河野友信教授の 「自律神経失調症」 主婦の友社発行 を読みました。
自律神経失調症になると、さまざまな症状が現れ本人は本当に辛い思いをしているが、物理的検査をしてもどこにも異常がないことから、対処療法で終わったり、サボりや、仮病と思われる場合もあるそうです。本人にも心療内科に偏見があったりして適切な治療を受けないこともあります。うつ病などと誤診される場合もあり、専門医にかかることが必要です。また、時間をかけてじっくり話し合いしてくれる良い医者を見つけることも大切です。
この2,3年調子が悪い奥様が図書館からこの本を借りて読んでいた。私も読んで、「俺も自律神経失調症かな?」と言ったら、「違います!あなたは神経失調症です」と言われてしまった。
この本の161ページまで読んだら、症例として、「定年退職した夫の世話をするストレスから自律神経失調症を発症(60才主婦)」がありました。このような例は多いそうで、この本には以下の忠告がありました。
「夫は現役時代から趣味を持つなり、地域ボランティアに参加するなりして自分の居場所を確保しておくことが大事です。妻も若いうちから夫を自立させる努力をしたほうがよいでしょう」
以下、この本の前半の概要というより、私のメモを以下に書き出す。後半には治療法などが書かれている。学習参考書のように、図表やレイアウトが工夫され読みやすいので、心当たりある方にはお勧めの本です。
神経には脳と脊髄にある中枢神経と、全身に広がる末梢神経がある。
末梢神経には知覚神経と運動神経よりなる動物神経とも言うべき体性神経と、交感神経と副交感神経よりなる植物的神経とも言うべき自律神経がある。
自律神経は内臓の働きをつかさどる神経で、本人の意思とは無関係に独立して動く。また自律神経は心と身体をつなぐルートになっていて、感情の変化に応じて作動する。
自律神経は、活動的なときに働く交感神経と、休息のときに働く副交感神経よりなる。内臓の働きを活発にするのが交感神経で、抑制するのが副交感神経だが、胃腸に対しては逆に働く。心配事があると交感神経のために胃腸が働かなくなり、解決すると副交感神経が働き胃腸が動き食欲が出てくる。交感神経はエネルギー消費的で、副交感神経はエネルギー貯蔵的である。
この二つの神経のバランスが崩れて起こるのが自律神経失調症だ。自律神経は、脳の感情の働きや、ホルモン、免疫力などと関係する。
自律神経失調症になると、立ちくらみ、微熱、食欲不振、冷え・ほてり、倦怠感など全身症状、不安、イライラなど精神症状など身体と心にいろいろな症状が現れる。
癌でも脳卒中でも統合失調症でも自律神経失調症状態になるが、病名のつく状態のときは自律神経失調症とは言わない。全身の自律神経系の症状をいくつも持ち、身体的検査をしても異常が見出せない場合を自律神経失調症と呼ぶ。