一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「LPSA Minerva ファンクラブイベント」(前編)・指導対局2つ

2010-10-13 00:22:22 | LPSAイベント
目が覚めたら9時半だった。…?? マズイ!!
きょう11日(月・祝)は、午前10時30分から、東京・新宿で「LPSA Minervaファンクラブイベント」があるのだ。
私は起きるや否や私服に着替え、大急ぎで朝食を摂り、最寄駅に走って、電車に飛び乗った。
思ったよりも早く新宿駅に着く。靖国通りを歩いていると、この日の会場である「新宿文化センター方面」の立て看板があり、左手に緑道が続いていた。ここは以前、都電が走っていた廃線跡である。東京都電は最盛期200kmを越え一大ネットワークを築いていたが、昭和40年代に相次ぎ廃線となり、現在は都電荒川線の12.1kmを残すのみとなった。
ポカポカ陽気の中、緑道を歩く。しばしの廃線跡紀行を楽しみ、大通りに出る。交差点の向こうにイケメンスタッフ氏がおり、新宿文化センターの場所を教えてもらい、10時20分すぎ、会場のある3階に着いた。どうにか遅刻せずに済んだ。
受付ではW氏が藤森奈津子女流四段らと談笑していた。W氏はLPSA女流棋士に臆することなく、いつも快活にふるまっている。私などは女流棋士を前にするとアガッてしまって、まともに話ができない。W氏の神経の太さがうらやましい。
今回のイベントはファンクラブイベントではあるけれども、「第39回1dayトーナメント・ファンクラブカップ」がメインとなる。それと並行して指導対局も行われるが、まだ空きがあるというので、申し込む。
指導女流棋士は、自らが引くクジで決まる。抽選箱から引くと、「島井」の名があった。島井咲緒里女流初段に当たったのだ。
「やった!!」
大仰に喜んでいると、藤森女流四段が、
「そんなに喜んでいると、船戸さんが怒りますよ」
と釘を刺す。
「大丈夫です。船戸先生はここにいないし、もし船戸先生に当たったら、同じように喜びますから」
「……」
信じられない、と呆れ顔をする藤森女流四段を横目に、会場に入る。
指導女流棋士は蛸島彰子女流五段、山下カズ子女流五段、鹿野圭生女流初段ら数名がいた。島井女流初段の前に行く。3面指しだが、真ん中の席が空いていた。
私は先日の扇子の御礼を述べ、すわる。しかし島井女流初段、文字どおり目の覚めるような美しさである。いや、かわいらしさというべきか。私は1時間ほど前まで深い眠りに落ちていたのに、いまこうして美人女流棋士と対峙している。不思議な気分である。しかしきょうの島井女流初段の服装はブラウンで、ちょっと地味だった。6月の1dayトーナメントでの、ノースリーブのワンピース姿が目に焼き付いているので、ちょっと物足りない。
早速対局開始。島井女流初段の四間飛車に私は急戦で挑む。島井女流初段が☖3二銀型で☖5四歩と突いたので、私はお約束とばかり☗9七角と覗いた。
その5手後、島井女流初段が☖4一飛を☖4三飛と浮いたのが見慣れない手。何かのときの☖2三飛と、将来的に6筋に回る狙いだろう。
私は棒銀にでて☗3五銀と捌く。島井女流初段は☖6五歩と銀取りに突く。ここで私が目先の欲にくらんで、☗3四銀と突っ込んだのが疑問手だった。すかさず☖6六歩と銀を取られ、☗4三銀成☖同銀と落ち着かれてみると、次の☖6七歩成~☖9九角成が厳しく、早くも敗勢となった。☗4三銀成ではまだしも☗3三銀成とすべきで、☖3三同飛が☖3九飛成の先手になるから指せなかったのだが、☗4三銀成でも手を戻さなければならないのだから、まだしもこちらを選ぶべきだった。
本譜は☗6六歩☖同角☗7七桂☖3九角成☗2六飛☖7五歩まで、48手で島井女流初段の勝ち。
もっと島井女流初段との指導対局を楽しみたかったが、勝ち目のない将棋を指してまで対峙したくない。感想戦も短めに終わり、私はふらふらと受付に戻る。あれからまだ15分しか経っていない。
藤森女流四段が、あれ? と言うので、
「負けました。島井先生に軽く吹っ飛ばされました」
と言うと、
「じゃあもう1局どうですか? 今度はお好きな女流棋士を選んでいいですよオ」
と言う。
藤森女流四段、商売上手である。私は再び指導料を払い、抽選箱の中を覗く。「蛸島」が2枚あったので、それを選んだ。いま、蛸島女流五段のところは1面指しになっている。ここは私が入って2面指しになったほうが、味がいいと思った。
蛸島女流五段のもとへ出向き、一礼して対局開始。「中飛車五十年」の蛸島女流五段の作戦はもちろん中飛車だが、21世紀の現在では「ゴキゲン」である。居飛車党もゴキゲン中飛車を指す昨今、蛸島女流五段にはうってつけの戦法が開発されたというべきだろう。
石橋幸緒天河が通って、
「あれ? 大沢さん、島井さんとの将棋は…」
「軽く吹っ飛ばされましたよ。悔しいから2局目です」
「あれあれ、私と指すときは強いのに」
「それは実力の差です」
「……」
石橋天河が、そう言われても仕方ないか、みたいな言葉を残し、その場を去る。と、私の左で指していた紳士氏が、
「あなたがあの有名な大沢さんですか!!」
と驚く。
当ブログの読者にお会いできるとはありがたいことだが、私は有名ではない。曖昧に頷いていると、さらに紳士氏が
「大沢さんのブログは有名なんですよ」
と、今度は蛸島女流五段に話しかけた。
「ああ、お名前はよくお聞きします…」
と、蛸島女流五段が如才ない返事をする。恐縮である。私は蛸島女流五段の勧めで金曜サロンに通い始めたのだが、それを話すと長くなるので、言わなかった。
船戸女流二段がいらっしゃる。船戸女流二段はMinervaの責任担当者である。きょうのイベントの進行に最も神経を尖らせている立場にあり、私も気が気でない。
それにしても船戸女流二段は相変わらず美しい。服装も、ファッションショーでモデルが着るような秋モードである。
「きょうは(親戚の)運動会があったんじゃ?」
と船戸女流二段。
「あれは土曜日(9日)でした。
先生、きょうも素敵です。その『絶対領域』が素晴らしいですよねえ」
と、その腿のあたりに視線をやったら、船戸女流二段は逃げるように去ってしまった。まずい…。
対局に戻る。私は超急戦☗4六銀。数手後の☖5五同角に、今度は☗1八飛と寄った。渡辺弥生女流2級のときは☗2七飛と打って後悔したので、同じ轍は踏まない。
「最前線よねぇ…」
と蛸島女流五段がつぶやいた。
場内前方では、ファンクラブカップの準決勝公開対局が始まった。石橋天河-中倉宏美女流二段、中井広恵女流六段-渡部愛ツアー女子プロ戦だ。
4人は左右に分かれて指す。ソフトの盤面が前方のスクリーンに映しだされ、それを会員が見る仕組みだ。ただし解説はつかない。
指導対局は中盤の難所だ。上手の☖5一香に私は☗同飛成と切り、NHK杯での森内俊之九段のごとく、2枚香を5筋に立てて、上手陣に迫る。
ところでこの日の私は右の鼻(の穴)から透明なハナ水がとめどなく流れてきて、往生した。もともと鼻炎持ちではあるのだが、これは風邪である。前日も暖かかったのに、いつ体調を崩したのか。
盤上に☗1一竜☗5二成香☗5五香☗7七角、☖3三桂☖4四角があり、上手が☖4五桂と跳ねた手(竜取り)に☗2一竜と寄った手は1手の価値がなく、失敗した。ここでは☗5三香成として角道を通し、持駒を増やすべきだった。
本譜はここで☖2八飛と打たれ、下手も忙しくなった。以下数手進んだハイライトを記す。

上手・蛸島女流五段:1三歩、2三歩、2七銀、2八飛、3一銀、3二金、3四歩、4四歩、6三歩、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、8八金、9一香、9四歩 持駒:角2、歩
下手・一公:1七歩、2一竜、2五歩、2九桂、3六歩、4七歩、4九金、5三成香、6一銀、6七歩、6八銀、6九玉、7五桂、7六歩、8六香、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:金、歩

☗6一銀不成(香を取る)☖8二王☗8六香まで。☗8六香では☗3二竜と切って上手王に詰みがないか模索したが、どうしても詰まない。自玉に寄りはないと見て、☗8六香と据えた。ここから、☖6八飛成☗同玉☖7九角☗7七玉☖5五角☗6六歩☖6八銀☗6七玉、まで終局。
蛸島女流五段は王手ラッシュに出る。飛車切りから☖7九角に☗5九玉は☖1五角で合駒が悪く詰んでしまうので、私は☗7七玉と上がる。以下☖5五角☗6六歩に蛸島女流五段が☖6八銀と打とうとしたとき、アッ!! と叫んで私を見た。
蛸島女流五段の読みは☖6八銀☗6七玉☖5七銀成☗7七玉☖6八角成までの詰み、だったが、ここで☗8八玉と引かれて詰まないことに気がついたのだ。
感想戦で蛸島女流五段は、☖6八飛成では☖7八角以下の寄せを読んでいたのだが、私が☗8六香と打ったので8六への逃げ道がなくなったため、☖6八飛成でカッコよく詰まそうとした、とのことだった。
驚いたのは私もそうで、☖7八角の筋は全然読んでおらず、面喰らった。検討では☖7八角以下☗5九玉☖2九飛成☗4八玉☖3九角☗3七玉☖3八竜☗4六玉☖3六竜☗5五玉☖4五竜まで上手勝ち、との結論になった。
ただし私の研究ではこの手順中、☗4六玉では☗2六玉と逃げれば詰まなかった。つまり☖7八角でも私が残していたわけだが、まあそれは結果論であって、こう指されていたら、たぶん私が負けていただろう。
蛸島女流五段に指導対局を受けるのはこれが3局目だったが、形の明るさ、若々しい指し手は毎回勉強になる。女流名人位戦のリーグ入りはダテではないと思った。
(つづく)
コメント (2)
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