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ペットフード市場の変化は、飼い主のペットに対する思いの変化か?

2021-08-04 20:40:43 | ビジネス

ファッション専門誌のWWDに、ファッションとは関係のない記事が掲載されていた。
WWD Japan:スープストックから”猫のためのスープ"が登場 ねこと暮らすシェフ開発の2種類

「ペットフードの高級化」は、随分前から言われてきた。
10年以上前から、ペットフードを扱うテレビCMには豪華なイメージを与えるような演出が多かった。
特にその傾向が強かったのが、猫のペットフードだった。
当時は、ペットとしての猫と犬の割合は犬の方が多かったはずだが、数年前に逆転をし今では猫を飼っている人のほうが、多いという。
2017年12月22日掲載 朝日新聞:ペット数、猫が犬を初めて逆転 飼い主の数は犬が多数

記事中にもあるが、猫を飼っている人の多くは「多頭飼い」と言って、複数の猫を飼っている人が多いからだ。
犬の場合、犬種にもよるが1頭であっても飼い主にかかる負担が大きく、また室内で飼うことができないという理由があるからだろう。
それに比べ、個体そのものが小さく家の中で飼うことができる猫は、複数飼っても世話がしやすい、ということなのでは?と、考えている。

とはいうものの、ペットとして飼われている犬や猫に関するトラブルや問題は後を絶たない。
その多くはブリーダー、ペットショップ、そして飼い主それぞれが、「ペット=愛玩動物」の「愛玩」にだけに価値を見出している、というモラルの問題だろう。
「愛玩動物」と言っても、「動物」なのだからその「命を飼う」という考えと覚悟、経済的余裕が無くては、やはり「ペットを飼う」ことはできないのでは?ということなのだと思う。
同じように「愛玩」という見方なのかもしれないのだが、飼い主と同じ食卓で、飼い主と同じもの(お刺身等)をペットに食べさせている、というペットの動画等が数多くある。
飼い主にとって、ペットとはいえ自分の子どものような感覚で、同じ食事を与えているということなのだろう。

そう考えると、スープストックトーキョーのシェフが「猫用スープ」を作ったことは、なんとなくだが理解できる。
「自分と同じスープストックトーキョーのものが、食べられる」というだけでも、猫を飼う人達にとっては、日常的で高い満足を与えることができるのでは?と、考えられるからだ。

ペットフードの開発では、実際に開発者がペットフードを食べる、ということがあるという。
ペットケアの専門学校等でも、同様のことが授業の一環としてある、という話も聞く。
「人と同じように安心・安全な食事」ということなのだろう。
ただ「ペットフード」と「人の食事」という区分が無くなり、「人と同じ食事のペットフード」が一般化するのでは?と感じている。
そしてその市場は、拡大し続けるのではないだろうか?