日本時間の今朝、米国現大統領で貼るバイデン氏が、大統領選からの撤退を表明した。
Reuters:バイデン大統領、米大統領選からの撤退を表明 後継に「ハリス氏支持」
数日前までは、大統領選への出馬意欲を見せていたと思うのだが、週末民主党内で色々な話し合いがされたのだろう。
結果、現在の副大統領であるカマラ・ハリス氏を後継者指名をした。
バイデン氏に対しては、高齢に伴う心身の不安が強くあり、言い間違いやスピーチの内容を飛ばすなどがあり、民主党内からも「撤退」を要求する声が上がっていた。
それだけではなく、共和党のトランプ氏は先日の牛劇事件という悲劇を味方につけ(?)「私はこのようなテロ行為には屈しない。強いアメリカを取り戻す」という姿勢を打ち出し、米国民から多くの共感を得るような状況になった。
これらの状況を考えると、バイデン氏では到底選挙に勝てるとは思えず、勝てないだけではなく、トランプ氏圧勝!という状況も考えられる、という判断をする民主党員も多かったのでは、ないだろうか?
それが結局「バイデン降ろし」へと繋がり、今回の撤退ということになったのだろう。
そして、バイデン氏から後継者として指名されたカマラ・ハリス氏だが、どうやら前途多難のようだ。
その理由は、バイデン政権の下でハリス氏の活躍が感じられることが無かったこと。
もっと言ってしまえば、米国内においてはともかく、国際舞台ではバイデン氏の存在そのものがあまり強くない、という印象がある。
強烈な個性と発信力を持っていたトランプ氏の後だとしても、バイデン氏の活躍は目立つものではなかった、という印象がある(のは、私だけだろうか?)。
当然、大統領の印象がそのようなモノであれば、副大統領の存在感はもっと薄い印象となってしまうのは、仕方ないだろう。
バイデン氏と指名争いをしていた頃の方が、活動的で様々な政策提案をしていたという印象があるほどだ。
もう一つは、ハリス氏が「女性で有色系」である、という点が挙げられる。
トランプ氏の前の大統領であったオバマ氏は、黒人というハンディはあっても、今や米国社会において黒人は、マイノリティとは言えないほど、各方面で存在感を発揮し始めている、と言われている。
一方、ハリス氏は黒人とインド系の両親という家系である。
その意味でオバマ氏よりも、抵抗感がある人達がいる可能性がある、と言えるだろう。
それはアジア系と黒人系という、人種間の問題ともいえるのかもしれない。
勿論、人種問題をまとめるという点では期待が持てるかもしれないが、なかなか難しい問題なのでは?と、想像している。
そして、日本よりもジェンダーの問題に対して積極的なはずの米国であっても、女性の大統領に対して抵抗感がある人達が少なくないのでは?という懸念だ。
オバマ氏の前に敗れ去ったヒラリークリントン氏だが、その時ヒラリーしは「ガラスの天井」という言葉を使い、敗戦の言葉とした。
問題なのは、ヒラリー氏が大統領選に臨んだ時よりも今の米国社会は、より保守的になっているのでは?という気がしている。
その象徴の一つが、熱狂的に迎えられるトランプ氏の選挙活動の会場の状況だ。
「強いアメリカ。父権的アメリカ。1950年代~1960年代(泥沼化となる前のベトナム戦争の頃)のような、古典的な家族制度の中での白人中心の米国社会」という、ノスタルジックというか古臭いが「世界のアメリカ!!」を標榜するトランプ氏は、米国の世界的地位を中国に奪われるのでは?という人達の不安を煽ることで、強い支持基盤を作り始めているからだ。
そこに有色系で女性のハリス氏が登場するということになれば、今のハリス氏では「バイデンよりましかもしれないが、トランプに勝てるのか?」というくらいになってしまうのでは?
そのようなコトを考えると、民主党候補はもう一度波乱の候補者指名が起きるかもしれない。