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技術と人の関係‐箱根駅伝で感じたこと‐

2022-01-13 12:14:02 | アラカルト

昨年の大みそかに、突然愛用のPCが壊れエントリーができないまま年を越し、やっと昨日新しいPCが我が家にやってきた。
新年のご挨拶が遅れてしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

さて、お正月のイベントの一つといえば「箱根駅伝」があるだろう。
今年は、下馬評通り?青山学院大学が新記録を樹立する圧勝だった。
そしてもう一つ話題になったのが、一昨年から続く「厚底シューズ」だ。

ご存じの通り「厚底シューズ」といえば、ナイキ社ということになる。
事実、今回の「箱根駅伝」では、ナイキ社の「厚底シューズ」を履く選手が多かった。
もちろん、他社も指をくわえてみているだけではなく、同様のシューズを出している。
そのため、「ナイキ1強」と言われていた一昨年に比べ、他社製のシューズを履く選手もいたのだが、それでもナイキ社を選ぶ選手が多かったことには変わりないだろう。
読売新聞:厚底シューズ「戦国時代」へ…箱根駅伝、ナイキ1強に変化

この「厚底シューズ」は、高反発性により弾むように足を前に出す、と言われている。
結果として、好タイムが出るシューズとして話題になったのだった。
ところが、この「厚底シューズ」によって、選手たちのけがが増える傾向がある、という指摘がある。
Number WEB: 「厚底シューズは”諸刃の剣”なんです」箱根有力校のエースが次々に故障のナゾ・・・選手を襲う”意外な落とし穴”

技術・研究の躍進によって、本来であればアスリートにとって大きな力となるはずの「厚底シューズ」が、逆効果となってしまっている、というのだ。
青山学院の今年の躍進の最大の理由は、この「厚底シューズ対策」だった、と原監督は話していらっしゃる。
東京新聞:青学大、歴史的圧勝の秘密は厚底シューズの「対応力」<箱根駅伝>

青学の原監督は、青学の学生だけではなく、他校の選手の怪我の情報などから「怪我の箇所」を把握し、怪我をしやすい箇所の筋力アップを図ったという。
筋力アップのために、これまでのストレッチや走力をつける従来のトレーニングよりも、バーベル筋トレなどを加え怪我をしやすい部位に筋力をつけることで、怪我をしにくい体つくりをした結果が、今回の箱根駅伝の記録に結び付いた、ということのようなのだ。

この青学の「厚底シューズ対策」を知ると、なるほど!と思うところが多い。
その反面、技術の進歩についていけずに起きる悲劇(というと大げさかもしれないが)というものがある、ということを知らしめているような気がする。
この「厚底シューズ」を開発したナイキ社も、開発当時にはこれまでとは違う怪我を引き起こすとは、考えていなかったはずだ。
各スポーツメーカーには、様々なスポーツ選手と専属契約をしている。
専属契約をしている選手たちは、スポンサー契約だけではなく、シューズや道具などの提供がある。
提供がある、ということは商品開発にもかかわっている、ということにもなる。
そのような中で開発され、市場に出るのだ。

同様のことが、市場に登場する新商品についても、いえるのではないだろうか?
多くの場合「ユーザーからの声」によって、市場から姿を消すことになるのだが、企業側は「なぜなのか?」ということを分析し、次の製品・サービスへと結びつけていく必要があるはずだ。
このような「なぜなのか?」という分析を続ける中で生まれるイノベーションに、注目していく必要があるのでは?

箱根駅伝の青山学院大の圧勝は、その「なぜなのか?」の大切さを教えてくれたような気がしている。