日本時間の深夜2時に行われた、パリ五輪の開会式。
選手団がスタジアムに入場するのではなく、セーヌ川を船で渡り登場した。
他にも開会式では、フランスのトリコロールカラーを演出の中心にしているのでは?と、思われる場面もいくつかあったような気がする。
とはいっても、私の場合ダイジェスト版をネットのニュースサイト等で見ているだけなので、おそらく2時間以上あったであろう、開会式全体を見た訳ではないので、印象が違っているかもしれない。
その演出の中で、いくつか印象的な場面があるのだが、特に目を引いた演出というのが、生首を持った王妃らしき女性の人形の登場とともに、会場周辺の有名な建物から、血を感じされるような真っ赤なテープが次々と流れ落ちる、という場面だった。
中日スポーツ: 「日本でやったら1発でアウト」パリオリンピック開会式仰天演出「マリーアントワネット」トレンド入り「攻めてる~!!」「知る限り最狂」
「マリーアントワネット」と言えば、「フランス王」と呼ばれたルイ16世の妻である。
そして、「フランス革命」により、コンコルド広場で大衆の前で、斬頭台の露となった王妃でもある。
この話とともに、民が貧しくパンも食べれない状況にあると知った時「パンが無いならケーキを食べれば」と、言ったというエピソードも有名な話だろう。
この「ケーキを食べれば」という発言の真偽については、現在で「ウソであった」ということが確認されている。
Buzzfeed:マリーアントワネットの伝説はウソだった。
とはいえ、強烈な印象を残す話である、ということと「フランス革命」というフランスの歴史の一大転機となるエピソードとしては、「王政を倒した」という象徴的な物語として、付け加えられたのだろう。
パリ五輪の開会式の演出に話を戻すと、このマリーアントワネットの場面=フランス革命ととらえることができるのでは、ないだろうか?
このフランス革命が起きた時、民衆が行進をしながら歌ったのが「ラ・マルセイエーズ」だと言われている。
そして画家・ドラクロワが描いた「民衆を導く自由の女神」の中で、女神が持っているのが、現在のフランス国旗なのだ。
とすれば、現在のフランスを形作った過去の中で、マリーアントワネットの存在は欠かすことができない、象徴の一つである、ということになる。
その後、ナポレオンの登場により、フランスは再び「王政復古」となるのだが、ナポレオンとフランス王・ルイ16世との大きな違いは、ナポレオンは生粋のフランス人ではなくコルシカ戦争で戦績を上げ、新貴族の位を得た人物だ。
一方、ルイ16世は長い間フランスを統治してきた、代々貴族家系でありフランス全土に私有財産を持っていた。
その歴史を見ても、ルイ16世とマリーアントワネットの斬頭台での処刑は、大きな意味を持っている。
「フランス革命」が起きたことで、フランスは「自由・平等・博愛」を民衆が勝ち取った、ということでもあるのだ。
そう考えると、パリ五輪で幾度となく演出で登場したフランス国旗のトリコロールカラーとマリーアントワネットは、切っても切れない関係にあった、ということが分かる。
それにしても、壮大な開会式であったな~というのが、ダイジェスト版を見ただけでも感じ取ることができた。
フランス五輪に関わる人達の並々ならぬ熱意を感じさせてくれるには、十分すぎるものであった。