一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・松尾香織女流初段⑬・マッカラン勝負のあらまし

2010-10-21 00:29:56 | LPSA金曜サロン
7月23日のLPSA金曜サロン、1部は松尾香織女流初段、2部は中倉宏美女流二段の担当だった。
去る3月12日の金曜サロンの放課後、心の姉弟子である松尾女流初段が仕事の打ち合わせで、私たちの常連店「ジョナサン」に同席した。しばらくすると、松尾女流初段がグラスを片手に私の前にすわった。ここで舞い上がった私は、「松尾先生が倉敷藤花戦ベスト4なら、マッカランを進呈します」という約束をしてしまったのだ。ただ、私は負けない賭けはしないので、松尾女流初段のベスト4は無理だろう、という読みはもちろんあった。
トーナメント戦で松尾女流初段は初戦を勝った。そこで次の相手を見ると、なんと甲斐智美女王・女流王位である。これは甲斐女流二冠が勝つだろうから、私は「ベスト16でもマッカラン進呈」にレベルを下げた。
案の定、その将棋は甲斐女流二冠の勝ち。だが内容は終盤までいい勝負で、松尾女流初段の実力を示した一局となった。しかしマッカランはダメである。
ところで私は昨年秋ごろ松尾女流初段に連敗中で、「(こう負け続けるのは)おかしい…」とつぶやいたのが松尾女流初段の耳に入り、
「もう大沢さんには一生負けない!」
と激怒された。しかし松尾女流初段といえども、私に「一生負けない」は無理だろう。事実私は、その年の暮れの指導対局で勝利した。
ところが今年に入ってから、私は松尾女流初段にまたも4連敗した。そこで私は前回の指導対局のとき、
「6月以降の指導対局で、私が2勝以下なら松尾先生にマッカラン進呈、3勝以上ならお疲れさま」
という新たな条件を出した。仮に私が好成績を挙げても何の見返りはないから、私が不利な条件ではある。しかし松尾女流初段がマッカラン欲しさに本気を出してくれれば、ありがたいことだと思った。
もう何度も書いたが、以上が現在も続いている「マッカラン勝負」のあらましである。
指導対局開始。松尾女流初段は得意のゴキゲン中飛車に構える。中盤の入口で、私が自分でもホレボレする落ち着いた指し回しを見せ、銀の丸得をして優勢。その得をした銀で飛車を詰まし、これは負けられない将棋になった。もし私が逆を持っていたらバカバカしくて投了、というところだが、指導対局の上手がそう簡単に投了するわけにはいかない。それにマッカランも懸かっているのだ。
なおも私の優位が続いたが、ここで終盤の一局面を掲げる。

ここで私はひょいと☗7七同金と動かしたが、すぐに☖5六角の王手竜が見え、「アッ」と手を戻した。松尾女流初段は「ふふっ」と笑う。
松尾女流初段、劣勢ながらも狙っていたのだ。しかし…いま私は急いで駒を戻したが、指は一瞬離していた。これは「待った」である。まあ指導対局だから気楽に考えればいいのだが、こうした甘えを放置しているとクセになり、社団戦でも起こるかもしれない。第一マッカランの懸かった真剣勝負で、待ったが許されるものだろうか。
私はしばらく考えたのち、再び「☗7七同金」を、今度は力強く指した。それを見た松尾女流初段はたいそう驚き、
「私にマッカランをくれるの? ☗同玉でもいいのに」
とつぶやきつつ、☖5六角と打った。将棋はなおも激戦になったが、最後は私が松尾王を即詰みに討ち取り、やっと1勝を挙げることができた。松尾女流初段の気合を考えると、私の全敗もあり得ただけに、この勝利には心底ほっとした。
そしてこの2週間後、松尾女流初段との指導対局で、まさかのドラマが起こるのである。
コメント (2)
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