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「円安」によって、国内生産に切り替えが始まった?

2022-10-07 20:29:19 | アラカルト

日本の円安傾向が、収まらない。
というよりも、今の状況は為替市場が安定せずにいる、という印象を持っている。
2か月ほど前のように、ドルだけではなくユーロ等に対しても、円安傾向だったように記憶しているのだが、円安傾向は継続中だが、ユーロ等も安定している感じではない。
全体を通して感じるのは「不安定さ」という感じだろうか?

この「不安定さ」の要因となっているのは、ご存じの通り「ロシアによるウクライナ侵攻」であったり、「中国の台湾に対する強硬な態度」ということになると思う。
このような状況の中で、日本企業が海外の特に中国の生産拠点を閉鎖し、国内へと移転し始めている。
これを「良い傾向」と言い切れる状況ではないが、国内移転により日本国内の雇用状況が改善するきっかけとなるかもしれない。
日本における「雇用状況」が決して良い状況にないからだ。

ただ手放しで「海外生産拠点から日本国内での生産」を喜ぶことが、できないでいる。
というのも「国内に生産拠点を移す」理由の中に、「人件費」等が含まれていると考えると「日本で生産した方が、人件費を含めても安価」という考えで国内移転を進めているのでは?という、気がするからだ。
このような状況は、果たして日本経済にとって良い状況と言えるのだろうか?と感じてしまうのだ。

確かに日本に生産拠点を移転させ、日本で生産をすることで生まれる雇用は、日本経済を動かす力となると思う。
思うのだが、高度成長期のような「輸出産業」ではなく、日本国内で経済を動かすという状況ではないのか?と、考えるとその限界というものも感じてしまうのだ。
しかも、生活者の中には「円高傾向になれば、また海外へ生産拠点を移すのではないのか?」という疑心暗鬼な部分もあるだろうし、雇用そのものが非正規雇用という不安定な雇用の可能性もある。

岸田首相が提言をしている「新しい資本主義」の考え方の一つである、賃金を上げるという政策が含まれていたと思うのだが、その「新しい資本主義」そのものの概要というかカタチとなるモノが、見えていないような印象を持っている。
故安倍元首相の「アベノミクス」は、大企業を厚遇することで設備投資や賃金の値上げ等がされるという、青写真を描いていた(という理解をしていた)。
ところがご存じの通り、賃金の値上げよりもより安価な生産コストを求め、大企業の資本力を活かし生産拠点を海外に移す、ということになった。
もちろん、今よりも「円が強い」という状況もあってのことだったのだが、結果として国内産業の空洞化が進み、非正規雇用が増えるということになった。

「アベノミクス」に対する検証をせず、新しく耳障りの良い言葉で、新しい経済政策を打ち立てようとしても意味がないのでは?
しかも今の国内生産への切り替えの要因となっているのは、全ての理由ではないが「アベノミクス」の失敗という部分もある。
とすれば、せっかく国内に生産拠点を移すのであれば、企業は「国内産業をどう発展させるのか?」ということを、キチンと考える必要があるはずだ。
今回の「『円安』だから、生産拠点を国内に移す」という理由ではなく、これからの日本の経済を支える生活者の「暮らしのビジョン」を企業として、考える必要がある時代になっているような気がするのだ。



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