日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「老害」ではなく「素晴らしい過去」と、言われるようになりたい

2022-07-27 11:17:07 | ライフスタイル

PCでテレビの見逃しの番組を見ていると、サントリーの企業CMが目に留まった。
サントリー企業CM:「#素晴らしい過去になろう」(過去と未来の乾杯!)」篇60秒サントリー企業広告 

いつ頃からだろうか?一定年齢を超し現役で活躍している人が、「老害」と呼ばれるようになった。
もちろん「老害」と呼ばれるには、それなりの理由がある。
例えば、「自分の成功体験や若い頃の武勇伝を自慢げに話す」とか、時代の変化についていけずに、古い自分の価値観を押し付けてくる等が挙げられるだろう。
昨年の春ごろだっただろうか?「妖精さん」と呼ばれる、中高年の社員の存在が話題になったこともある。
「妖精さん」というのは、朝早く社食に姿を現し、自販機のお茶やコーヒーを飲みながら、新聞を読み始業時間までを過ごし、いつの間にか姿を消す、という50代の社員を揶揄している?言葉だ。
東洋経済:朝の社食に出没「妖精さん」はなぜ生まれたのか

違う表現をするなら「働かない高給取りのおじさん」ということになるのかもしれない。
この「妖精さん」の下の世代は、バブル経済が崩壊し「大氷河期世代」と呼ばれた頃に就職をしている。
「妖精さん」が社会に出た頃は、バブル経済の終焉が見え始めていたとはいえ、多くの企業には「年功序列」の人事制度の時代であり、バブル経済が崩壊し、リストラの嵐が吹いても企業にしがみ付くコトができた人たちでもある。
そして、「現役世代の縮小と社会保障の維持(=年金支給時期を遅らせる)」の為に、政府が打ち出した方針が、65歳定年だ。
今では「70歳定年」ということも言われるようになってきている。
あと15年ほど「妖精さん」として、企業に残る可能性がある、という人でもあるのだ。

とは言っても、「妖精さん」自身、「妖精さん」という状況に納得しているのだろうか?
私自身、世間でいう「定年」という年齢を迎え、「自分が経験してきたことを、若い人たちに伝える」ということをしてきたのか?と思うことがある。
「自分が経験してきたことを、若い人たちに伝える」ことが、上述したような「自慢話」になってしまうのでは問題だろうし、何より若い人たちは聞く耳を持たないだろう。
そのためのトレーニングが「妖精さん」たちには、必要なのではないだろうか?

例えば、日本の社会は上下関係によって成り立つことが多い。
その関係が負の関係となると、いわゆる「マウントを取りあう関係」となってしまう。
「マウントを取りあう関係」というのは、決して信頼と敬意が持てる関係ではない。
信頼と敬意は、上下関係によってつくられるものではなく、対等な関係の中から生まれてくるのでは?
そのような意識改革が「妖精さん」には必要かもしれないし、「後進を育てる」という新たなステップを、企業が用意する必要があるのかもしれない。

SuntoryのCMを見ていて、「自分が経験してきたことを、若い人たちに伝える力」を持っているシニア世代が、「素晴らしい過去となる人」なのでは?という、気がしたのと同時に、私も「素晴らしい過去の人」になりたいと思ったのだ。