日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

世界を魅了する、日本の伝統技術

2022-07-13 11:20:31 | マーケティング

世間が騒がしい。
選挙後ということもあるのだが、やはり先日起きた安倍元総理銃撃死亡事件が、あとを引いている気がしている。
「政治と宗教」という問題は、今に始まったことではないし、日本だけの問題でもない。
これから先、政治家自らが「お金と票を提供してくれる宗教」とどのように付き合っていくのか?ということを、明らかにしていく必要があるだろう。

そんなザワザワした中で、VOUGEがとても興味深いファッションコレクションレポートを、記事にしている。
2022AWコレクションだ。
その中で特に目を引いたのが、「フェンディ」だ。
「フェンディ」というファッションブランドを知らない方は、ほとんどいらっしゃらないだろう。
日本でも人気の、世界的イタリアのファッション・ブランドだからだ。
VOUGE Japan:フェンディは京都の着物生地をドレスに採用。現代のラグジュアリーを再考して。【2022AWクチュール速報】

VOUGEでは「京都の着物の記事」となっているが、おそらく柄の感じから「京友禅」を中心とした着物の生地だろう。
この記事を読んで思い出したコトがある。
日本が江戸から明治という元号に代わり、上流社会では一斉に洋装が励行されるようになった頃だ。
いわゆる「鹿鳴館時代」と呼ばれる、華やかな社交が行われた頃、日本では洋服を仕立てる為の幅広の生地が生産できなかった。
そのようなこともあり、社交界の華として活躍した良家の子女たちは、それまで着物用としてつくられてきた生地を使い、ドレスに仕立て直していたのだ。
Google Art & Culture:ファッションのジャポニズム

手の込んだ日本刺しゅうや友禅等の染めの技術等、それまで欧州の人たちが目にすることがほとんどなかった日本の服飾文化が、海外にも紹介され、その後、当時の日本の主要輸出産業となる「絹」の生産にまで、影響を及ぼすということになる(のでは?と考察している)。
今回のフェンディのコレクションは、カタチを変えた「新たな日本服飾文化」に対する敬意と憧れのように、感じられたのだ。

京友禅のような繊細な柄付け染め、生地の染、ところどころに見られる絞り…これほど1枚の布に様々な技術を必要とし、表現されている「生地」というのもは、世界にも稀に見るもののように感じる。
もちろん、それだけではなく着たときの柔らかな肌触り、指がスベるような感触…という織りの技術等も着物という「生地の凄さ」かもしれない。
上記で紹介をした「ファッションのジャポニズム」を見るとわかるのだが、単にきものの「生地」としての魅力だけではなく、ラグジュアリー感もまた欧州のファッションを魅了したのが「日本の着物」だったのだ。
その視点で考えれば、「着物」というジャポニズムは、元祖Cool Japanなのかもしれない。

一つ思いだしたのだが、フェンディの前のデザイナー、カール・ラガーフェルドはコレクションの発表の最後に登場するとき、いつも黒の扇子を持っていた。
「黒の扇子=カール・ラガーフェルド」であった。
その視点で考えれば、フェンディが着物という日本文化に魅了されるのは当然なのかもしれない。