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そのエコは本当にエコなのか?

2021-10-29 19:57:10 | アラカルト

今朝FMを聞いていたら、「10年以上前、どこかで聞いたような話」が、話題になっていた。
TFM One Morning :コスモ アースコンシャスアクト 未来へのタカラモノ

毎週、エコロジー活動等の「次の世代に残しておきたいもの」をテーマに、世界の様々な年にフォーカスし、現地在住の日本人から、話を伺うという内容の番組だ。
今週は、インドネシアの「ペナン」という工業都市からの話題だった。
この番組のユニークなところは「次の世代に残しておきたいもの」がテーマになっているのだが、月曜日~木曜日は「文化や言語、習慣等残しておきたいもの」なのだが、金曜日は「残しておきたくないもの」を取り上げている。
そして今日は「パーム油脂を取るために栽培されているアブラヤシによって、自然体系が崩れている」という話だったのだ。

おそらく20年位前だったと思うのだが、私たちが日常的に使っている「合成洗剤」が、海洋汚染等の要因の一つである、と問題になったことがある。
代わりに注目されるようになった原材料の一つが「パームヤシ」だったのだ。
日本の洗剤メーカー1社が、「エコ」を強調した「パームヤシ」を原材料にした洗剤を発売したことで、日本の主な台所用洗剤は、アブラヤシ等の自然素材が中心となっていった、と記憶している。

ただ「アブラヤシ」はインドネシア等の熱帯地域で栽培される植物なので、当然ジャングルのような「自然の森」を開拓して、アブラヤシ畑になっていく。
それを懸念した人が、既に10数年前にいたのだ。
その頃は「合成洗剤=自然を破壊する悪」という捉えられ方が社会的にされていたので、ジャングルのような「自然の森」を開拓することは、現地の人たちの雇用と経済の発展につながるし、それがエコになる、と言われていたのだ。
それから10数年経ち、今度は「アブラヤシ」の栽培による「自然の森の破壊」が、問題になりつつあるのだ。

この話題を聞きながら、同様のことが起きるのでは?と感じている製品がある。
それは「大豆」を使った「代替ミート」だ。
大豆だけではないのかもしれないのだが、昨今の「ベジタリアン」や「ビーガン」の生活習慣が、素敵でお洒落なイメージでとらえられるようになり、「代替ミート」の原料となる大豆栽培が途上国等でも盛んにおこなわれるようになっているのでは?という点なのだ。

確かに一般的な「肉」を食べるには、畜産によって牛や豚、鶏等を殺さなくてはならない。
「動物を殺す」ということに対して、抵抗感を持っている人たちも少なからずいらっしゃるはずだ。
それだけではなく、アマゾンの森を切り開き、牧畜をするようになり年間でその開発面積はベルギー1国分とも言われ、最近では「牛のゲップ」が世界の「CO2」の大きな割合を占めている、という指摘もされるようになってきた。
今や牧畜をすること自体、自然豊かな場所を破壊しているのでは?という指摘がされるようになってきた。
このコトが「代替ミート」の人気に結びついているのでは?と考えている。
だが、この「代替ミート」にも、「パームヤシ」のような「エコだと思っていたら、エコではなかった」ということに、なりかねない。

これまで「自然の森」を切り開いてまで、「代替ミート」をしなくてはいけないのだろうか?
「エコ商品」と謳われている商品の中には、「それって、本当にエコなの?」と、考えなくてはいけない商品も多々あるのでは?と、考えている。