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言いがかり?ディオールのデザインと中国の伝統衣装

2022-07-20 21:27:52 | マーケティング

ファッション専門誌・WWDJapanを見ていたら、「またか~」と思う記事があった。
WWD Japan:「ディオール」が中国ネット界で炎上「制服に着想した」スカートが中国の伝統衣装に酷似と批判

中国で問題になっている「伝統衣装・マミアンスカート」が、どのようなデザインなのか、調べてみると日本でも一般的なロング丈のボックスプリーツスカートのようだ。
AliExpress:女性のための古典的な中国のダンスコスチューム

上述したように、このようなボックスプリーツのスカートというのは、ディオールに限らずとても一般的なデザインで、日本の女子中高校生のスカートとしても採用されているようなデザインだ。
ディオール側の「制服に着想した」というのは、あながち嘘ではないだろう。
おそらくフランスの「リセ」と呼ばれる女子中高校の制服としても、使われているデザインなのでは?と、想像するコトができる。
それを「中国の伝統衣装を真似た」と言われても、ディオール側としては反論のしようもないような気がする。

この騒動の記事を読んだとき、ディオール側も災難だな~と感じたのも事実だ。
というのも昨年だったと思うのだが、アジア系モデルを起用した写真が「アジア人に対しての屈辱」と炎上したことがあったからだ。
BBC News:ディオールの「小さな目」の写真に批判、写真家が謝罪 中国

確かにこの時は、アジアというよりも中国人的な印象を与える広告写真となっていることは、確かだろう。
しかし「小さい目=アジアを屈辱」というのは、どうなのだろう?というのが、当時の率直な感想だったように思う。
例えば、アジア女性に多いといわれる「一重瞼」。
欧州の人たちからすれば、「一重瞼=エキゾチック」ととらえられている。
切れ長の一重瞼で世界中のファッション業界から引く手あまたの人気者になった山口小夜子さん等は、その好例であろう。
今でも、海外で活躍する日本人やアジア系モデルの多くは、「エキゾチックさ」という点で人気を博している。
見方を変えれば、アジアではコンプレックスの種であっても、他の地域に行けば魅力としてとらえられる、ということでもあるのだ。

そのような問題を昨年の秋に引き起こし、再び難癖のようなコトを言い始めてしまうと、デザイナーとしての創造力が狭められてしまうのでは?と、懸念をする。
と同時に、そのような難癖をつけてくる国でブランド展開を積極的に行う気が失せてしまうのでは?という、気もするのだ。
確かに中国という市場は、規模も大きく経済発展も凄まじい状態が続いている。
ただ、その経済発展がいつまで続くのか?というと、疑問を感じざる得ない。
理由は、一人っ子政策の為、今後全体の人口は減少へと向かい、日本以上の急激な高齢者社会になっていくのでは?と既に言われているからだ。
それは、市場が縮小していくと、十分に考えられるからだ。
2か月ほど前だっただろうか?テスラのイーロンマスク氏が「日本は消滅する」と、tweetして話題になったが、日本以上に速い速度で人口減少を迎えると考えられるのが、中国でもあるのだ。

ディオール側からすれば、そのような「市場が縮小していくであろう」中国が、これほどまでに難癖のようなコトを言い続けると、ますます市場の魅力を失っていくのでは?と、考えるのだ。
そのようなことも考えたうえでの「炎上」なのだろうか?