新年の初夢。
このたび2012年新春特別企画として、LPSA選抜女流棋士7人と、LPSA星組7人が、夢の対決を行った。それぞれの対局者と組み合わせは、以下のとおり。
大将 中井広恵女流六段×Wパパ
副将 石橋幸緒女流四段×Kaz
三将 船戸陽子女流二段×Tan
四将 中倉宏美女流二段×Sak
五将 藤森奈津子女流四段×ミスター中飛車
六将 大庭美夏女流1級×Fuj
七将 多田佳子女流四段×Hana
持ち時間はチェスクロック30分、それが切れたら1手30秒である。両者一礼して、LPSA女流棋士の「奇数後手・偶数先手」で対局開始。以下、敬称を略します。
中井-Wパパ戦はがっぷりの相矢倉。
石橋-Kaz戦は、石橋が注文をつけて、相居飛車の手将棋になった。
船戸-Tan戦はファンクラブカップの再戦。船戸の中飛車穴熊にTanは居飛車穴熊。
宏美-Sak戦は、Sakの石田流三間飛車に宏美の居飛車穴熊。
五将以下は社団戦で対局経験もある、引退女流棋士が登場する。
藤森-ミスター中飛車戦は、藤森の三間飛車にミスター中飛車の中飛車。
美夏-Fuj戦は、▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩の出だしから、相矢倉模様になった。そこで美夏が急戦模様に構えた。
多田-Hana戦はおばちゃまと孫の戦いにも似る。将棋は歳が離れていてもハンデなしで戦える稀有な競技だ。Hanaの先手中飛車に、多田が舟囲いで受けていた。
まず動きがあったのが石橋-Kaz。石橋が素早く銀を繰りだしたが、Kazの応接が巧みで、石橋が苦戦に陥った。
多田-Hana戦は、Hanaちゃんが飛車を切って快調に攻める。その後ろでは、姉のAkiちゃんが心配そうに見守っている。
宏美-Sak戦は、飛車交換からSakが桂香を取る。宏美陣は駒が偏っており、攻め手がない。
藤森-ミスター中飛車戦は、藤森が▲6五桂と跳ねて総攻撃開始。
中井-Wパパは、Wパパが端攻めを敢行した。
美夏-Fuj戦は、美夏が先攻したが、Fujは手厚く受ける。
船戸-Tan戦は双方ガチガチに固めている。「(棋譜用紙)二枚目の女」船戸は、長手数を辞さない。「ううん…」ともらす船戸が色っぽい。いずれにしても勝負はこれからだ。
開始から40分が経ち、秒読み音が聞こえてきた。そんな中、まず勝ち名乗りを上げたのがHana。短時間でバンバン指し、多田の反撃をいなして、快勝した。持ち時間はほとんど使わなかった。
石橋-Kaz戦は、Kazが決め手を逃し、若干ヨリが戻った。その背後では星組のY監督が、心配そうに見守っている。
宏美-Sak戦は、Sakが5筋にと金を作って優勢。
藤森-ミスター中飛車戦は、藤森が飛車を切って、後手玉を寄せるかどうかの局面。消費時間はミスター中飛車のほうが多く、この攻めを凌ぐのは難しいそうだ。
船戸-Tan戦は、お互い飛車を打ちあってむずかしい形勢。
中井-Wパパ戦は、Wパパの端攻めが決まったかに見えたが、中井玉は3三に逃げ越して、容易に決め手を与えない。強者は不利になってからが強い。中井がチラッと、Wパパを見た。
美夏-Fuj戦は、美夏の攻めがいよいよ切れ模様になってきた。美夏は駒損が大きい。…と、ここでミスター中飛車が投了したようだ。局面を見ると、藤森玉は平美濃にもう一枚金がくっついている。ミスター中飛車の最後の反撃を、堅守で凌いだようだ。これで1勝1敗。
石橋-Kaz戦は激しい寄せ合いになっている。Kazが石橋の玉に必至を掛けた。石橋の王手ラッシュが始まる。ここを正確に指せば、Kazが勝ちそうだ。
宏美-Sak戦。Sakがと金攻めで金得したあと、その金を自陣に打ちつけた。手堅い。手駒はなくなっても、再びのと金製造で、すぐに駒は入手できると見ているのだ。
石橋-Kaz戦が終わったようだ。Kazが正解手を続け、逃げ切ったようだ。悔しそうな石橋。しかしその悔しさは、これからの対局で晴らせばいい。
中井-Wパパ戦。中段に逃げ越した中井が、7筋から反撃を試みる。Wパパは、1筋に残った団子状の駒が哀しい。中井は手筋、手筋と攻める。勝利が見えてきたようだ。
美夏-Fuj戦も終わった。Fujの快勝。Fujは1回も王手をかけず、美夏の攻めをひたすら受け続けて勝った。「最強の六将」の面目躍如だった。
これで星組の3勝1敗。女流棋士選抜チームは、もう一番も負けられなくなった。と、ここで中井が勝ち名乗り。最後はWパパ玉を華麗に寄せた。元振り飛車党のWパパ、本局は相手がわるかった、ということか。
宏美-Sak戦は、形勢不利の宏美が自陣に駒を打ちつけて頑張る。宏美の頬は紅潮していて、その周囲だけが温度が上がっているようだ。しかしここにカナ駒を投入するようではつらく、大勢決した。
船戸-Tan戦はお互いと金を作って駒の剥がし合い。若干Tanの攻めが早いか。
と、ここで宏美が投了を告げた。Sakが宏美陣の桂香を取ったのに対し、宏美はSak陣の香しか取れなかった。この差が最後まで響いたようだ。
これで星組の4勝2敗。勝ち越しが決まった。船戸-Tan戦は消化試合になってしまったが、両者は知る由もない。ただ盤上に没頭しているのみだ。形勢は船戸がわるかったが、いまは逆転している。Tanはどこかで決め手があったはずだが、分からない。
対局開始から1時間半が経過している。両者の周りは黒山の人だかりだが、声を発する者は誰もいない。その緊張感が、なお続く両者の指し手を、より崇高なものにしていく。
船戸、△3八とと香を取って王手。ここでTanが、負けました、と投了した。船戸も軽く礼を返す。室内の緊張感がいっぺんに弛緩した。総手数は、200手を越えていただろう。二枚目の女・船戸陽子の粘り勝ちだった。
これで全7局が終了した。では全選手の成績を記してみよう。
大将 ○中井広恵女流六段×●Wパパ
副将 ●石橋幸緒女流四段×○Kaz
三将 ○船戸陽子女流二段×●Tan
四将 ●中倉宏美女流二段×○Sak
五将 ○藤森奈津子女流四段×●ミスター中飛車
六将 ●大庭美夏女流1級×○Fuj
七将 ●多田佳子女流四段×○Hana
勝利チームのLPSA星組には、LPSAから賞状と記念品が贈られた。石橋LPSA代表理事の挨拶。
「きょうはLPSA星組との対決ということで、朝から気合を入れてきましたが、残念ながら敗れてしまいました。きょうあたしたちが勝ち越したら、来期はあたしたちが星組で出ようと思ってたんですが、見送りになりました。ヒュッヒュッ…。星組の皆さま方には、今期の社団戦でも、期待しています。ヒュッヒュッヒュッ…」
かくして、「LPSA選抜女流棋士対LPSA星組」の夢の対決は、星組の勝利で幕を閉じたのだった。
…という、私の妄想初夢であった。
このたび2012年新春特別企画として、LPSA選抜女流棋士7人と、LPSA星組7人が、夢の対決を行った。それぞれの対局者と組み合わせは、以下のとおり。
大将 中井広恵女流六段×Wパパ
副将 石橋幸緒女流四段×Kaz
三将 船戸陽子女流二段×Tan
四将 中倉宏美女流二段×Sak
五将 藤森奈津子女流四段×ミスター中飛車
六将 大庭美夏女流1級×Fuj
七将 多田佳子女流四段×Hana
持ち時間はチェスクロック30分、それが切れたら1手30秒である。両者一礼して、LPSA女流棋士の「奇数後手・偶数先手」で対局開始。以下、敬称を略します。
中井-Wパパ戦はがっぷりの相矢倉。
石橋-Kaz戦は、石橋が注文をつけて、相居飛車の手将棋になった。
船戸-Tan戦はファンクラブカップの再戦。船戸の中飛車穴熊にTanは居飛車穴熊。
宏美-Sak戦は、Sakの石田流三間飛車に宏美の居飛車穴熊。
五将以下は社団戦で対局経験もある、引退女流棋士が登場する。
藤森-ミスター中飛車戦は、藤森の三間飛車にミスター中飛車の中飛車。
美夏-Fuj戦は、▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩の出だしから、相矢倉模様になった。そこで美夏が急戦模様に構えた。
多田-Hana戦はおばちゃまと孫の戦いにも似る。将棋は歳が離れていてもハンデなしで戦える稀有な競技だ。Hanaの先手中飛車に、多田が舟囲いで受けていた。
まず動きがあったのが石橋-Kaz。石橋が素早く銀を繰りだしたが、Kazの応接が巧みで、石橋が苦戦に陥った。
多田-Hana戦は、Hanaちゃんが飛車を切って快調に攻める。その後ろでは、姉のAkiちゃんが心配そうに見守っている。
宏美-Sak戦は、飛車交換からSakが桂香を取る。宏美陣は駒が偏っており、攻め手がない。
藤森-ミスター中飛車戦は、藤森が▲6五桂と跳ねて総攻撃開始。
中井-Wパパは、Wパパが端攻めを敢行した。
美夏-Fuj戦は、美夏が先攻したが、Fujは手厚く受ける。
船戸-Tan戦は双方ガチガチに固めている。「(棋譜用紙)二枚目の女」船戸は、長手数を辞さない。「ううん…」ともらす船戸が色っぽい。いずれにしても勝負はこれからだ。
開始から40分が経ち、秒読み音が聞こえてきた。そんな中、まず勝ち名乗りを上げたのがHana。短時間でバンバン指し、多田の反撃をいなして、快勝した。持ち時間はほとんど使わなかった。
石橋-Kaz戦は、Kazが決め手を逃し、若干ヨリが戻った。その背後では星組のY監督が、心配そうに見守っている。
宏美-Sak戦は、Sakが5筋にと金を作って優勢。
藤森-ミスター中飛車戦は、藤森が飛車を切って、後手玉を寄せるかどうかの局面。消費時間はミスター中飛車のほうが多く、この攻めを凌ぐのは難しいそうだ。
船戸-Tan戦は、お互い飛車を打ちあってむずかしい形勢。
中井-Wパパ戦は、Wパパの端攻めが決まったかに見えたが、中井玉は3三に逃げ越して、容易に決め手を与えない。強者は不利になってからが強い。中井がチラッと、Wパパを見た。
美夏-Fuj戦は、美夏の攻めがいよいよ切れ模様になってきた。美夏は駒損が大きい。…と、ここでミスター中飛車が投了したようだ。局面を見ると、藤森玉は平美濃にもう一枚金がくっついている。ミスター中飛車の最後の反撃を、堅守で凌いだようだ。これで1勝1敗。
石橋-Kaz戦は激しい寄せ合いになっている。Kazが石橋の玉に必至を掛けた。石橋の王手ラッシュが始まる。ここを正確に指せば、Kazが勝ちそうだ。
宏美-Sak戦。Sakがと金攻めで金得したあと、その金を自陣に打ちつけた。手堅い。手駒はなくなっても、再びのと金製造で、すぐに駒は入手できると見ているのだ。
石橋-Kaz戦が終わったようだ。Kazが正解手を続け、逃げ切ったようだ。悔しそうな石橋。しかしその悔しさは、これからの対局で晴らせばいい。
中井-Wパパ戦。中段に逃げ越した中井が、7筋から反撃を試みる。Wパパは、1筋に残った団子状の駒が哀しい。中井は手筋、手筋と攻める。勝利が見えてきたようだ。
美夏-Fuj戦も終わった。Fujの快勝。Fujは1回も王手をかけず、美夏の攻めをひたすら受け続けて勝った。「最強の六将」の面目躍如だった。
これで星組の3勝1敗。女流棋士選抜チームは、もう一番も負けられなくなった。と、ここで中井が勝ち名乗り。最後はWパパ玉を華麗に寄せた。元振り飛車党のWパパ、本局は相手がわるかった、ということか。
宏美-Sak戦は、形勢不利の宏美が自陣に駒を打ちつけて頑張る。宏美の頬は紅潮していて、その周囲だけが温度が上がっているようだ。しかしここにカナ駒を投入するようではつらく、大勢決した。
船戸-Tan戦はお互いと金を作って駒の剥がし合い。若干Tanの攻めが早いか。
と、ここで宏美が投了を告げた。Sakが宏美陣の桂香を取ったのに対し、宏美はSak陣の香しか取れなかった。この差が最後まで響いたようだ。
これで星組の4勝2敗。勝ち越しが決まった。船戸-Tan戦は消化試合になってしまったが、両者は知る由もない。ただ盤上に没頭しているのみだ。形勢は船戸がわるかったが、いまは逆転している。Tanはどこかで決め手があったはずだが、分からない。
対局開始から1時間半が経過している。両者の周りは黒山の人だかりだが、声を発する者は誰もいない。その緊張感が、なお続く両者の指し手を、より崇高なものにしていく。
船戸、△3八とと香を取って王手。ここでTanが、負けました、と投了した。船戸も軽く礼を返す。室内の緊張感がいっぺんに弛緩した。総手数は、200手を越えていただろう。二枚目の女・船戸陽子の粘り勝ちだった。
これで全7局が終了した。では全選手の成績を記してみよう。
大将 ○中井広恵女流六段×●Wパパ
副将 ●石橋幸緒女流四段×○Kaz
三将 ○船戸陽子女流二段×●Tan
四将 ●中倉宏美女流二段×○Sak
五将 ○藤森奈津子女流四段×●ミスター中飛車
六将 ●大庭美夏女流1級×○Fuj
七将 ●多田佳子女流四段×○Hana
勝利チームのLPSA星組には、LPSAから賞状と記念品が贈られた。石橋LPSA代表理事の挨拶。
「きょうはLPSA星組との対決ということで、朝から気合を入れてきましたが、残念ながら敗れてしまいました。きょうあたしたちが勝ち越したら、来期はあたしたちが星組で出ようと思ってたんですが、見送りになりました。ヒュッヒュッ…。星組の皆さま方には、今期の社団戦でも、期待しています。ヒュッヒュッヒュッ…」
かくして、「LPSA選抜女流棋士対LPSA星組」の夢の対決は、星組の勝利で幕を閉じたのだった。
…という、私の妄想初夢であった。