下の図は、松尾香織女流初段との指導対局の一場面である。
おヒマな方は、ここで私の指した一手を考えてください。ただし最善手ではありません。
7月30日のLPSA金曜サロンは「第5金曜特別企画」で、「蛸島彰子女流五段デー」だった。私は蛸島女流五段の中飛車を体感し、とても感激した。
8月2日はマンデーレッスンにお邪魔し、藤森奈津子女流四段と船戸陽子女流二段に教わった。
8月6日のLPSA金曜サロンは、1部が松尾香織女流初段、2部が藤森女流四段の担当だった。手合い係は櫛田陽一六段。
松尾女流初段とはマッカラン勝負がかかっている。これから月に1回指導いただけるとして、残り5局を私が2勝3敗以上ならセーフ。1勝もしくは0勝なら、マッカラン進呈である。この2週間前の対局では私が幸いしたので、この勢いに乗ってマッカラン回避の「王手」をかけたいところであった。
指導対局開始。☗2六歩☖3四歩☗2五歩☖3三角。上手松尾女流初段の得意戦法は「ゴキゲン中飛車」だ。本局は☗2五歩☖3三角を決めたので、松尾女流初段は向かい飛車に振ってきた。
序盤早々、角銀交換の駒損になったが、その後銀角交換があり駒損は回復した。お互い飛車を打ちあったが、☖2六歩☖2八飛の局面で、私は☗5二角成と金を取り、☖同銀☗3九金と飛車を殺す。虚々実々の駆け引きだ。
その後は私が苦しくなる手があったが、指導対局の辛さといおうか、松尾女流初段が緩手を指し、私の玉が上部に逃げ出せては、勝ちを意識した。
松尾女流初段に有効な手がなく、☖6九馬と金取りに寄ったのが冒頭に記した局面である。
上手の持駒は歩しかないから、こちらが2手スキで迫れば勝ち。すなわち教科書どおり、☗6二銀でよい。これに☖5八馬なら☗7一銀打☖9二王☗6一竜で下手勝ち。☖6二同金も☗7一銀☖9二王☗6二銀成と平凡に攻めてよし。下手玉は全然詰まない。
それなのに私は☗6二銀と打たず、遊び金を活用しようと☗5三金と寄った。すかさず松尾女流初段の手が伸びて☖2一角と竜を抜く。あっ!! 私は座っていたのに飛び上がった。何という見落とし…いや大ポカか。
なにしろ松尾女流初段にはマッカランがかかっている。「大沢サン、竜がタダですよ」なんて甘いことは言ってくれないのだ。
私もいつもなら「こんな将棋やってられるかっ!!」と投了するところだが、この2手前までこちらの勝勢だったから、心の整理がつかない。しかし竜に続いて5八の金も取られ、6二の銀も上手の手に渡り、最後は華麗に即詰みに討ち取られ、私は投了を余議なくされた。
局後松尾女流初段は、
「☖5四角が間接的に☗2一竜を睨むので、ここに打っておけばあとで何か起こると思った。ホントはこんな一発狙いじゃいけないんですけどね」
と言って笑った。チッ…何てことだ。
女流棋士に指導対局で勝つのは容易ではない。この勝ち将棋を落としたのは痛かった。
この後、松尾女流初段は9月の指導対局はなかった。LPSAが芝浦に移転した10月も、金曜日は松尾女流初段の担当はなく、先日発表された11月の担当も、金曜日に松尾女流初段の名前はなかった。さりとて松尾女流初段と将棋を指すために、ほかの曜日に芝浦まで出かける気はしない。
そこで、ここに便利な日本語がある。
「うやむやにする」
こちらは金曜日に指導対局を受けるものとして、マッカラン勝負をしたのである。移転されて金曜日の指導対局がなくなっても、私には関係ないことである。マッカラン勝負はこのまま自然消滅がいいと思う。
おヒマな方は、ここで私の指した一手を考えてください。ただし最善手ではありません。
7月30日のLPSA金曜サロンは「第5金曜特別企画」で、「蛸島彰子女流五段デー」だった。私は蛸島女流五段の中飛車を体感し、とても感激した。
8月2日はマンデーレッスンにお邪魔し、藤森奈津子女流四段と船戸陽子女流二段に教わった。
8月6日のLPSA金曜サロンは、1部が松尾香織女流初段、2部が藤森女流四段の担当だった。手合い係は櫛田陽一六段。
松尾女流初段とはマッカラン勝負がかかっている。これから月に1回指導いただけるとして、残り5局を私が2勝3敗以上ならセーフ。1勝もしくは0勝なら、マッカラン進呈である。この2週間前の対局では私が幸いしたので、この勢いに乗ってマッカラン回避の「王手」をかけたいところであった。
指導対局開始。☗2六歩☖3四歩☗2五歩☖3三角。上手松尾女流初段の得意戦法は「ゴキゲン中飛車」だ。本局は☗2五歩☖3三角を決めたので、松尾女流初段は向かい飛車に振ってきた。
序盤早々、角銀交換の駒損になったが、その後銀角交換があり駒損は回復した。お互い飛車を打ちあったが、☖2六歩☖2八飛の局面で、私は☗5二角成と金を取り、☖同銀☗3九金と飛車を殺す。虚々実々の駆け引きだ。
その後は私が苦しくなる手があったが、指導対局の辛さといおうか、松尾女流初段が緩手を指し、私の玉が上部に逃げ出せては、勝ちを意識した。
松尾女流初段に有効な手がなく、☖6九馬と金取りに寄ったのが冒頭に記した局面である。
上手の持駒は歩しかないから、こちらが2手スキで迫れば勝ち。すなわち教科書どおり、☗6二銀でよい。これに☖5八馬なら☗7一銀打☖9二王☗6一竜で下手勝ち。☖6二同金も☗7一銀☖9二王☗6二銀成と平凡に攻めてよし。下手玉は全然詰まない。
それなのに私は☗6二銀と打たず、遊び金を活用しようと☗5三金と寄った。すかさず松尾女流初段の手が伸びて☖2一角と竜を抜く。あっ!! 私は座っていたのに飛び上がった。何という見落とし…いや大ポカか。
なにしろ松尾女流初段にはマッカランがかかっている。「大沢サン、竜がタダですよ」なんて甘いことは言ってくれないのだ。
私もいつもなら「こんな将棋やってられるかっ!!」と投了するところだが、この2手前までこちらの勝勢だったから、心の整理がつかない。しかし竜に続いて5八の金も取られ、6二の銀も上手の手に渡り、最後は華麗に即詰みに討ち取られ、私は投了を余議なくされた。
局後松尾女流初段は、
「☖5四角が間接的に☗2一竜を睨むので、ここに打っておけばあとで何か起こると思った。ホントはこんな一発狙いじゃいけないんですけどね」
と言って笑った。チッ…何てことだ。
女流棋士に指導対局で勝つのは容易ではない。この勝ち将棋を落としたのは痛かった。
この後、松尾女流初段は9月の指導対局はなかった。LPSAが芝浦に移転した10月も、金曜日は松尾女流初段の担当はなく、先日発表された11月の担当も、金曜日に松尾女流初段の名前はなかった。さりとて松尾女流初段と将棋を指すために、ほかの曜日に芝浦まで出かける気はしない。
そこで、ここに便利な日本語がある。
「うやむやにする」
こちらは金曜日に指導対局を受けるものとして、マッカラン勝負をしたのである。移転されて金曜日の指導対局がなくなっても、私には関係ないことである。マッカラン勝負はこのまま自然消滅がいいと思う。