者が考えている「感染時の症状レベル」には、イメージの相違のようなモノがあるのでは?と、感じている。
例えば「味覚が無くなり、高熱が出た」というのは、生活者にとっては「重症」という状態かもしれない。
しかし、厚労省の「新型コロナ治療ガイドライン」では下図のようになっている。


この「治療ガイドライン」を見て、「酸素投与が必要」でも中等症Ⅱのレベルなの?と、驚かれる方のほうが多いのでは?
それほど、生活者と厚労省が定めた「治療ガイドライン」とでは、違っているのだ。
「重症者=ICUで治療する」というレベル、ということになる。
それほど、爆発的に感染者が増えている地域では、入院できる病床が逼迫している、ということでもあるのだ。

考えてみれば、この1年政府が行ってきたことは「新しい生活様式」というネーミングで、様々な自粛を要請し、生活者に我慢を強いりながら「気合と根性」で「安心・安全」を繰り返してきた。
しかし1年以上経ち、政治家の方々が「政治資金パーティー」を開いたり、監督官庁である厚労省の官僚が遅くまで飲食をしていた、などという報道があるたびに、真面目な生活者は「自分たちはこれだけ我慢しているのに」という気持ちを、重ねてきたはずだ。

それが、東京オリンピック開催により、ある意味生活者の「箍が外れた」という状況になっているのが、今現在である、ともいえる。
その中で「重症者以外は自宅療養を基本とする」などと言われたら、「また、与党議員は軽症でも入院できるのに、自分はICU入院レベルでも治療が受けられないのかもしれない」という、気持ちになるのではないだろうか?
事実上の「医療崩壊」という状況であるにもかかわらず、政府側は東京オリンピック期間中ということもあってか?「医療崩壊」という言葉は使わない(だろう)。

「感染症の蔓延」で重症者が増えると、医療の現場では「命の選択」を迫られる場合が出てくる。
少なくとも厚労省をはじめ政府は「症状に応じた治療の受け皿」を、用意して欲しい。
それが生活者の「安心」にもなるだろうし、何より社会不安を抑えることに繋がるからだ。
そんな当たり前の政策が、何故示されることなく「重症者以外は自宅療養を基本」という、乱暴な話をしてしまうところが、一番の問題のような気がしている。