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「現状を維持=何もしない」ことで、嵐が過ぎ去るのを待つ日銀

2022-07-21 18:44:14 | ビジネス

日経新聞のWebサイトに、黒田日銀総裁の記事がトップ扱いであった。
日経新聞:「利上げ全くない」急速な円安はマイナス

米国の利上げが行われたのは、今年の春だったような気がする。
その時から、急激な円安が始まり、ガソリン価格や小麦製品等が相次いで値上げされた。
そしてこの値上げは、まだまだ続くとみられている。
このような状況の中でも、円安に振れた要因の一つである利上げはせず、現状維持のままというのが金融政策決定会議の結論のようだ。

「利上げをすれば、円安が止まる」という確証はないにせよ、生活者とすれば実質的給与は上がらず、ガソリン代や食品等の値上げが相次ぐ中、その値上げに対してかかる消費税も増える、という状況が続いている。
多くの生活者にとっては「青色吐息」という状況が続いている、と言っても過言ではないかもしれない。
それに加えて、「新型コロナBA5」の感染拡大が、これまでとは違う規模で広がっている。
今のような「治療体制」であれば、家族の一人が陽性者となってしまうと、家族全員が仕事や学校を休まなくてはならず、経済的痛手となっている可能性も高い。

このような状況が分かっているのかいないのか?と、疑問に感じつつ関連記事を探してみると、日銀の考えが何となくわかってきたような気がするのだ。
Reuters:日銀総裁、金融緩和の継続を明言 識者はこうみる

Reutersの識者といわれる方々の意見を読んでみると、「円安はいつか終了するので、それまで待ちましょう」というように読めるのだ。
確かに、日本だけが金融緩和をやめたからと言って、急速なドル安やユーロに影響があるのか?という、疑問はある。
「円安という、嵐が過ぎ去るのをじっと待つ」というのも、一つの考え方だろう。

ただ、今のような社会状況の中で、そのような政策が通用するのだろうか?という、疑問を感じる部分もあるのだ。
というのは、今の生活者の「消費に対する気分」が、マイナスへと動いているのでは?と、感じるからだ。
バブル経済が崩壊してから、30年日本の経済は上向きになる事が、一度もなかった。
故安倍元総理が行った「アベノミクス」で、大企業の内部留保は年々増え続けたが、生活者の生活が豊かになったという実感は、ほとんどない。
むしろ、非正規雇用者が増えたため、安定した収入を得る事ができなくなった人達が増え、「安心してモノ・コトを購入する」という気分が、失われていってしまったような気がしている。
当然、そのような「社会的雰囲気」は、直接的に消費活動へと影響を与える。

そのような状況に追い打ちをかけたのが、「新型コロナ」だったように思うのだ。
今や「新型コロナ」は、感染症という視点だけではなく「生活者にダメージを与え続けている経済問題」という視点でも、考える必要があるのではないだろうか?

黒田日銀総裁や経済アナリストと呼ばれる識者の方々が考えているように「嵐が過ぎ去るのを待つ」だけの生活者の経済的体力があるのか?
そのような視点で、考えられていないような気がしていならない。