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古着市場とブランド

2022-01-20 19:24:20 | ビジネス

ファッション専門誌・WWDJapanのWebサイトを見ていたら、米国でリセールECサイトが人気、という記事があった。
WWDJapan :表と裏の古着市場 米リセールECと日本の”川上”徹底調査

「リセール」と「古着」とでは、ずいぶん言葉のイメージが違う。
ただ、日本でも「中古品市場」が大きく伸びている、と書くと驚かれるかもしれない。
日本における「中古品市場」というのは、メルカリなどを中心としたC2Cのネットビジネスの事だ。
ほかにも、最近では「買取ビジネス」なども盛んになってきており、当然このような市場で扱われるのは「中古品」ということになる。
そしてそれらの多くは、衣料品=古着と考えてもよいかもしれない。
ただ、WWDJapanが特集をしている「古着市場」というのは、メルカリなどのC2Cビジネスの話ではない。
ファッションブランド自らが「リセール市場(=古着市場)」へ参入し始めている、ということなのだ。

ご存じのように、ファッション業界の流行の流れはとても速い。
一昨年の秋冬物を店頭に並べて販売をする、というわけにはいかない。
そこで登場したのが「アウトレット」という市場だ。
前のシーズン商品をタグをカットして、自社のアウトレットショップで販売をする、というビジネスだ。
最近では、コロナ禍とは言え「アウトレットモール」そのものの人気に陰りが出てきている、という指摘もあった。
「アウトレットモール」で買い物をすることに飽きたのか?それとも「アウトレット」商品そのものに魅力が感じられなくなったのか?その点はまだ不明だが、以前ほどの人気ではなくなりつつある、と言われている。

では「アウトレット」と「リセール」との違いは何か?ということになる。
「アウトレット」は、倉庫で眠っていた商品。
「リセール」は、一度は誰かの手に渡ったが返品をされてきた商品、ということになる。
この違いは、些細な違いのように思えるが、実は大きな違いがある。
「リセール」商品というのは、購入者がいた商品であり、本来であれば売れた商品であった、ということになる。
ブランド側としては「倉庫に眠っていた(買い手がなかった)商品」よりも「一度は買い手がついた商品」のほうが、商品価値の違いがあるはずだ。

と同時に、ここ数年盛んに言われるようになってきた「SDGs」や「環境にやさしい商品」という視点で考えると、ファッション産業そのものが「環境負担の大きな産業」であるために、「リセール」のような形で商品を販売する必要が出てきたのだ。
2018年には、英国の人気有名ファッションブランド・バーバリーが42億円相当の売れ残り商品を償却処分していた、と話題になった。
BBC News:英バーバリー、42億円相当の売れ残り商品を焼却処分

大なり小なり、ファッションブランドは売れ残り商品の焼却処分をしている、というのは業界内では随分前から言われてきたことで、業界内では当たり前のことだったはずだ。
それが時代の変化や生活者の関心事が変わったことで、企業そのものも対応を変える必要が出てきた、ということなのだ。
結果として「リセール」に積極的なブランドは、ブランド価値が上がる、という状況になったことで大手企業が積極的になってきている、ということなのだ。

果たしてこのような「リセール」サイトは、日本でも人気になるだろうか?
日本ではまだまだ、ユニクロのようなファストファッションが人気で、経済的にも「ブランドサイトのリセール」で気軽に購入できるだけの経済的な回復とはいいがたい状況にある。
もしかしたら、「ブランドサイトのリセール商品を購入するか?」はたまた「ファストファッションを毎シーズン購入するか」という買い物の選択は、一人ひとりの生活者の「ライフスタイル」にも影響を与えるかもしれない。