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2020東京オリンピックは、日本の「現場力」によるものだ

2021-08-09 12:38:27 | アラカルト

昨日で、2020東京オリンピックが閉幕した。
開会中は、日本人選手の活躍が連日のように報道され、開幕前のネガティブな雰囲気を打ち消すのに十分すぎるほどだった。
特に、新種目となった競技の10代アスリートたちの活躍は、未来を感じさせてくれるものだったように思う。
そして忘れてはならないのは、オリンピックを支えたボランティアや現場で黙々と働いていた関係者の姿だろう。

閉幕が近づくにつれ、Yahoo!のトピックスでは帰国する海外選手たちが残してくれた、様々なメッセージやコメント等が取り上げられるようになった。
帰国するために乗車したバスを関係スタッフ一同が、見送る姿に感動したり、メディアセンターなどに詰めているメディア関係者に「お疲れ様でした」と、労をねぎらうボランティアスタッフ等々、粛々とキビキビした動きで、会場設営をするヤマト運輸のスタッフ等にも「日本人の勤勉さ」のような姿として、選手や競技スタッフたちだけではなくオリンピックを取材するために来日したメディア関係者に「日本での開催は成功であった」と感じさせ、参加各国に配信された。
そしてこのような海外に配信された情報を、フィールドバックされるかのように日本で紹介されると、ボランティア等で参加をしていない人であっても「日本人として誇らしい」という気分になったのではないだろうか?
だからこそ、閉会式で参加国の選手たちが、日本に感謝をするような態度が自然に起こったのだろう。

今回の東京オリンピックに限らず、日本は「現場力」によって様々なことが維持されているのでは?と、感じることがある。
組織の上の人がエアコンの効いた部屋でまったりとしていたとしても、様々な出来事は現場で起きている。
いちいち指示を待っていては、対応できないことも数多くある。
判断の裁量云々ではなく、「困っている人がいたら、何とかしてあげたい」、「全力で力を発揮できるような環境を整えてあげたい」という気持ちが、自然と行動に現れることができるのは、日本人の良いところだろうし、そのような志があるからボランティアに参加したい!、仕事として関わりたい!という、気持ちにもなったのだと思う。

そのような人たちに支えられた2020東京オリンピックだったのだと思うのだが、何を見ていたのかIOCのバッハ会長は、菅首相と小池都知事に「最高勲章」を与えると、発表している。
スポニチ:バッハ会長が菅首相と小池都知事に「最高勲章」 国民感情逆なで表彰にネット大荒れ「2人は戦犯」

この報道を聞けば、ネット民だけではなくオリンピックに熱狂した国民の多くが、反発をすると思う。
というより、反発しないはずがない、と思ってしまうのだ。
それは上述した通り、参加国の選手や競技団体関係者たちだけではなく取材に来ていたメディア関係者がこぞって賞賛をしているのは、「現場で働く人たち」だからだ。
賞賛されるべき人達は別にいて、今回の混乱を招き、時には無責任な態度で会期中を過ごしてきたと感じる人達が、賞賛されようとしているからだ。

おそらくバッハ会長をはじめIOC関係者の方々は、日本の「現場力」によって支えられている、という社会システムが理解できないのだと思う。
指示命令系統の長となる人達の元、ボランティア一人ひとりが統一された考えを持ち、意識的に行動をしていた、と考えているのではないだろうか?
そしておそらく、日本以外の開催地では、そのような状況だったのではないだろうか?
IOC側が理解をしていないのであれば、菅首相と小池都知事は、大会に関わったすべての人たちに対して「賞賛されるべきは皆さんであり、皆さんの活躍が大会を良きものにしてくれた原動力である」と、声明を出すべきだと思うのだ。